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龍神天降


龍神化したアマネに加勢するべく、ルビィの背に乗り駆け付けると。


紫黒の龍神と、赤っぽい竜族が、文字通り震源地となっていた。


揺れる大地、そして、無くなったのであろう森の木々。


一面の森だったはずの場所は、円形に更地と化していた。


「……駄竜めが……ご主人様に牙を剥いた愚行……思い知りながら逝くがいい……痴れ者め……!」


――ゴロゴロゴロ……


アマネ龍は、どうやら雷雲を呼び寄せたようだ。


滅多なことでは悪天候にならないテイルヘイムの空が……!


局地的に真っ暗である!


「ルビィ、アレが落ちるまでは待機!」


「はい!」


次の瞬時、ざあっと雨が降り出した。


そして……


「グオオオオ!」


赤竜が吼えた!


天降(あまおる)!」


アマネの声が、空に溶けた。

その瞬間、轟音が(ほとばし)った。


――ピシャーン! バリバリバリッ……!


くあー。オレの淡墨の雷撃が局所型だとしたら、アマネのアレは広範囲型だなー。

空から真っ直ぐに、ぶっとい光の柱が地面に突き立った感じだ! こっわ!


とんでもない光量と、蒸気だかなんだかの煙が晴れた頃。


超高熱だったんだろう光の柱が突き立った辺りは、地面が溶岩のようにドロドロに燃えていた。


「ル……ルビィ……ルビィはここで、待て、な? 待て。後でちゃんと撫でてやるから、待て。」


「はーい!」


あんな場所、ルビィに歩かせるわけにはいかん。さすがにダメージ受けるだろ。


ルビィの背からサッと降りて……


慎重に……と、行きたいところだが、そうも言ってられない予感がした。


一気に間合いを詰める。


「アマネ! 多分脱皮してくるぞ!」


「ご主人様! ご無事で……」


「いいから、ちょっと飛べ!」


「は……はい!」


ビュワッと天翔るアマネ龍。


くー。龍、やっぱカッコイイね!


「グッ……グオオオオ!」


やっぱきやがった! マジで油断ならねー。


「アマネ! 水球いけるか?!」


「はい! ……天降・水龍!」


黒雲が纏まったようなデカい水柱が、勢いよく赤竜に向かう。うむ! 水"球"なんかじゃないな!


オレはタイミングをはかって打刀煉華(れんげ)を抜刀し、神力を込めて振り抜いた。


ビーム状の白い炎が、アマネの水柱と……赤竜の身体で交差する。


――チュドォーーン!!!


水蒸気爆発連携バージョンだ! どうよ!


これで、奴のダウンは3度目だが……


3ノックダウン制であってくれ!


「キュ……ギュアアア……」


たちこめる煙の中から、ツルンツルンの竜っぽい何かが姿を見せた。ハゲた?! てか、まだだったか!


その刹那。


「……天降・風龍!」


アマネに油断はなかった。オレが動く間もなく、だ。


――ビュオオオッ!!


アマネが巻き起こした竜巻に運ばれて、ツルンツルンは――あっという間に空の彼方へ巻き上げられて……


あ……


――バリバリバリ!!!


電流渦巻く黒雲の中へ。


うむ。さすがに、身を守るモノも無くなったわけだし、もう……ねえ? 大丈夫……だろ?


「ボスー?」


「あれっ? ルビィ来ちゃったか!」


「うんー。あついのもうないしー。」


「おお、そうか。そうだな。」


まぁ、ルビィももうタダの飼い犬じゃない。れっきとした神狼だしな。自己判断もするだろうな。


うーん。


あんまり過保護にしてるつもりはないんだがなぁ。やっぱ過保護なんかなぁ……。


うーん。


と、悩んでいたら。


――ヒュルルー…………ドォーーン!!!


少し離れた場所に落下音。


「あ、ルビィ、ちょっと確認してくるわ。」


「はーい。」


「アマネー! もう龍化解きなー! そろそろ神力ヤバいだろー! オレ、ちょっとソレ確認してっからさ!」


「はい……。」


さすがにアマネも疲れた感じの声色だった。




デカブツが落ちてきたところに行くと……


わーお。丸焦げXだわ。


さっきまでツルンツルンのマルコメだったんだがな。


多分竜だったんだろうなーと、なんとなく分かる程度に、かろうじて形は残ってるけど……


念の為、触れてみる。


……うん。神力はすっからかんだな。脅威は去った!


はぁ〜……。

ただいまの挨拶が、とんでもない事になったなあー。

なんだこれ。


まぁ、逆に考えよう。間に合ってよかったな、と。


うん。世話になった郷だしな。あの和風の雰囲気は好きだし。皆無事でよかった。



あ。そういえば、これ食えるのかな?


ドラゴンステーキとか、定番じゃね?


……とりあえず試さねばなるまいよ!


っても、先に森の被害部分直した方がいいかなぁ?


んー。森の被害か……


試したい事あるし、今日はもう神力的に打ち止めだな。明日にするか。


「ご主人様……! あ……あの!」


「ボスー?」


「おお、アマネ、ルビィ、来たのか。」


なんだろう? すぐ来ちゃうな……?


アレかな? またオレがどっか行っちまうとか思ってたりするのかな?

いや、別に行かないんだぞ? そりゃたまには一人時間は欲しいけどさ。


ま、いいや。


「ちょっとこっち、2人とも」


こいこいと手招き。


「あ、は……はい。」 「はーい!」


よーしよしよしよし、よーしよしよしよし……


「あ……ご……ご主人様……」 「うひひー」


とりあえずは頑張った2人を撫で散らかしておいた。


オレのムツゴ〇ウスペシャルをとくと味わうがいい!

ふはははは!


――――

――


郷に帰ると……


「レイ殿……!」 「レイリィ様!?」


フウカとウィトが、石階段の上にある広場の入口にいた。


「被害、大丈夫だった?」


「ひ……被害は、戦いの余波がここまで届いておったゆえな、ここで防いでおったぞえ。」


「ウィトも! ウィトもがんばったニャ!」


「そ……そんなことよりレイ殿……それは……なんぞえ?」


「や、竜族……? だけど。美味いのかなって……」


「ひっ……?! そ……そのようなこと……呪われてしまうぞえ……! 早う捨てて来るぞえ……!」


「へ……? 呪い……? 」


「竜族など(くろ)うたら、竜の呪いで、竜族のようになってしまうぞえ。」


え、そうなんだ……?


あぶねぇ……あの場で味見しなくてよかった……。


ん? 呪いとかあるなら、逆にその辺に捨てたらまずくね?


うーん。エルヴァルド持ってって、何とかしてもらうかー。


うむ。環境汚染はよくないよな! そうしよ!



お読みいただけまして、ありがとうございました!

今回のお話はいかがでしたか?


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また、連載のモチベーション維持向上に直結いたしますので、すぐ下にあります☆☆☆☆☆や、リアクションもお願いいたします!


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