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完全復活ってわけ

 俺はネストに地上に送られた。その後、ネストの野郎は用事があるとか言って消えちまったよ。あいつが勝手に現れて、勝手に消えるのがいつものと言えるので別にいい。


 今はリュカ達との合流を急ぐ事にしよう。少し歩くとどうやら戦いは終わった様子だ。土の大地のような目立った傷跡もない。ほとんど無傷で魔族を撃退できたようだ。


 おっ、休んでいるリュカ達が見えて来た。


「おっす、どうやら下の戦いは終わったらしいな」


「久しぶりだねアリマ」


 リュカは温和な笑みで俺を迎えてくれた。体を見ると怪我などはないから、ちゃんと復活したようだ。勇者完全復活って所だな。


「その様子じゃあ、ちゃんと体は回復したようだな。今まで休んでいた分頼むぜ」


「うん、四魔卿全ての相手をアリマがしたみたいだし。今後は僕も頑張らせてもらうよ」


「それで、他の奴らはどうしたんだ?」


「あぁ、エクレアさんはいつものように怪我人を治療しているよ。アリシアさんも一緒に来ているんだけど、エクレアさんの力に興味を持って一緒に行動している。それにしても、エクレアさんはの力は凄いね。まるで別人みたい」


 まあ、ほんの少しではあるが女神イリステラの力を手に入れているからな。本当に女神イリステラの力は、この世界にとって異質だって事がよくわかるよ。ありゃ、人間が持っていい力の限度を超えている。


 エクレアはその点を理解していなさそうだがな。


「まっ、別人ってのもあながち間違ってないかもな。それよりも四魔卿は全員撃破した。後は残す所魔王だけ。それでさ、魔王はどこにいるか知っているか?」


「その点については安心して。四つの宝玉を集めている時に調べていたから」


「ほう、そりゃ頼もしい」


 場所がわかるなら話が早い。乗り込むだけだからな。


「魔王は魔の大地と呼ばれる所にいるみたい。そこは僕達が暮らしている四大地よりも、遥か東に存在しているらしい」


「つまり海を越えなくちゃいけないわけだな」


「海もそうなんだけど、魔の大地はね。浮いているらしいだよ」


「浮いている? 陸地が空に浮いているって事か」


 ようは空島みたいなもんか。海路では絶対にたどり着けないわけだな。いや、待ってくれ。空を移動するとなるとこの世界じゃ限られてくる。


 俺が知っている限りだと、竜と魔術での方法以外は知らない。あっ、あのネストが使う次元の移動みたいなのは抜いているぞ。あれはあいつにしか出来ないし、どうやら特定の場所しか移動できないようだしな。


