2.27話 舟と虹
前回の話:バッシャーン!!
――ゴボゴボゴボゴボ
突然の出来事……といえばそうなんだろう。
オレは今、泉の中に沈められているらしい……。
……のだが。どうしてこう、水の中に不意に入ると前後不覚になるかねぇ?
水の中は宇宙空間なのかねぇ……。燃え上がれ小宇宙! ってか?
誰が分かんだそんなネタ!
いやいや、とりあえず落ち着いて、神力を拡げてニケを探し……
……いた。
第一ニケ発見だ! レイリィ隊員行きます! ってか?
てか、ここんところ水難事故多発じゃないですかねー?
フルーデルといいさぁ……。なんなのよ。
水中をコポコポと蹴り進んで、ニケを捕まえた。
ニケもワケわからなくなってるみたいで、無駄に暴れていたが、多分落ち着いてタラリアを使ったらよかったんじゃなかろうかと思わなくもないが……
まぁ……慌ててしまえばそれどころじゃないよな。
さてと。さっさと浮上するぜ! 誰が深海魚だっての! 進学校なんざ縁もゆかりも無いご身分だったわ!
――バシャアッ!
「ブハッ!」 「……ゴホッ!」
水面から顔を出したら、やはりニケは咳き込んでいた。
まぁ、いくら神具があっても人間だしな。いたしかたなし。
「大丈夫か? ニケ。」
「……ケホッ……う、うん。大丈夫。ありがと。」
「ったくよー。一体何が……っつーか……」
泉からデッカイ脚が生えてやがった。
「ガングさんよ!」
犯人はお前だ! 全部まるっとお見通しだ! 真実はいつもひとつだし、なんならじっちゃんの名にかけてやるぞ? じっちゃん普通の人だったけどな!
「おお、そこにおったか。」
そこにおったかじゃないわ! そりゃいるだろ!
オレは転移なんか使えねーんだからな!
んなこと出来たらとっくにいねーよ、こんな星にさぁ!
「ほっほっ。 小さきものは探しにくいのう。」
「……まぁ、そりゃそうだろうな。」
ガングにしてみたら、オレたちなんて指人形がイイトコだしな。ンなもんを水の中から探そうったって、中々難しかろうとも。
「んで、なにしたのさ?」
「うん? 儂は番人じゃからな。案内せねばならぬじゃろ。」
「うん。で?」
「じゃから、舟に乗らねばならぬじゃろ。」
「そうなのか?」
そこ、イコールの話なのか……?
「それが思いのほか小さくてのう。沈んでしもうたわ。ほっほっ。」
いやいやいや……
沈んでしもうたわ……じゃねぇだろ!?
サイズ考えろよ! サイズ!
どう考えても無理だろ?! 無理があんだろ?!
大人が幼児用三輪車に乗るより無理あるからな?!
むしろミニ四駆に乗るレベルだろーよ!
馬 鹿 な の か ?!
え、で……? 沈んだって……? 舟……? どうすんだ?
そういえば、さっきあったとこに無いな……。
「え、舟は? どこいった?」
「おお、探してはおるんじゃがなぁー。」
ガングは、泉に突っ込んだ片足をグリグリ動かしているようなんだが……
お前……それ……まさか……まさかだよな?
そんなわけ……そんなわけ……ないよな? ないだろ?
「お……? これかのぅ……。」
ガングは、精一杯屈むと、泉にデッカイ手を突っ込んできた。
「ヤバい! ニケ! 出るぞ! 飛んでくれ!」
「あ……!? う、うん!」
――ザッパーン!!
……ふう。
かろうじて間一髪。
ニケにしがみついて、空に逃げる事が出来た。
……危なかった。水難事故多発過ぎる。
「おお、これじゃ、これじゃ……って、半分しかないのぅ……? あと半分はどこいったかのぅ……?」
っておい!! やっぱ壊れてんじゃねぇか!! ったくよーもー!!
「あー、ガングさんよ。とりあえず岸にでも置いてくれよ。直すからさ。」
「ん? そうか? じゃあ頼むかの。」
「ん。ニケ、あっちに頼む。」
「うん。」
ニケに岸辺に降ろしてもらうと、舟の残骸とご対面した。
うーん。前半分無いな……。
これ、絶対ここ踏んだなアイツ……。
はぁ……。まぁいいけどさ。
元フルーデルの神力吸収したから、回復は出来てるしさ。
というわけで、あー……まぁ30分前くらいでいいか。何分すったもんだしてたか分からんしな。
すうっと神力を通して、映像を選んで戻す。
この一連の作業も、随分慣れたよなぁー。
最初は分単位で時間かかったのに、今じゃこれしきなら数秒だぜ。
……まぁ、触れてる場合に限るけど。
触れてないと、それなりに時間かかるし、神力効率も悪いんだよなぁ。
そっちはまだまだ要練習だな。ルーキスナウロスみたいな奴には、触らずに即対処! って出来た方がいいからな。
……ん? そういえば……触らないといえば、射程距離的なモンはどんな感じなんだろか。その辺の検証もそのうちやらねばだなぁ。
「レイのそれってさぁ、何回見てもすごいよねぇ。なんか、不思議だなぁ……。どうやって直してるの?」
なんてニケは言っていた。
「おお……直ったようじゃな? ほっほっ! 随分と凄まじい神能を持っておるようじゃのう。」
ガングもガングでなんとも暢気なコトを吐かしていらっしゃいましたとさ!
誰のせいでこんなことする羽目になったのかと……
小一時間問い詰めた後に一時間戻してやりたいぜ!
やらんけどさ!
「まぁニケさんや。どう直してるってのもさ、説明したところであまり意味はなくてだな? オレはこんな能力を持ってるヤツなんだよって感じだなー。」
「え? どういうこと?」
「ははっ! まぁやり方説明しても、誰も真似出来ないってことさ! ってかガングさんよー!」
「んむ?」
「アンタ、案内って、舟乗れないだろ? 今までどうしてたんだ?」
「ああ、今までか。番人の役目を受けてからは、誰も来ておらなんだわ。ほっほっ! 儂も初めて案内するんじゃよ。ほっほっ!」
……んなっ?! マジか!?
どおりでフェニヤもヒマだっつってサボってるわけだよ!
てか、初めてだとしても、舟乗れんことには気付いてくれよ! わりとマジでだぞ!
「ふむ。まぁ儂は乗れんようじゃからのう。歩いて引っ張るかの……。さ、そろそろ行くとするかね? 舟も直った事じゃしのう。ほっほっ!」
……HAHAHA
この爺さん、ボケてらっしゃるのかしら? 頭ん中リセットしてあげるべき?
はぁー。もー。
巨人族……大雑把過ぎるだろ!
オレもそーゆーとこはあるけどさぁ……
興味無いことには特にさ。
でもここまで酷くはないハズだ。
まぁいいや。
「おっし! ニケ! 乗るぜ!」
「う……うん!」
ニケは、なんだか生唾呑み込むような顔だな。
……まぁ、ガングの爺さんが何すっか分からんからなぁ。いたしかたなし。
「ほっほっ。乗ったかね。……どれ。」
「……キャッ?」
ガングは、オレたちの乗った舟を掴む。ニケが小さく悲鳴を上げた。
そして……
「おお!? すげー! どうなってんだ? ほら、ニケ! 目ェ開けて見てみ? すごいぞ?」
「……えっ? ……わぁ……。」
空中を運ばれて……
オレたちの乗った舟は、ついに! 虹の橋に浮かんだ!
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