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25歳の一人暮らし

 25歳になって、初めて一人暮らしを始めた女性。期待通り、すぐに彼氏は出来たものの……。恋愛は難しい。

 大きな荷物を抱えた女性と、バラエティーショップの店員と思われる男性が、道路脇で手をあげ、タクシーを止めた。女性と店員は、それぞれカラーボックスと何かの荷物を持っている。店員は止まったタクシーの後部座席に荷物を入れると、丁重に挨拶をして離れていった。残った女性も、丁寧に店員に礼を返していた。

 動き始めたタクシーのドライバーに、女性が行き先を告げた。タクシー・ドライバーは、女性に話かけた。

「地方から、東京に出て来られたんですか?」

 時期的に、一人暮らしを始める季節。しかし、返って来た答えは、

「私、東京出身です。でも、最近、親を説得して一人暮らしを始めたんです」

「そうですか……。一人暮らし、どうですか。彼氏もすぐにできちゃったんじゃないですか?」

 そう尋ねるタクシー・ドライバーに女性は、

「最近、彼氏と別れました」

 と、応えた。

「そうですか。恋愛って、難しいですよね。原因は、男の浮気ですか?」

「うーん、逆です……」

「ええ、彼女が浮気ですか?」

「そうじゃなくて、あまりにも嫉妬深いので……。知り会ってすぐくらいに彼は、私の部屋に住むようになったんですけど。でも、その後が大変で」

 深夜の街の中をタクシーは、右へ左へと走り続ける。

「学校からの帰宅がちょっと遅くなっただけで、“何してたんだ!”とか、うるさくって」

「結構、心配性なんだ、彼氏」

「でも、それが、度が外れているくらいで。だから、別れました」

「そうか。一人暮らしの第一歩は、男の度を越えた嫉妬で、つまづいちゃったわけだ。私は結構、放任主義ですけどね」

「放任主義もいいけど、でも、心配もして欲しいし……」

“やはり、女心は難解だ……”と、タクシー・ドライバーは思った。

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