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今日の俺はやる気に満ちているぜ

 レース当日。俺の修行を成果を見せる時が来たようだな。俺はレースの用意の為に竜笛でドラを呼んだ。竜笛を吹くのも上手くなったものだ。


 わりとこれ吹きにくいんだぜ。


 俺は竜笛を吹いて待つ。あれっ? あいつ全然来ねえんだけど!! 今日はレース当日だってのに、何で来ねえんだよ。


 根気よく待ち続ける。というか待つ以外の方法が俺にはないからな。すると少ししてからドラが空から降りて来た。


 ドラは口に鳥を咥えている。どうやら、お食事中だったようだ。あー、わかるわかる。食事中に呼び出されるとムカつくよな。


「黙れ、お前にその顔する権利はねえ。何でレースのギリギリで食事してんだよ、もっと早くに食事はすませておけや!!」


 俺の言葉なんて聞く耳を持たない様子でひたすら鳥を食べている。そこに運よくライアン王子がやって来るのが見えた。


「恋のライバルの様子を見に来たのだが、どうやら無駄足だったようだな」


 なんだこいつ。嫌味を言いに来ただけかよ。でも、今の俺は救世主モードだから強い口調は使わない。


 ライアンは既に相棒のドラゴンに乗っている。うちのと比べるとゴテゴテした装飾がついていて、なんだか飛びにくそうな気がした。


 それで、飛べるんかって感じだ。


「そんな竜では私のゴメちゃんには到底かなうまい。勝負はついたも同然だな」


 そんな竜という言葉を聞いて、ドラが睨みつけるように起き上がる。


 何日か過ごしてわかった事だが、ドラは種族特有で気性が荒い。それに加えて元々のドラの性格なのだろう、負けず嫌いだ。


 そんなドラの睨みつける攻撃も、ゴメちゃんと呼ばれた高貴そうな竜は憐れむように一蹴(いっしゅう)。俺ら揃って馬鹿にされてんな。


「戦う前から勝利を確信するなんて随分と良い目を持ってるみたいだな。そんな事を言って勝てなかった時が怖いからやめておけよ」


「ふんっ、結果など見えています。聖女様の寵愛を受けるのは私だ」


 それだけが言いたかったのだろうかライアンは言いたい事を言って消えて行った。周りはこの俺とライアンのやり取りを見て盛り上がっている。


 もう、なんだか慣れてしまった。


 それで、寵愛くれると噂の聖女様がどこにいるかというとまるで商品のように豪華に椅子に座らされていた。っ多分だが、なし崩し的に着飾っており笑顔で手を振っている。


 だが、俺にはわかる。内心では祭りの美味しい食べ物を食べられなくて、目が泳ぎまくっている。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。


 はぁ、後でなんか買って持って行ってやるとするか。


 ドラとの最終調整の為にできるだけ離れる事にする。手の内はギリギリまで晒したくねえからな。その途中で、焼きそばのような食べ物を押し付けられた。


 どうやら、アステリオンでは麺料理が有名らしい。俺の名前が勝手に知れ渡っているのもあって、応援と共に押し付けられたのだ。


 誰もいない場所までドラと移動した。俺は山のようにもらった麺料理を石の上に置いた。


「俺はエクレアじゃねえから、こんなに食えねえっつーの」


「その言い方だと私が食い意地張ってるみたいじゃないですか」


 声の主の方を見るとエクレアが立っていた。今日も動きにくそうなドレスを着ている。本人も心なしか疲れた表情をしている。


「よぉ、いいのかい? 聖女様がこんな所を出歩ててもさ」


「勘弁してください。ずっとあそこにいたら、私の精神が疲れ果ててしまいますよ。笑顔で手を振り続けているも疲れるんですからね」


 エクレアが抱きかかえていた子聖竜が飛び上がって、ドラの元へと近づいて行く。こういう時にうっとおしがると俺は思っていたのだが、ドラはじゃれる子聖竜の相手をしている。


 なんで、その優しさを俺の時には出さないんだ?


「おや、こんな所に大量に焼き麺が」


「あっ、これそういう名前の料理なのか。俺は食べきれないから食ってくれよ」


 どうせ、エクレアには何か買ってこっちから出向くつもりだったからな。手間が省けた。


「いいんですか!?」


 よほどお腹が空いていたのだろうか、エクレアはかぶりつくように焼き麺を食べ始めた。聖女のイメージを守るのも大変なんだなって、つくづく思うよ。


 エクレアのどこに吸収されていくのかわからんが、山のようにあった焼き麺は全てがエクレアの腹の中に入って行った。


 俺の分を残すという考えはエクレアにはないようだ。別にいいけど。


「さて、このレースに勝ったら次はどこに行きましょうか?」


「おいおい、レースで俺が勝つかどうかなんてわかんねえだろ。どいつもこいつも始まる前から勝ったつもりでいやがるな」


「ふふっ、だってアリマが必ず勝ちますから」


 エクレアは本当にそう信じているようにそう言った。俺でもないのに俺よりも俺の事で自信にあふれているな。


「だって、アリマにはあれがあるじゃないですか」


「あれ?」


「もー、とぼけなくてもいいんですよ。ほらっ、女神様から頂いた転生の力があるではありませんか」


 ああ、職業ガチャの事言ってんのか。


「今回は使うつもりはねえよ」


「えっ、それじゃアリマの負けって事じゃないですか!? アステリオンで一生暮らすのなんてごめんですよ。ご飯が一生美味しく食べられないじゃないですか!!」


「なんだその言い方は!! まるで俺が職業ガチャがねえと勝てねえみたいな言い方じゃねえか!!」


 よくわかってるじゃねえか。実際の所は職業ガチャなしで戦うのは厳しい戦いになるだろう。だが、今回はそのままの俺の状態で勝つと決めているんでな。


「いえ、そんな事はあるかもしれないですけど。それよりもアリマに会えなくなりますし……」


 エクレアの言葉にお互いに顔を見合わせる事が出来なくなってしまった。やめろ、急にそう言う事言うのはやめてくれ。俺に効く。


「今回は正々堂々と戦って、お前を奪い取るつもりだからな。だから、女神の力に頼るつもりはねえってだけだよ」


「正々堂々なんて、アリマの口から聞けるなんて夢にも思いませんでしたね」


「今回ぐらいはな」


 いつも女神イリステラの力を使ってなんとかしてきたんだ。たまには休憩をやらねえとな。

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