「アリシアの魔術で移動は?」


「出来ないってさ。リーンさんでも無理だったって言ってたから、魔術での移動は避けた方がいいと思う」


「そうなると竜になるが」


「その事なんだけど、竜での移動は多分無理だと思うよ」


「どうしてだ?」


「魔の大地には風の障壁に覆われていて、竜の移動方法では危ないみたいだよ」


 さらに面倒事が増えた。ようは凄い風が吹いているから生き物では近づくことが出来ないってわけか。そもそも俺は、竜での移動が出来たとしてもお断りだがな。


 魔の大地にどれだけの戦力がいるのかわからない以上、出来るだけ多くの戦力を連れていける方法を見つけた方がいいからな。


 魔族の戦力は当然いるとして、四魔卿のような強さを持った敵がいないとも限らない。そうなりゃ、魔王だけ相手にしておしまいってわけにはいかないだろう。


「とここまで知っているかのように話はしたけど、どれも伝承に書かれていただけなんだ。実際に魔の大地を見てないから全部嘘かもしれないね」


「伝承に残ってるって事は誰かが見た可能性が非常に高い。あながち嘘でもないんじゃねえかな。だが、そうなると風の障壁を突破できるような乗り物が欲しいな」


 この世界の乗り物なんて船以外見た事がねえけどな。その船もエンジンとかがあるわけじゃない。風を使って進むタイプの昔ながらの作りだ。技術的に厳しそう。


 こりゃ、どうするかね。


「その点は一応だけど、リューネ博士が考えてるみたい」


「リューネがか。んじゃ、残りの戦力をどうするかを考えた方がいいか」


「そうだね。戦力を集めつつ、最後に火の大地にある、魔導都市エンデュミオンに着くようにすればいいんじゃないかなって思うよ」


「それがよさそうだな。エクレアとアリシアが帰ってきた次第、出発って感じでよさそうだな。それよりも、お前の魔王への告白も近づいてきてるぞ。ちゃんと考えているか?」


「うぅ、それは移動中とかに考えるよ」


 他愛のない会話をしながらリュカと二人待ち続ける。少しして、俺を見つけて嬉しそうな表情のエクレアととんでもなく疲労感が強いアリシアが帰ってきた。どうして疲労感が強いのかは想像出来ちまうな。多分だが、エクレアのせい。


「アリマ!! その様子では、四魔卿は全て倒したみたいですね。こちらも怪我人の治療を終えました」


「お疲れさん。それで、そっちの賢者は随分と疲れた顔をしているな」


「ええ、貴方の彼女が随分と振り回してくれたから。貴方、よくついていける体力があるわね」


「まっ、慣れだよ」


 エクレアは不思議そうな顔をしていた。


 エクレアと二人旅をしていると進まない事が多いからな。やれ、誰かが倒れているとか、魔物に襲われている村があるとかで、どんどん無償の人助けをしようとする。


 悪い事ではない。だが、周りの人間はエクレアについていく必要があるからな。一人だと、たまに変な事しでかしたりするし。放ってはおけないからな。


「それにしても、聖女の力は凄いわね。あの全てを包み込む聖域は、誰も真似できないんじゃないかしら」


「魔術的に再現できんのか?」


「仕組みがわかれば、似たような事は出来るかもしれないわ。だけど、使っている本人に話を聞くとね……」


 疲れた表情を見せるアリシア。


「どういう説明をしたんだお前」


「普通に説明しましたよ。こう、がぁーーーーとやって、魔力がドバドバって感じで、ビューーーーンと展開すると聖域が生まれます」


「嘘だろ。子供でももう少しまともに説明するだろ」


 つまり子供以下。この説明でわかる奴がいるのなら教えて欲しい。なんだその擬音語だけの会話は。もう少し人間らしい会話を心掛けろ。


「そうですか。うーーん、これ以上わかりやすくは出来ませんね」


「そうか、お前に聞いた俺が馬鹿だった」


 再現は一生出来なさそうだな。


「そう言えば、ヴァイオレットがエクレアの聖域を見て、目を輝かせてどこかに移動したわ。もしかしたら、ヴァイオレットならやるかもしれないわね」


「ああ、それは……」


 多分だが、魔術のフェーズ二の応用を思いついたのだろう。聖域とかには興味がないと思う。あいつは自分が一番最優先だし。


「まっ、何にしてもそろそろ行くぞ」


『俺様もいるぞ!!』


「なんだ、お前もいたのか」


『ヴァイオレットは杖使いが荒い。アリシアといるのが一番だとよくわかった』


 杖に封印されたオービタルは四魔卿との対戦とあって、ヴァイオレットの手に渡っていた。だが、結局はアリシアの元へと帰ってきたらしい。


 アリシアといるのが一番と言われたのが嬉しかったのだろうか。賢者様は心なしか疲れていた顔が回復している。よかったな。


 という事で、俺達は水の大地から土の大地へと向かう。


 水の大地からは、賢者アリシア・ポートメントと杖オービタル・デュランダルが魔の大地に同行してくれるようだ。ヴァイオレットは用事でお休み。


 それと勇者リュカ・ブレイブと聖女エクレア・サンクトス。ここはいつもの枠って扱いでいいだろう。とりあえずの目標は、魔の大地へと向かう仲間集めだな。

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