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最先端の技術で掃除をしろ

 俺とエクレアが案内されたのは、魔導研究所と書かれた建物だ。ここだけ、鉄で出来た大きな建物であり、この異世界イリステラでは、俺が見た限りでは最先端の場所と言った感じだ。


「ようこそ、最先端の技術を研究する。魔導都市エンデキュミオンの頭脳が集まる場所へ、歓迎するよ。さあさあ、中へどうぞ。おっと、言い忘れていたが中の物には勝手に触れない方がいいよ。我々でもどうなるのかわからない研究中の物もあるからね」


「危ない物って、そんな研究をしているのか?」


「まあ、俗に言う古代遺物だよ。私達でもまだどんな物か判断できていない物が多いんだよ」


 エクレアがよくわからないと言った様子で俺の方を見てくる。んなもん、俺も知らねえよ。古代遺物なんて初めて聞いたわ。


「風の大地の遺跡で見つかった用途のわからない物を我々が名前を付けただけさ。それで、私達が面白半分で買い取って、研究しているわけだよ」


「ふーん、でもいいのか。その言い方だと魔導都市にとっては一般人には見せられない代物なんじゃないのか?」


「ははっ、まあね。昔ならそうだったかもしれないね。だけど、ほらっ、統一王だっけ? 私はあまり興味がないけど彼のおかげで平和にはなっただろ。おかげで、うちの連中もある程度は毒気が抜けちゃってね。今はしたい事をしてるってわけさ」


 また、統一王の名前か。こうやって聞くと、統一王というのは本当に世界を平和にしたんだなと思うよ。こういう偉人みたいな人物が今も生きているってのが面白い話だな。別に会ってみたいとかは思わんが。


「毒気が抜けたってのは?」


「ああ、それはですね。ここ魔導都市は武器の生産工場だったんですよ。ようは、戦争に使われている武器を作ったり研究したりしていた場所ってわけですね。今は戦争なんて、どこもしていないのでここも研究施設だけが残ったって所でしょうか」


「エクレアにしては詳しいじゃねえか」


「エクレアにしては余計ではありませんか? まあ、私も歴史書みたいなのを見て学んだだけなのですが」


「ははっ、大体はそこのお嬢ちゃんの言った通りだよ。まあ、今じゃ研究がしたいだけのおかしな奴らの集まりってわけさ。ではでは、お客さん方中へとどうぞ。最先端の技術を見せてあげるよ」


 そう言われて、リューネの後を俺達はついて行った。中へと入るとすれ違うリューネに何人もの人間が挨拶をしてくる。どうやら、リューネが偉いというのは本当のようだ。


「あれとかどうだろうか、目で見てわかりやすいんじゃないかな」


 リューネが指さした方を見ると、先程から魔導都市内で見かけた街灯が置かれていた。この世界の街灯は火を使ったものが大半である。当然だが、夜はどこも真っ暗というのが当たり前である。だが、この街灯は火を使わずに明るい。


「わあーー、奇麗ですね。これって、火ではないですよね」


「ああ、それはだね。イルミスという魔術をご存じかな。その顔は知らなさそうだね。まあ、この火の大地では魔術は浸透していないから仕方がないね」


 魔術というのは存在だけは知っている。確か、水の大地で使われている技術の一つだったはずだ。この世界の生き物はみんな例外なく魔力を持って生まれてくる。


 生まれ持った魔力を使って、別の力に変換する技術を魔術と呼んでいるらしい。俺も魔術に興味があったから、本で調べたから少しだけ分かるんだ。魔術とか、魔法とかはやっぱ夢があるしな。まあ、独学では使えなかったんだけどな。


「んで、それがどうした?」


「その、イルミスという魔術は辺りを照らす魔術なんだ。その、照らすという術式を古代遺物のおかげで中へと封じ込めておき、魔力を貯めておく事が可能となったわけさ。その結果、ああやってイルミスの効果を持った街灯が作れたってわけだ」


「へえー、んじゃあれは永遠に光っていられるのか?」


 だとしたら画期的だな。現代のように夜も明るいまま行動できるようになるかもしれない。異世界イリステラの夜はまじでなんも見えないくらいに真っ暗だからな。


 夜に出歩くと化け物に食われるという子供を脅して躾ける絵本まで出来るくらいだし。今は魔物が出て来たおかげで、笑い話じゃなくなっちまったがな。


「永遠とまではいかんが、魔力を貯めておけばその分はずっと光っていられる事は確認しているよ。どうだい、こんな感じで我々は発展のための研究をしているわけだ。少しは信用してもらえたんじゃないか?」


「いや、余計に怖くなってきたんだが。俺達、一般人にリューネ博士が頼みたい事ってのは一体何なんだ?」


「それは、私の部屋に着いてからにしようか。すぐそこだしね」


 どうやら、ここでは話したくない内容のようだ。周りの研究員には聞かれたくない内容なのだろうか。だとしたら、ちょっときな臭い空気になってきたかもしれない。


 隣のエクレアは俺の気も知らないで、リューネさん凄いですと目を輝かせている。俺の視線に気づいたのかエクレアが俺の方を見た。


「何ですか、私を見つめて」


「いやぁ、馬鹿ってこういう時、楽でいいよなって思ってさ」


「私、なんで急に罵倒されたんですか!?」


 俺達はいつもの調子で会話をしながら、リューネを追っていくと一番奥の研究室に着いた。どうやら、リューネ専用の部屋のようだ。中へと手招きをされたので入って行くと、中は大変汚かった。


 汚い部屋、略して汚部屋と言っても差し支えないだろう。地面は足の踏み場もないくらいには物が散乱してしまっている。主に研究のレポートだろうか、地面に散らばっている。


 机の上も何に使うのか分からない物体が机の上を占拠しており、さっきまで何かをしていたであろう形跡が残っていた。人間が住んでいい場所ではない。


「き、汚すぎます!! リューネさん、少しは片付けましょうよ」


「いやぁ、片付ける時間がもったいなくてさ。そんな時間があったら研究したくてね」


「が、我慢できません。私が片付けちゃいますね」


 エクレアは割と奇麗好きだ。だらしがない行動とか、服装とかを嫌う傾向があるのはこの旅を通じて俺も知っている。


 あんな、シスター服のミニスカみてぇな服着といてだ。エクレアはまるで、片付けできない子供の部屋を片付ける様に片付け始める。


「ま、待ってくれたまえ。私の部屋には大事な物が結構あるんだ。そんな、片付けが出来ない子供の部屋のように片付けられては困る!!」


「おいっ、エクレア。遠慮はいらんぞ、いらなさそうな物は捨てちまえ。人間が最低限入れる場所を作れ」


「もちろんです。これは、多分いらない物ですね。これは、何かよくわからないけどいらない物ですね」


「わわ、それはまだ調べていない遺物だ。わ、わかった、わかったから私も片付けるの手伝うから待ってくれたまえ!!」


 容赦なく、俺とエクレアが部屋の物をゴミにしようとしてくるので、リューネは急いで俺達がゴミに入れた物を識別し始めた。ゴミ部屋を作る人間ってのは、こうでもしないと片付けねえからな。


 こうして、俺達はリューネの部屋を奇麗にするのだった。あれっ、俺はここに何をしに来たんだっけ?

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