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2.30話 ガング翁との別れ

前回の話 : 巨人に引かれて……


さてさて。


ニケも撫でてたら少し落ち着いたかな?


満足しだした時のルビィみたいになっておるな。


ま、こんなとこだろう。


と、顔を上げ、前を見るわけだが……。


うむぅ。

少し離れたところに目的地らしきものが見えてはいるのだが。


どう見てもヤバい段差がすぐ下にあるのよねぇ。


数kmに及ぶんだろう、断崖絶壁がさ。


ガングさん、歩けないだろ……さすがに。真っ逆さまに……てなるよなぁ。


どうすんだ? 舟は乗れないの、さすがに覚えただろ? え、覚えた……だろ?


「ふぅむ。しかして、儂らに番の役目が回って来る前の者等は、虹を歩けたとも言うのじゃがの。儂には無理じゃ。」


あー、まぁサイズ的にも無理そうだが……


確かに虹、すり抜けてるもんなぁ。


「そうなんだ。で、どうすんの?」


「うむ。名残惜しくはあるが、ここでお別れのようじゃな。」


おお、さすがに無理がある事は自覚があったんだな。


よかったぜ……。無茶されなくてさ……。


心の中で拍手を送っておこう。


「そうかぁ。まぁ色々世話になったね。」


いや……まぁでも、普通……っちゃ普通か。むしろさっき何故いけると思ったか、って話だよなぁ。


「ほっほっ。お主がアズの者である限り、いくら我々の生が果てしないとて、おそらくはこれで永遠の別れともなろうなぁ。」


そう言いながら、顎をすりすりと擦るガング。


くそ、コイツ……


しんみりさせにくるんじゃねぇよ!


正直、色々教えてもらって助かったよ。


「……色々聞かせてくれて、ありがとな。」


「ほっほっ。なんのなんの。儂らはのぅ、時間だけはあるが、時間しかないとも言える。久方振りに楽しかったぞぃ。ほっほっ。」


「そうか……。」


楽しかった……か。


だから羽目を外してしまった……みたいな事なんだろうか……。


途方も無い時間を暇でしかたないって……


まぁそうなっても不思議はない……か。


そういえば、グエンさんもオレが行った時、めちゃくちゃ上機嫌だったな……。


こういう事だったのかもなぁ……。


「そうじゃよ。まだ幼いと言うておったお主には、まだまだ分からぬやも知れぬがのぅ。いずれ分かる時が来る。」


でも、正直……あまり分かりたい感情ではないよな。


踏んだり蹴ったり……の一言では済まないような前世は……


いつだってリセットしたいと、思ってた。


いや、むしろ……終わるなら終わって欲しかった。


でも、今は……リセット出来る神生になっちまった。


世界の時間巻き戻し系リセットでもなく、とても小規模なのが、オレらしいかもなぁ……


ってのは、最近思ってるんだよな。




永遠にも似た神生かぁ……


オレ、ちゃんと幸せになれるかなぁ……。


ま、とりあえず早く戻って、みんなに……


「よし。ならば、いつまでもこうしているわけにもいかぬじゃろうて。ゆくぞー……」


ん? なんっつった?


「そぉい!!」


――ギュンッ!!!!

お読みいただけまして、ありがとうございました!

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