365日、クリスマスソングを聞いてます ーその1ー
いつもの時間で、いつもの場所。その女性は、手を上げた。タクシードライバーは、彼の方からは声をかけない。しかし、その日は違っていた。
タクシードライバーは、彼の方から話しかけることはない。しかし、その日は違っていた。よく乗って来る女性なので、つい声をかけた。いつも彼女は、イヤフォンを耳につけてリズムを取っている。
「最近は、どんな曲を聞いているんですか」
「私、一年中、クリスマスソングを聞いてます。一年中」
「一年中、ハッピーなんですね」
「そう、ですね。洋楽ばかりですけど」
「たとえば、ワムとか」
「最近は、ジャスティン・ビーバーとマライヤ・キャリーのデュエット曲とか」
「そんな曲も、あるんですか」
「ジャスティンが、意外とうまいんです」
「いつも人生、ハッピー?」
「恋多き、女です。出会うと、すぐ、好きになっちゃうんです」
「たとえば……」
「たとえばぁ、ですか……」
長くなるので、続きは次回。
タクシードライバーは、彼女と話をしていて、一人の女性を思い出した。恋多き女である。
「俺は、ダメなの?」
「だって、あなたには、彼女がいるじゃない」
恋多き女には、恋のルールがある。