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(本名、実は知ってるんですけどね)



俺がそう問いかけると、二人が揃って「「…は?」」と固まった。


実のところ、あの日、オッサンたち込みでやってきた時点で、全員の顔と名前の一覧を目にしているから知らないわけじゃない。


…んだが、お互いに自己紹介みたいなものを一切ぶっ飛ばして、こんな感じでまったりしはじめちゃってるわけでさ。


「正直、なんてお呼びしたら? と困ってまして」


ほんと、正直なところそれは困ってた。心の中じゃ、狼だの豹だのって見た目で呼称しまくっているだけなんだから。


「俺の名前は、とっくに知られているってことはわかってるんですけどね? あんな風に追い返したのもあって、ほぼ皆さんの名前を聞いてないんですよ」


自己紹介を受けるどころじゃなく、カルチャースクールの先生についていけば謎の威圧を放つ部屋にご案内って感じだったわけで。


その状況に放り込まれかかって、俺は逃げた。ろくに会話をすることもなくね。


だから、あの時のメンツの名前を知らなくて当然。


…が、俺に優しくて甘い謎システムのおかげで、俺はあの時の全員の顔と名前を前もって手に入れていた。


っても、やっぱりその手のお約束は、儀礼的だろうが通過しておいた方がいいって思うわけでさ。


トクトクトク…と熱燗をおちょこに注ぎ、くぴっと一気に飲み干す。


「別にお互いに名前を知らなくても、話がスムーズに進むなら…名乗らなくてもいいでしょうし」


自分から話しかけておいて、思ったよりも緊張しているみたいだ。


「…あ。なくなった。…次どーすっかなぁ」


二人が無言のままで俺を見ていることに気づいていても、それに対して俺がいちいち気を使わなくても別に良くないか? とか思いながら。


「芋焼酎、お湯割りすっかなぁ。…んと、揚げ出し豆腐とか食うかな。あー…あとはー、んーっと…ベタなやつか。ネギま、とり皮、砂肝、豚串…の盛り合わせ。味は、塩コショウだな。…うん」


そうイメージしたら、テーブル板の上に芋焼酎が瓶ごとと、ポットっぽいのが置かれた。横には小さいパネル付き。


「ん?」


ポット横のパネルを指先でつつくと、『ボタンに触れると一瞬で沸きます。希望の温度があれば、ボタンに触れる前に思い浮かべてください』とか出た。


熱々過ぎない方がいいかな。


「80度あたりで、よろしく」


って呟きつつ、ボタンに触れる。


陶磁器製の焼酎グラスに、先にお湯を入れる。水割りは逆って聞いたことがある。焼酎が先って。


なんだっけな、比重の問題とかなんとか。うまいこと混ざるとかどうとか。


(ま、美味く飲めりゃなんだっていいんだけど)


で、芋焼酎をトトトトッと注ぎ、顔を近づけて匂いを嗅ぐ。


「…ふ。いい匂い。芋くせぇ(笑)」


この独特の匂いが、まだ飲んでもいないのに味の一つみたいで好きだ。


揚げ出し豆腐と、串ものの盛り合わせ。


俺が淡々と酒を用意して、晩酌を進めている間、二人は俺を挟んだ状態で見つめあったままだった。


狼の方は、タルトがもう一口で終わりそうなあたり。豹の方は、水餃子が少し残ってる。たこわさ、全部食えたのか。


なんか、最初の思惑とは違う方に行きそうだけど、初手からやらかしっちゃったのは俺だしな。


(どうして俺があの時あの場所に呼び出されたのかと、うちにあのメンツで来たのか。…って聞き出せるかな)


