2.22話 巨人翁の夜
前回のお話:RPGみ
夕飯を終えたオレとニケ。
適した場所でもあれば風呂でも作るんだが……
まぁ、汚れはリセットなのである。
何せ、風景も微妙だし、地面を溶かして固めるの、それなりに神力使うからな。
汚れ落としくらいであれば、リセットの方がコスパよいのだ。
だから今日は明日に備えて我慢である。
そんなわけで、寝床をどこにするかって感じでさっきまでウロウロしてたんだが、結局はガングの近く辺りが草とか多めで柔らかめだった。
あー。
今日も夜空が……全然綺麗じゃねぇわ。
何この暗闇。一生曇天なの? この星はさぁ。
荒野の岩ベッドよりはマシな草ベッドではあるが、野宿でしかないのに……
夜空に風情がないなんて! どうなってんだ? タダの真っ暗闇じゃねーか!
と、ふと隣を見れば、ニケはもうスヤリとしていた。
まぁ色々あったしな、巨人とか巨人とか巨人とかな。
疲れたんだろ。ゆっくり寝ておくれ。
ふむ。
ならちょっと、オレはガングの爺さんにでも話聞きに行くかね!
というわけで、ガングのいた方に歩く。まぁ近いんだけどさ。
真っ暗闇の中、相変わらず長老ガングは、恐ろしくデカい樹に凭れ掛かっていた。
さて、爺さんは起きてるんだろうか。
「なぁ、ガングさん。」
「おお、どうされたか。」
普通に返事がある。
起きてたみたいだな。やはり人間の老人とは違うようだ。
「いや、少し詳しく話を聞きたくてさ。」
「ほう? 話ですかな。どのような?」
「うーん。そうだなぁ……。まず、ここ。アースガルズって星について……かな?
あと、巨人、3人しか見てないけど、他に居ないのか?
とか、化物って、どんなやつ? とか……」
後はビヴロストについてとかもあるけど、まぁそれは化物退治が終わってからでもいいしな。
「ほっほっ。随分と聞きたい事があるようじゃな。そうじゃのう……。貴殿は、アズ神族じゃったな。生まれて間もないとか。」
「ああ。」
まぁ、実際には10年寝てたらしいけど……
どーせコイツら長生きしてんだろーしな!
10年なんて誤差だろ? 誤差。
「ふむ……。儂ら巨人族は、アースガルズに残っておるのは3人じゃな。ビヴロストの番……という役目の為にな。
他の者たちは、大地に成り、星に成り、山に成り……
まぁこの星にはもう居らぬ。」
んん?
他の星にはいるのかどうか定かじゃない言い方だな。
「他星に移住したのか?」
「さぁのう。巨人として生きておるのやらどうかも、儂らには分からぬさ。」
暗闇でよく分からないが……ガングは少し顔を上げた。
昔を思い出して遠い目でもしてるんだろう。
「アズ神族もな、昔はこのアースガルズにおったのよ。」
「えっ?! エルヴァルドじゃなくてか?!」
「その星は、アズ神族が移住先として創ったものよ。
我ら巨人族の遺骸を使っての。」
おいおい……マジか?! 大丈夫か? アズ神族。色々やってやがるな……。
評判良くないのも、そんなところが原因の一端か?
いや、まぁ地球に残ってる神話にも、神の身体が島になるだとか、巨人の身体が……だとかあったけど……。
「……ん? なんでアズ神族は移住したんだ?」
「神界大戦じゃよ。このアースガルズは、見ての通り荒廃しておろう。大戦の影響で、荒廃の限りを尽くしたのよ。
戦後すぐ、アズ神族とアズリア神族は生き残りたちで話し合っての、アズ神族は出ていったのじゃ。
アズリア神族はここのみで暮らすように、との協定を結ばせてな。」
おいおい……。
そりゃマールズの金野郎があんな態度なのも納得だわ。
てか、その感じだと、神族の力関係としては、アズ神族の方が上という可能性の方が高いな。
いや、最高神やら母神様が居る時点でそうなんだろうが……。
「何年経ったのか知らんけど、ずっとこんな風に荒廃したままなのか? この星。」
「そうじゃのう。もう2000年程経つか……? じゃが、アズリア神族は、魂集めしかしておらんの。
この暗い空も、この地で生まれた神力を逃さぬ為の結界よ。
まぁそのせいで、ネイドス全体に満ちる神力とも遮断されておるがな。それも、協定の一環ということじゃ。」
む……。神スマホ使えねーの、それなのでは?
めっちゃ圏外だったもんなぁ。
ん?
電池切れみたいになってるのも、まさか規格が合わない的な……?
てか、巨人族も、ヤバいくらいデカいけど、神族には勝てなかったって事なんだろうか……?
「巨人族ってさ、その大戦ではどんな風だったんだ? 参戦したのか?」
「……ふむ。本当に何も知らんのじゃな。」
いや、そうなんだけどさ。そんな呆れ声出さなくても。
母神様、説明雑なまま放り出してくれちゃったんだしさぁ、仕方ないじゃないかー。
「アズ神族、特に最高神率いる神使隊はの、奴らに味方せぬ者どもには容赦せんかった。儂ら巨人族も割れたのよ。」
ふむ……。
要するに、だ。
最高神に従うかどうか、という話だったんだな?
旧神大戦。
簡単に言うと、大粛清大会みたいな話って事か……。
まぁグエンさんの話もそんなような感じだったもんな。
はぁ〜……。
オレ、そんな神族の一員なわけ?
自分でやらかした事以外で恨まれるとかさぁ……
クレーム商品売りまくってる会社の社員かよ。
電話オペレーターじゃねーっての。
「ああ、で、巨人族は割れたって、ガングさんは……生きてるって事は、逆らわなかった派……てこと?」
「ふむ。端的に結果のみならばそうじゃな。大戦後は、ずっとこんな風に番をしておるわ。ほっほっ。
して、まだ聞きたい事はあるかの?」
「ああ、化物はいつからいるんだ? どんな奴なんだ?」
「ほっほっ。やる気のようで結構、結構。それならば、出発の前にでもよかろうて。アズ神族にしてみれば、この星は回復が遅かろう。そろそろ休まれる方が良いぞ? ほっほっ。」
あー、マジかー。
なーんかあんまり疲れ取れないなーとか思ってたの、それかぁ!
オレも神スマホと同じ感じだったのかぁー!
メシマズ星だからじゃなかったのか。
てか、神食無かったら、詰んでたんじゃね……?
怖っ。……休むか。
「わかったよ。ありがとう。化物の事はまた明日教えてくれ!」
「ほっほっ。構わぬよ。」
そうしてオレはニケの眠る草ベッドに戻った。
アズ神族でも無い、アズリア神族でも無い、長命種族の話……
中々貴重だった。
が、色々考えさせられる内容だったな……。
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