竜族の残骸処理に行ったのに、火神がお土産渡してたっぽい
「よいせ……っと。」
とりあえず、転移石の付近にある平地に竜族の死骸を置いておく。
要らない竜族の買い取りセンターとかないので、しかたなく処理場代わりに火の星にきたオレたちなわけなんだが。
やっぱこの星の風景はひっどいね! 住みたくはねぇぜ。
マジもんの火の海、溶岩溢れるゴツゴツの山、ギザギザの足場、ひどい暑さに地獄の風景だもんなぁー。
殺風景っていうけどさ、文字通り殺しにくるんよなーここ。
「レイ殿。惚けておると、いつぞやのようになるぞえ。」
「おお、すまんすまん。」
そうそう。前フウカと来た時、地味に助けられたんよな、火柱から。
「さ、ご主人様。参りましょう。」
「あ、はい。」
アマネにエスコート……されてんのか? これ。まぁしがみつかれてはいるが。
いつ離してくれんだろなー。敵と戦うような時ぐらいなのかなー。
もういっそ抱っこ紐でも導入検討が必要だろうか……。
――――
――
「かーっはっはっは! ずいぶんと早い再会ではではないか!」
いやぁ、アンタらの基準だとそうなんだろうけどさぁ、たしかアンタのとこ来たの4か月くらい前だかんね?
オレの感覚だと、
よ! 久しぶりだなー、元気してた? あれ? 痩せてね? 大丈夫? とか、そんなやり取りしないといけない時期なんですがね?!
「ども。お元気そうで。」
「かーっはっはっは! お主のおかげでなぁ、ずいぶん調子がよいぞ! して、今日は何か用か? それとも土産話か? フウカも刀鬼まで連れて……」
「グエン様。私はもう、刀鬼ではありません。ご主人様より戴いた闇御津羽天弥媛神という名がございます。」
「ほぉー。それはまたずいぶんと立派な名を与えたな! かーっはっはっは!」
「いや、まぁ何と言うか……相応しい名前を~って考えてたら、そうなって……」
「いやいや、我が贈ったものたちも神具にまでして、ずいぶんと格を上げておるようだしな、我としても嬉しいというものよ!」
グエンは、バシバシと自身の膝を叩いて豪快に笑っていた。
うーむ。やはりオレ、得意ではないが、嫌いじゃないぞ、この神。
もちろんアンタにもらった刀たちは、大事に大事に愛でてるぞ!
まぁアマネは……愛で……てはないが……大事にはしてる……ぞ? うん。
「あ、で、今日なんすけど……」
「レイ殿、こなたからよいかえ?」
おん? 珍しいな、こんなフウカ。
「いいよ。」
まぁ別にオレが説明しなくたってねぇ。
そういえばフウカはグエンとは親戚なんだしさ。
どうぞどうぞ仲良くしてくださいな。
「うむ。すまぬぞえ。……グエン様。神狐の郷に竜族が飛来しましたえ。」
「なんだと? 前回よりたいして時も経っておらぬではないか。」
「そうにございますえ。まだ、30年ほどと存じますぞえ。」
「ふーむ。たった30年か……空の浮島で何かあったか……?」
グエンは顎に手を当てて考え込んでいた。
が、ポンと手を叩いたかと思えば……
「うむ。であればフウカよ。初代の薙刀を渡そう。」
「なんと……しかし、力を失っておるのではないのですかえ?」
「かーっはっはっは! 隣におるではないか。己が神力を惜しげもなく分け与える奇特な神がのう。かーっはっはっは!」
おん? なんか不穏な事言ってないか? 薙刀?
つーか、空の浮島とか何の話だ? まぁその辺は後で確認すっか。
「なるほど……。そういうことですかえ。」
チラリとこちらを見てくるフウカ。
「レイ殿や。後ほど見てもらいたいものがあるのえ。」
そして、フウカは心臓が止まりそうなほどの妖艶な笑顔を向けてきやがっ……てんじゃねぇよ! やめろよ! いい加減オレ、冥土の旅編始まっちゃうって!
「……ご主人様」
何かを察したのか、アマネがキュッとしがみつきながらうるうるしてくるし!
あーもう! 天国なのか地獄なのか! オレにはわかんねぇ!
「いや、それはいいんだけどさ、ほら、竜族の死骸……」
「おお、そうであったえな。グエン様、此度の竜族は、レイ殿とアマネ殿で討ち果たしたとのことですえ。死骸を持ってきておりますでの、火の海での処理の許可を頂とう存じますえ。」
「な、なんだと? 討ち果たした?! かーっはっはっは! 誠にか! アレは神族でも手に余る者もおるというに。驚かせてくれおるわ! かーっはっはっは! 死骸なぞ、その辺に勝手に沈めておけばよいわ。」
「ありがとう存じますえ。」
「よし!」
パンパンと手を叩くグエン。
「どうされましたかナ。」
サッと現れた影。
お、いつぞやの猫精だな。二足歩行の猫。
こうしてみると、大猫族よりは断然かわいらしいサイズ感だな。
「神狐の薙刀を持ってまいれ。」
「わかりましたナ」
――――
――
フウカが何やらながーい棒状のものが入っているだろう包みをグエンから受け取ったのを見届け、グエンの部屋を後にしたオレたちは、竜族の死骸処理にと岩場に戻ってきていた。
「よいせっと。この辺りから落とせばいいかなー。」
よっこらしょーどっこいしょな感じで運んできた竜族の死骸。
まぁ、神力込めてたら重くはないんだが、デカいんだよ! オレのボディはお子ちゃまボディなんだっての。
もうちょっと遠慮してくんねぇかな。こんなにでっかく育ってくれやがってよ!
食えもしないんだしよ! 無駄に育ってくれちゃって……
つっても、巨人ほどじゃないかぁ。デカかったもんなぁ、巨人。
んーむ。
ニケは無事だろうかなー。神具三点セットがあるから、よっぽど平気だろうけどさ。
母神様も探してくれてるみたいだし、まぁ大丈夫だろうと信じよう。
「レイ殿、おそらくこの辺りはまだ浅いえ。もう少しあの辺りへの……」
「おおそうか、もう一息だな……」
「ご主人様、ご尽力かたじけなく……。」
「あ~ら、ソレって、竜族じゃなぁ~い? なになにぃ? 死んじゃってるの~?」
ん? あれ? フウカでもアマネでもない声が……?
だ、誰だっ?!
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