やらかしてはいるけど、何かしらの話が聞けたらな。


チラッと二人を横目で見て、また焼酎グラスの方へ視線を戻して。


俺って人間が交渉には不向きだって自覚してるから、下手に探りを入れない方がいいのかもな。また違う墓穴を掘りそう。


「…ね、おふたりさん」


焼酎グラスの中の残りを飲み干して、またお湯を沸かす。一瞬で沸くのは便利だ。


「今日、何か約束でも取り付けてこいって言われた? それとも、ここに何か仕掛けてこいとか、弱み握ってこいとか言われたの?」


これでもかなり控えめに聞いた方だと思ってる。悪意を放ってるつもりはない。


「あー…、それか、使える魔法をチェックしてこいとか?」


そう言いながら、あの魔法のことを思い出していた。


エアーカーテンの改良版で、雨水を飲み水用にろ過して溜めておくやつ。


創造魔法があるってことは、あの連中に知られてるのかな。俺の情報はどこまで共有されてる?


「俺に呼ばれたから来たってだけじゃなく、上司らから何らかの話はあったんでしょ?」


それなりに飲んでいるのに、全然酔えないや。こんなんじゃ。


とり皮にかぶりつき、勢いよく串を引き抜いた。


噛めそうで噛めないこの食感が好きだな、とり皮は。


芋焼酎がなくなったから、そのまま二本目に突入。


…のタイミングで、左から声がかかった。


「僕にも、それ…いただけませんか?」


かしこまった感じで、声に緊張感が混じってる。


「それって、どれ?」


お湯を沸かしなおすのにボタンを押しながら、聞き返す。


「酒の方、です」


俺の方へまっすぐに視線を向けてきて、なんでか浅いけど眉間にシワが寄ってきている豹の彼。


「…ふぅん。グラス、一個? 二個?」


左へと視線を向けると、右の彼の方へと伺いを立てている様子で。


「お前も…飲め」


その言葉に、やっぱり豹の彼の方が上なんだと理解した。


でも上司だからって、アルハラはよくないな。なんか、酒…飲まなさそうじゃん。狼の子。


「無理強いはよくない。…本当に飲みたいとか飲めそうなのを、本人の意思で飲ませなよ。飲みたいって言ったらで。…俺は、この席を飲みの席だとか思わせたくて、こういう流れにしたんじゃないよ」


グラスをもう一つ出して、俺のと合わせて二杯分のお湯割りを作る。


「…はい、どーぞ? そっちは、何か食いたい? もうちょっと甘いの追加したい?」


一人、飲みの席じゃない彼にも、場を持たせるための要望を聞く。


「あ…いえ、その…十分です。このお茶のお代わりだけいただいても…」


まだグラスの半分ほどアイスティーが残っているのに、お代わりを求めてくる彼に。


(気を使わせちゃったな)


何とも言えないバツの悪さを感じながら、その願いを叶える。


「どーぞ」


特に何か言われたわけじゃなかったけど、ドライフルーツいっぱいのパウンドケーキを添えた。


「あ…っ、の。ありがとう…ございます」


俺の様子が何かおかしいのかな。


極端なほどに二人の様子が変化した。


うつむく俺の視界に、アッシュグレーの髪が入る。


「あのさ。……俺の髪色、変?」


毛先を指の腹で擦り合わせるようにしながら、どっちも見ないで聞いてみた。


「え…っ」


「…あ」


戸惑いが声に乗った。


なんだろな。…俺の何かにリンクしてる? 俺の髪が。


体調? 感情? それとも魔力とか? でも猫の齋藤は、俺がトイレに行った方がいいとか言い出していたよな? あれって、体調が現れてた?


「ね、色。教えてくんない?」


改めて聞けば、同時に二人が口にした色は「赤」「紫」と言った後に、狼の彼の方が「青も」と続けた。


三色って、なに。どんな体調? ってか、体調悪いの俺。


(ほろ酔いってだけで、訳わかんない色なのかよ)


