集え!! 魔の大地へ
とりあえず、いつものシルドラの船を使って土の大地へとやってきた俺達。シルドラは恨みがましそうな目でこちらを見て来たがそんなのは知らないよ。
多分だけど、船が壊れかけている事についての文句だろう。俺じゃなくて隣のエクレアを見てくれ。最後にとどめ刺したのはエクレアだぞ。俺じゃねえから。
「あっ、これから魔王のとこ行くけどお前もどう?」
「そんな、ちょっと酒場によってくみたいに言われてもな。このボロボロになった船を修復するのに、時間がかかりそうだから遠慮しておく」
「大変そうだな」
「おかげさまでな」
との事だった。誘ってはみたが忙しいから無理と言われてしまった。シルドラは来ないとは思っていたから、予定通りと言えば予定通りだ。
それで、俺達は若干復興気味のユラシャの大地へとやってきた。一番最初に見つけたのが、ノービス・エレクトラムだった。本当は別の人が良かったが、こいつに話しかけるしかない。
「よお、いい感じに復興してるな。俺達は魔王を倒しに行くんだけど、土の大地から誰か来ない?」
「私が行きたいところですが。しかし、私はあまり暴れると心配をかけてしまいますからね」
このやり取りちょっと前にもやった気がする。
「そうですね。ジーク、ジーク、ジーク、どうして聞こえなふりをするのですか? 私が名前を呼んだらすぐに来るべきですよ」
「いやぁ、そういうわけじゃないですよ」
ノービスがジークを呼んだが、ジークは俺の目から見ても聞こえふりをしていたな。まあ、俺がノービスに呼ばれても一回はスルーするからな。気持ちはわかる。
絶対に面倒な事になるってわかるもんな。
「貴方暇でしょう。ちょっと行ってきなさい」
「ちょっと行ってきなさいって、おじさんはもうアンタの部下じゃないわけですよ。ほらっ、傭兵団の事もあるしね。おじさんはお断りしたいなぁーって思うわけ」
「しかし、水の大地からは賢者が一人ついて来ています。土の大地からも一人出さなくては、何をしていると言われてしまうでしょう。ここは、戦える中で一番強い者が行くべきです」
いや、そういうつもりで連れてきているわけじゃない。そんな徴兵制度のような感じじゃねえから。みんな、行きたい奴だけ連れて来てんだよ。
アリシアもなんか微妙な顔してんぞ。
「はえー、でもこんなおじさん役に立たないと思うんだけどな」
「つべこべ言わず行きなさい」
「はい」
ノービスには逆らえない様子。こうして、土の大地からは竜騎士ジーク・フリードルが魔王討伐隊に参戦。本人は行きたくなさそう。
「すまん、やっぱつれえわ」
「まあ、これで最後だと思うから頑張ってくれ」
「しゃあないな。若者ばかりが頑張ってんのもよくないし、ここはおじさんも少しは頑張ろうかね。それで、酒って飲んでいいのか?」
「戦う時に影響がなければ好きなだけ飲んでいいぞ」
「タダ酒だぁ!!」
「自腹に決まってんだろ!!」
さて、次に向かうのは風の大地だ。シルドラに無理矢理船を動かしてもらって進む。倭国の近くまで行くとナハトを発見した。発見したというかは、誰かから逃げているといった感じだ。
「助けて、ナハトさんは悪い奴に追われているんだ」
「えらい急な話だな」
しょうがないので匿ってやったら追ってが来た。どう見てもドイザエモンだ。
「おおっ、アリマ殿。ここに御屋形様が来ませんでしたか?」
「いや、見てないな。俺達は見ての通り、これから魔王を討伐しに行くんだがどうだ。風の大地から行きたい奴はいるか?」
「よく見ると、それぞれの大地から代表者が集まっておるようですな。もう少し若ければ……」
老人特有の同じ話を聞いて、とりあえずドイザエモンはナハトを探しに移動していった。というか、ナハトは火の大地で別れてから、風の大地に帰って来ていたんだな。
「おにーちゃん達はこれから魔王と戦いに行くの? えー、いいなあ。ナハトさんは机でお勉強なのになぁ」
「しまった。余計な事を言ってしまった」
「そういうのって、本人の前では言わないもんじゃないの?」
「それで、ついてきたいってわけか。子供の遊びじゃねえんだぞ」
「そこで、お酒飲んでるおっさんよりは役に立つと思うよ」
ジークは移動中もお酒を飲んでいるからな。というかアリシアも一杯貰って、完全に酔ってしまっている。
「私はいつも、頑張ってるのに、魔術で負けてー、それでぇ」
「おおっ、辛かったな。嬢ちゃん、ほらっ、飲んで忘れなって」
これが勇者パーティーの姿か? エクレアは笑顔で止めないし。リュカも見なかった事にしている。オービタルは絡まれないように黙っているな。
俺も近づきたくないから無視してやろ。
戦力として考えるなら、ナハトはこの中なら最強と言ってもいいだろう。やはり、火の大地で起きたレンとのやり取りを経験したのがでかいだろう。
間違いなく、リュカとエクレアの次に人間側での最強の戦力と言ってもいい。
「まあいいか。来たいって本人が言ってるわけだしな」
「やったー、ナハトさんの本気見せちゃおうかな」
「程々にしろよ」
という事で、風の大地から剣豪の血を引くナハト・カゼハヤが合流。若干操作しづらそうだが、こいつは勝手に敵を倒してくれるので放置戦力で言いだろう。
さて、風の大地から出ようかなって時だ。俺達の後ろからドタドタと大きな音を立てて、近寄ってくる強大な影がいた。
「おおーい!! オレを忘れて貰っては困るぜ!!」
「グランか。体の調子は良さそうだな」
「寝てた分だけ体がなまっちまってるからな。魔族代表として、勇者パーティーに復帰だ。そこら辺の魔族には負けるつもりはねえぞ」
「んじゃ、よろしく」
俺が嬉しいというよりはエクレアとリュカが嬉しそうだ。
「ちゃんと戦力になってね」
「あたぼうよ。オレを誰だと思っている。勇者パーティーの盾グランだぞ」
「知ってるよ。頼りにしてるから」
特にリュカはなんだかんだでグランとの付き合いは長い。見知った人物がいるというのも嬉しいのだろうな。
「んっ、リーンじゃねえか!? どうして……」
「あっ、そいつは大賢者リーンじゃないんだよ。リーンの娘であるアリシア・ポートメントだ」
グランはアリシアの顔を見て、リーンと勘違いしたようだ。まあ、顔から体系まで瓜二つだからな。リーン・ポートメントは成長が二十代で止まってる感じあるし。
「そう、私はいつも大賢者と比べられるの!! うわーーん、顔なの、顔が一緒だから!? 私はアリシアなのにぃ!!」
「い、いや、なんかすまん」
酒で面倒な状態のアリシアをつついたのはお前だぞ。グランに処理を任せるとしよう。リュカもすっと離れたみたいだしな。
それで、こっちではナハトとエクレアか。
「ナハトちゃんも魔王討伐に行くのですね」
「もち、おねーさんもナハトさんが守ってあげるよ」
「いえ、私は自分の身は自分で守りますから。この拳で!!」
「前々から思っていたんだけど、おねーさんって本当に聖女なの?」
それは誰もが思っていた事だぞ。拳で戦う系聖女なんだよ。最近は女神の力も若干貰って、さらに強化されているからな。
「収拾がつかなさそうだね」
「リュカもそう思うか?」
俺とリュカは顔を見合わせて笑った。




