空飛ぶ乗り物、その名は
さて、最後は火の大地にある魔導都市エンデュミオンだ。リューネ・イスガルド博士が、魔の大地の風の障壁を突破できる何かを用意しているらしいが。
俺達はリューネの研究ラボに向かう。すぐにリューネが出迎えてくれた。
「よく来たね。もちろん準備は出来ている」
「準備は出来ているって言われてもな。それで、どうやって風の障壁を突破するんだ?」
「そう、急がなくてもいいだろう。なぁに、見ればわかるさ」
という事で、リューネの案内で進んで行く。俺達の目の前に現れたのは巨大な船だった。そう、海とかで移動に使っているあれだ。
「リューネ、魔の大地は浮いているんだぞ?」
「逆に聞きたいのだが、私がその情報を取り入れてないと思うかね?」
「いや、知らないわけがないと思ったけど。自慢げに普通の船を見せて来たからさ」
[ふふっ、これは普通の船ではない。風の遺跡から見つかった遺物をもちいて、ごちゃごちゃやっていたら生まれた物だ。その名も飛行船!!」
リューネがそう言うと、プロペラのような物が船に出現した。プロペラが回り始めると船は宙に浮いた。周りはおおっとなっている。
俺は前世で見た事があるなあと思いながら見ていました。
「見つかった遺物に、魔力を溜めこむことが出来る石をくっつけた結果だ。燃費は凄い悪いが、まあそこら辺はなんとかなるだろう」
「リューネにしては随分と適当な言い方だな」
「はっきり言って試す時間がなかった。正直に言おうか。なんか浮いたからこれで行くかという感じなんだ。そこは察して欲しい」
いいよ。そこはいいとしよう。それよりも気になる事がある。
「まあ、移動できるのなら何でもいいか。燃費が悪いってのはどういう事なんだ?」
「誰かが石に魔力を込め続けていないと墜落する」
「欠陥品じゃねえか!?」
「この短時間で、浮遊する物体を生み出した事を評価して欲しい」
それはそうだ。今まで多くの人が乗れる空飛ぶ乗り物は存在しなかった。それが生まれただけでも、素晴らしい発明だろう。
となると、魔力を常に入れられる人物が必要だな。
「魔力だけは無駄にある魔力電池があるから大丈夫か」
「おや、この流れでどうして私の方を見るのでしょうか?」
エクレアは首を傾げていた。
こいつに常にやらせればいいし、問題はないに等しいか。
「安全確認から、移動、着陸までココロが全てやってくれる。どうだ、ココロは素晴らしいだろう。ココロさえいれば難しい操作も必要としないのだ」
「親馬鹿はさておき、こいつはもう動かせるのか?」
「「「「無理っす!!!!」」」」
なんか、飛行船の方から声がした。メンテナンスをしていそうな人達から、無理という声が聞こえてくるんだが。というか聞き覚えがある声だな。
いつから王都セイクリアの騎士は技術者に転職したんだか。
「だそうだが」
「大丈夫だ。九割は完成している。つまり、九割は大丈夫というわけだ。研究の第一人者である私が大丈夫だと言っているんだぞ。大丈夫に決まっているだろう」
「わかったよ。世界の一大事だ。早く行けるに越した事はねえからな」
リューネを信じる事にした。一番こういうのを気にしそうなアリシアは酔って潰れてるし。誰も口出しはしなかった。まあ、よくわからんけど行けるならいいかって感じだ。
リューネの指示で俺達は飛行船に乗り込んだ。見た目通りの大きさだ。特別な所はなさそうだ。間違えねえな。とりあえず海にある船に遺物をくっつけて、研究してたんだろうなって事がわかる。
これを作った当事者は、通信石で指示を出すと言っていた。魔の大地は危険なのはわかっているから来なくていいんだがな。
船に乗ったそれぞれの様子を見てみようか。グランは自分の相棒の竜とドラを船の乗せてくれていた。エクレアは燃料なので部屋の中で待機。ナハトは酔っているアリシアを連れて部屋に。グランは筋肉を生かして積荷を運んでいる。
リュカは俺の隣にいるんですね。
「やっとだね」
「ああ」
「なんか凄く、短い間の出来事のように感じるよ」
リュカが遠い目をしていた。色々な事を思い出しているのだろう。リュカと俺は、ほとんど一緒に旅をしていない。だが、離れていてもわかる。リュカはこの旅で成長したんだ。
ちゃんと世界を救えるまでにな。俺はかわんねえけど。
「まだまだこれからだぞ。これからが大変な所だろう」
「うん、そうだね。でも、これだけは言いたかったんだ。アリマがいなかったら、きっと僕は村で泣いていたと思う。僕を村から連れ出してくれてありがとう」
「照れくさくなるような事言うなよな。まっ、感謝は貰っておくぜ」
すると声が聞こえた。
『飛行船発進します!! えっと、えっと、これかな? いや、こうかな。あっ、動いた』
ココロの声だ。非常に不安な様子だが、本当に大丈夫なんだろうな。そう思っていると飛行船は浮いた。音とかがうるさいがこれでなんとか移動は出来そう。
速度はそこまで早くはない。これは少しの間だけ、空中での移動を楽しむ以外にする事がなさそうだな。ちょっと他の奴らの様子を見てくるか。