いよいよもって、その仕組みがわからん。髪色が変わる理由が知りたいくらいだ。


「俺の目には…アッシュグレーなんだけどな」


その三色がどんな風に色づいてるんだか。


「訳…わっかんねぇ」


体を起こして、酒を一気に煽る。そこからまるっきり無言で、淡々と飲み続けていく。


二人も居心地悪そうな状態のまま、それぞれの前にあるものを飲んだり食べたりしていた。


どれくらいの時間が経ったかな。ほろ酔いって程度の俺。


ふらっ…っと立ち上がり、部屋の入口まで向かってくと、二人の視線が俺を追っているのを感じた。


部屋を出るギリギリのあたりで、上半身だけ振り向く。


「ね。…ちょっと見てほしいもんあるんだよね。外、雨じゃん。…俺だけで試してみたけど、俺以外でも使えるのか…試させてほしーのあんの」


俺がそういうと、二人が互いに見合ってから立ち上がる。


玄関の手前まで行き、小首をかしげて確認をする。


「ね。魔法かけてもいい?」


って。


なんかいろいろすっ飛ばしている気もするし、向こう側から何も言われてないのに手を明かすとかどうなのかって感じだけど。


(いろいろメンドイ)


結局は、そういうことなんだよ。


考えてアレコレ話すのも、めんどくさくなった。


「何をかけるんですか?」


豹の彼からの質問へ、俺は「エアーカーテン」とだけ返す。


二人は「え?」という顔をしてから、小声で「どうぞ」と言った。


「じゃあ、二人同時で…遠慮なく」


宙にエアーカーテンの魔方陣を展開し、それからあの時同様に他の魔法も重ね掛けしていく。


最終的に黄色みを帯びた魔方陣が一つ出来たところに、ボソッと『コピー』と呟いてから指先で指定して複製する。


ブゥ…ンという音の後に、魔方陣の上に同じ魔方陣が浮かび上がった。


ジーッと見つめて、魔方陣の内容を確かめた。


「…ん。オケ。これ、それぞれ認識してくれる? 中心に指先あてたらオッケーだから」


魔方陣を二人の頭上に放るようにすると、二人が遠慮がちに魔方陣の中心に指先をあてた。


俺は傘を手にして、靴を履くと先にドアの向こうへと出る。


「エアーカーテンってさ、雨避けで使ってもいい魔法なんでしょ? 雨の中、ちょっと二人で立っててくれない?」


細かい事情も魔方陣の説明もなく、試したいとしか伝えていない状況。


狼の彼が不安そうな顔つきになるのは、わかってた。魔方陣に何を仕掛けられたか、誰もかれもがわかるはずじゃないし。


豹の彼は、表情になるべく出さないようにしているんだろうけど、顔が強張ってしまっている気がする。


(なぁんか、いじめてるみたいになってるの…ヤダな)


俺は俺でそんなことを考えているのがバレないようにと、微妙な微笑みを浮かべている。


「じゃ、あのあたりに」


指さしたのは、玄関から1Mほど離れた場所。雨はかなりしっかり降っている。


彼らの体を纏った魔法は、あの時のように雨を受けて、蒸発させるのと雨水を転送させて収納するように機能しているよう。


「…うん。いい感じだな。えーっと、『インベントリ・ステータス』っと。………二人分だと、溜まるのも早ぇな」


自分以外にも、魔方陣をちゃんと構築して利用者として認識させたら問題なさそうだな。


ただ、俺の収納魔法の底なしの容量ではあるけど、もしも利用者本人がその機能を使いたいってなった時に、本人に収納魔法があるかどうか…ってどうなんだ?


