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魔の大地に向かう途中②

 船の廊下を移動中。


「それにしてもすげえ武器を背負ってんな」


「当たり前でしょ。これから大きな合戦なんだよ。これぐらいの武器を持っておくのは当たり前だよ」


 刀を腰に四本も差している。間違えなく、薄刀カゼキリ以外は使い捨てていく気満々だろうな。下手したら薄刀カゼキリも捨てるかもしれん。


 背中にはナハトの背丈と同じくらいの弓を背負っている。この弓を引く事が出来るかと聞きたいぐらいの大きさだが、ナハトなら余裕で引くんだろうな。目に浮かぶようだよ、ナハトがこの大弓を筋肉だけで引いている姿が。


「矢筒がないけど弓矢はどうすんだ?」


「落ちている剣とか飛ばせばいいでしょ。弾なんて敵の頭を射抜ければ何でもいいんだよ」


「思考が常人のそれじゃねえ……」


 風の大地の武士はみんなこんな感じなんだろうな。魔族相手でも容赦なく襲い掛かっていたし。そんな武士達もナハトが相手だと尻込みすると。こいつがいかに規格外なのかがよくわかるな。


 そんなナハトを連れて、俺は暇しているグランの元へと戻った。グランに早速紹介してやる。


「こちらナハト、殺し合いを所望しています」


「ナハトさんだよ。趣味は合戦で殺し合う事。最近は旅をして強者と日々戦っているよ」


「こちらグラン、殺し合いを所望しています」


「グランだ。殺し合いは所望してねえんだが、それに近しい気持ちで相手してもらえるってなら助かるな」


 お互いに挨拶を済ませる。そして、早速武器を構えた。


「ただのガキじゃねえな。戦士のオーラを感じる。こりゃ、適当にやってたら首を持ってかれるな。体が鈍っている一戦目の練習としちゃ上出来だ」


「うん、確かに強そうだね。魔の大地に着くまでの練習相手にはなりそうだ」


 どうやらお互いに好敵手として認め合ったようだ。いやー、よかったよかった。需要がしっかりとマッチした様子。


 俺はその場を静かに後にした。勝手にやってろって感じ。船を壊さなきゃもうなんでもいい。さっさと水をエクレアに届けるとしよう。随分と時間が経ってしまったが大丈夫だろうか。


 エクレアのいる部屋の扉を開ける。頭がおかしいほどの熱気が俺を襲う。この中で過ごしていて、大丈夫ではないと思います。湯気とか凄いもん。この部屋に入っただけで汗があふれ出る。


「エクレア!!」


 湯気で凄いので、感覚でエクレアがいた場所まで進んで行く。近づくとそこにエクレアはいた。うん、いたにはいた。ただ、こう、なんだ。俺の目の錯覚かもしれない。錯覚だと思うんだよな。だって、()()()()()()()()()()()()()()


 俺の性欲が作り出した幻影なのではないか。そう疑ってしまうのも無理はないだろう。いや、信じないぞ。俺は信じない。話しかけて返答が帰ってくるまで、本物のエクレアだと信じねえから。


「あっ、アリマ。遅いですよー、もう干からびるかと思いました。おおっ、お水を持ってきてくれたんですね。では、早速いただきます。うん、美味しい!!」


 裸のエクレアに水をひったくられるように持ってかれた。どうやら、本物のようですね。


「……おや。先程から反応がありませんがどうかしましたか?」


「いやー、胸とか触れて叩いてくる女が、随分と開放的な恰好しているなって思ってさ」


「ああ、これですか。暑くて死んじゃいそうだったので、もう全部脱げばいいやと思いましてね。ほらっ、私って普段は、そこそこ露出度の高いシスター服を着ているじゃありませんか。もう、一緒かなって!!」


 会話をしていて一つ気づいたことがある。こいつ、暑さで正常な判断が出来ていない。いつものエクレアなら、裸を見られた時点で俺の方に拳がとんできてもおかしくない。


 思考が壊れているのは間違いなさそうだ。


 ただ、こいつ本人が露出度が高いって自覚していた事に驚いた。じゃあ、普段から若干の露出狂の可能性があったわけだな。まあ、こいつエムだし。その点についてはそこまで驚かないが。


「他の誰かが来たらどうするんだよ。服を着ろ、服を」


「暑いから嫌です」


「着ろ!!」


「やーです!! いいじゃないですか、どうせ湯気でいい感じに隠れますし!!」


「確かにそうだけども!!」


 湯気さんがいい仕事しているおかげで、肝心な部分は見えてない。だが、湯気さんがいつまでいい仕事してくれているかわかんねえだろ。


「やめろ、やめろ、最終決戦って時にお前は裸で戦うきか!? とんでもない痴女だよこりゃ、相手の魔族もドン引きだよ!!」


「外に出る時は服を着ますよ?」


「そんな当たり前の事を堂々と言われもなぁ……」


 というか急に正気に戻ったような言葉を言うな。こいつ、どうしたら服を着てくれるんだ。というか、俺はどうしてエクレアに、服を着させる作戦を考えなくちゃいけないんだよ。


 あっ、そうだいい事を思いついた。


「今着ないなら、お前の服船の外に捨てるぞ!!」


「なんてことを!? そんな事をしたら服が着れなくなってしまいます!! 全裸で過ごすのは嫌ですよ!!」


「じゃあ、今から着ろ!!」


「嫌です!!」


「おかしい、理屈が通じないんだが?」


 服を捨てられますよ。着るか、全裸か。どっちも嫌はただの我儘じゃねえか。こりゃ、たまにあるイヤイヤモードになってんな。


 あー、てか俺も考えるのめんどくさくなってきた。くっそ暑いんだよここ!!


「俺はお前の為を思って言ってるんだぞ。こうなりゃ実力行使しかねえようだな」


「ほうっ、アリマが私に勝てますかね?」


「誰目線なんだよ!? さっきもこれ言ったぞ!?」


 別人にだけどな。こうして、俺のとエクレアの仁義なき戦いが始まった。俺は無理矢理にでも服を着させようとする。それをエクレアが阻止する。


 誰のための戦いなのかわからない。もう、色んな所に当たるがそんな事を気にしている余裕はねえ。結構長い間続いた戦い。いつしか終わりを迎える。


「はいっ!! 俺の勝ち!! お前は服を着たので俺の勝ちです!! 誰がなんと言おうと俺の勝ちなんですよね!! はい!!」


「ま、負けた……」


 全裸から半裸になった彼女の目の前で、よくわからないままガッツポーズしている男の姿がそこにはあった。というか俺であった。

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