「あー…ねえ。収納魔法って、かんたんな魔法の範囲? それともレア? 収納魔法の容量って、みんなどの程度なの?」


かなりな勢いで、飲み水へとろ過されていく雨水。


「それと、飲み水が不足するような事態とか、過去にあった? それか、現時点でそういうのを警戒するような案件はある?」


雨の中、自分たちが何に協力させられているのかわからないうちに、また別に質問が振ってくる状況の彼ら。


「今年は…暑い夏になるだろうと…言われてますが」


豹の彼がためらいがちに返してきたそれに、俺はこう返す。


「もしも水不足だとか、問題あったら…声かけてよ。雨の時期に俺の方で確保しておけるから」


そう返した俺に「雨だけでどうにか出来るレベルじゃない時もありますけど」と豹の彼が続ける。


「その時も、多分…対応可能かも。ま、これから魔法をいろいろ調べてって次第だけど。この時点で、かなりな雨水が飲み水になってるからさ」


俺は傘をさしながら、玄関の方へと向かう。こっちへ…と、まるでカモン! とかやってるみたいに、こぶしにした手から親指だけ立てて二人を玄関へと誘う。


傘を畳み、紐で結んでから下駄箱っぽいとこに立てかける。


順に玄関に入ってから、魔方陣を解除する。


「具合悪いとか、違和感とかは? 特にないです? というか、雨に濡れずにすみましたか?」


二人は靴を脱ぎながら顔を見合わせて「「問題ないです」」と答える。


「さっきの部屋に戻りますね」


二人を振り返ることもなく、スタスタと先導するように部屋へ向かう俺。


掘りごたつの部屋に戻ってから、二人がなかなか座らない。


「んなとこ突っ立ってても、しょうがないでしょ? 座って話しましょうよ…いろいろ」


先に掘りごたつへ足をツッコんで、とっくに冷めていたお湯割りを飲み切る。


『インベントリ・ステータス』


もっかい呟いて、さっきの雨水が全部ろ過されたのを確かめた。


ここから、飲み水として取り出してみて、味見をしてもらうか。


「えー…っと、これ、飲んでもらってみていいです?」


おもむろにグラスに注いだ水を出して、二人の前に。


「味見するだけでもいいんで。…あ、毒とか変なもんは仕込んでないですよ。なんなら、鑑定でもかけて、結果を見せてもいいですよ」


そこまで言わなきゃダメかもだよな。


「同じグラスに口をつけていいなら、毒見しますけど」


といえば、重く低い声で豹の彼が「いいえ」と呟く。


「いただきます」


顔がひどく緊張していて、グラスを握ってからためらいもせずに一気に半分まで飲んでいく。


グラスを元に戻してから、強張っていた顔に驚きの色が混じる。


「どういう…」


そう呟き、アゴに手を置き考えこんでいる。


「え…イチさん?」


油断したんだろう。狼の彼が、豹の彼の名をポロッと呼んでしまったよう。


「ナナッ!」


つられてか、豹の彼も狼の子の名を呼んだ。名前を呼んだことを叱咤するために、か。


俺はそれを聞かなかったふりをして、狼の子の様子を伺う。


イチと呼ばれた豹の彼が「いいから飲んでみろ」と告げて、わずかなためらいの後にナナと呼ばれた狼の子も一気に半分ほどまで水を飲んだ。


「…これ?」


グラスを少し掲げてみて、首をひねり、また飲んで、首をかしげて。


「普通に美味い、普通の水…?」


ナナという狼の子は、心底不思議そうに呟く。


「…だよな。普通の水…で合ってるのか? これ」


イチという豹の彼も、なんで普通の水を飲まされたのかがわからなくて、逆に警戒していたよう。


「水兎…さん」


訪問してきて、初めて俺の名前を呼ぶイチさん。


「はい、なんでしょ」


俺はそんな二人を見ながら、ぼんやりと枝豆が食いたいと思ってて、枝豆のさやを口にあてながら返事をする。


枝豆の青臭い匂いを楽しみながら、水割りになってしまっているお湯割りを飲みつつ。


「この水はなんですか? どうして味見という言い方を?」


言葉だけで説明しようか悩ましいなと思って、すこし考える。


(思ったよりも酔ってるのかな、俺)


「雨水です、それ」


結論を先に言う。


「え?」


「は」


一文字ずつの反応に、まあそうなるよな? と笑みがもれる。


「もっといえば、雨水を飲み水にしました」


次の段階の説明。分かりやすいと思うんだけどなー、多分。


「え? いや…たしかに雨水は飲み水にすることが可能ですけど…そのためにいろいろ手順を踏むのはご存じで?」


「はるか昔はそのまま飲んでいたって、うちのばーちゃんが言ってましたけどね」


イチさんが疑問を投げかけてきたところに、ナナさんが家族から聞いた話を振ってきた。


「どっちも正解、ですよね。うん」


枝豆を食みながら、よくある世間話っぽい空気で返事をする。


あるよねー…みたいな。


「さっきの魔方陣、あれがその働きをしてます。って言われても、わかんないですよね?」


俺がそういうと、怪訝な顔つきになったイチさんが聞いてきた。


「エアーカーテンは、そういう扱いの魔法じゃないですよ?」


まるで俺が魔法のことを知らないんじゃ? と思っているような顔つきで。


「知ってますよ? 俺がここに来て最初に見た魔法で、雨避けに使えるって聞いてます」


猫の齋藤が見せてくれた、最初の魔法だ。


「なら…っ」


どうして? とこれまでの常識だけを知っている彼の表情は、この後どう変わるかな。


「すみませんが、もう一回…同じ魔方陣を作るんで、あなただけ…外に出てきてもらってもらってもいいですか? そう…ですね。時間にして、五分ほどで十分かと」


ナナさんに向けて、お願いをする。


「あ…え、…俺」


どうしましょうって感じで、イチさんの様子を伺う彼にイチさんが無言でうなずいて入口の方を指さした。


「わか…りました。じゃ、お願いします」


もう一度魔方陣を展開し、エアーカーテンにウォーマーを重ね掛けして、そこに容量の調整をした収納魔法も追加。


指先でナナさんの方へ流し、認識させてっと。


「じゃ、いってらっしゃい。…で、こっちに来てもらっていいです? 見てもらいたいものがあるんで」


と、イチさんへ手招きをして、俺の横に来てもらう。


遠くで玄関のドアが閉まった音がした。


「じゃ、今から出すもの…見ててくださいね?」


そう言いながら、一旦閉じたインベントリを表示する。


『インベントリ・ステータス』


そして、二か所を指さして「ここをよく見てて」と声をかける。


ろ過された飲み水の項目の横に、雨水と書かれた項目が現れて、またあのバーが一緒に表示されていく。


五分でどの程度の水が移動されるかわからないけど、まだ雨は止んでないし…どうにかなるだろ。


「これって」


さっきとは声のトーンが違う。普通に質問をしてきているみたいだ。


「これは、部下の子…狼さんがエアーカーテンで受けている雨の中から、この収納先に移動しているものです。…で、これを見ててくださいね? ……ここの棒みたいなのが、動いてるのわかりますか? 実はこれ…雨水をろ過したものが、こっちの飲み水に移動になってるんです」


「…へ」


「あぁ。ちなみに、全部の雨をこっちに入れてるんじゃなくて、何割かを移動して、それ以外は蒸発させてます」


「…あ?」


「普通に雨水を飲み水にってなると、施設の問題とか、場所によっては大地に吸収されたりもするけど、これに関しては全くその辺の問題がなくなるというか」


「んん?」


「こういう魔法の改良版って、あったりします? なきゃ、申請をどこかにしなきゃいけないんですよね?」


「…はぁ」


「かんたんな魔法の改良版ですし、各ご家庭で水のストックとか必要なら、こういうのはどうかなぁー…と。思いつきで組み合わせてみたんですけど」


インベントリを見せながらの説明は分かりやすかったはずなんだけど、話をすればするほど彼の顔が険しくなっていく。


「あのー…わからないことあったら、質問を受け付けますけど?」


俺がそう話しかけ、彼からの返事を待っているタイミングでナナさんが慌てて戻ってくる。


「どうでした? なにかありました?」


と、こっちの様子を気にしながら。



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― 新着の感想 ―
相手の返答を待たずに主人公が一人で一問一答みたいな感じで描かれていて何が起きているのかわかりにくいです。 今の所、相手からの情報開示が一切ないので理解しにくくて物語に追いつくのに必死です……
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