2.19話 巨人族フェニヤ
それはブラと言うには、あまりに大きすぎた。
大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。
それは正に石塊だった。
――ドズゥン!!
「ほれ!見てみろってんだい!」
デッカイ女は、岩の塊のような物体を胸部から引き剥がし、地面に落とした。
激しい音と、土煙が舞い、丘にまでも揺れが伝わる。
そして露わになるデッパイ。
デッカイ女が、右手で左デッパイを軽く持ち上げながら、とある部分を指で差す。
どれどれ……
「あー……。確かに、火傷してるなぁ……。いやマジごめん。」
デッカイ女の左デッパイの乳輪のきわ辺りが……どうやら火傷している。
赤くなってるようだ。
痛そうだ。
なぜそんな事になったのか……。
なんでも、オレ達がそろそろご飯〜と、準備してた高台は、デッカイ女のおっぱいだったらしく。
どうも乳輪に腰掛けて火起こししてたみたいで。
アッツ!ってなって飛び起きた、らしく。
そんで、オレ達は遥か空の旅へ……
いやいやいや……
まさかね?
寝てるだなんて思わんだろ?こんなデッカイ生き物がさ?荒野にだぞ?普通思わんだろー?
まぁさ?怪我させたのはゴメンね!なんだけどさ……。
小高い岩山がだよ?おっぱいだなんてさ?
夢にも見た事ないっての!
そりゃ巨乳とか山に喩えたりするけどな……。
あくまで喩えなんだよ!喩えでしかないんだよ!本気の岩山は求めてないんだわ!
おっぱいならおっぱいらしく柔らかくあれよ!それなら逆に夢見心地だわ!
くっ……。しまった。
あまりの事に冷静さを失っていたようだぜっ……!
「で?どー落とし前つけてくれるってんだい?」
ついうっかり地面を叩いていたら、デッカイ女がめっちゃ凄んできてる。
アップになってる目がオレの全身よりデカいんだが……。
「いや、まぁ、治療はするけど……」
リセットを使うまでもなく、治癒でいけそうなくらいの火傷だしな。治すのは簡単だ。
煉華じゃなくて着火アプリ使っとけば良かったかなぁ。
「治療ォ〜?薬でも持ってんのかい?」
デッカイ女は覗き込む様に更に顔を近付けてくる。
なんというかDQNムーヴだ。
おおぅ……。ぐいぐいくるなぁ……。
圧よ。圧がヤバいよ。
カツアゲでもされてる感じだな。
「いや、神力でちょちょいとだな……。」
「神力〜?どういう事だい?アンタらガキんちょじゃないのかい?」
「あー、オレ、一応神族なんだよ。レイリィっての。こっちのニケは人間なんだけどな。」
「はぁ?!神族だって?!アンタみたいなの居たかねぇ……?」
腕を組み訝しげに顔を顰めているデッカイ女。
……トップレスで腕組みすると、あんな感じになるんだなぁ〜。ポージングじゃないやつ、初めて見たかも。
まぁ、高台と間違えるくらいだしな。
全体像がデカ過ぎて分かりにくい感じだが、通常換算すると、多分巨乳なんだろうな。
「まぁ、とりあえず治すからさ。ちょっとこっち寄せてくれないか。」
「あぁん?……やれるモンならやってみな。……ほれ。」
眼前に迫り来るデッパイ。それはもうド迫力である。
蟻かなんかにでもなった気分だな。
乳首が人間サイズ(オレ全身比)ってドーユーコトよ。
いや、全くエロさが無いなぁ〜。
いやこれにエロスを感じれたら相当なツワモノだよなぁ〜。
――
くだらない事を考えつつ、サクッと治癒したデッパイの火傷。
デッカイ女は、岩の塊っぽいブラ?でいいのかアレ?って感じのを再び装着している。
「で、あんたは巨人族ってやつなのか?」
「あぁ?見りゃ分かんだろ。アタイは巨人族のフェニヤだよ。」
どっかには居るんだろうなぁ〜とは思ってたけど、こんなトコに巨人が居るとはなぁ。
いやホント、こんなトコだよ、こんなトコ。
荒野のど真ん中。
そーいえば、街の壁も巨人族が作ったとか何とかニケが言ってたな。
だから、この星に居ること自体には不思議はない。
こんなトコに寝てたのは不思議でしかないがな!!
「で、その巨人族がなんであんなトコで寝てたんだ?村かなんか、近いのか?」
「あぁ?アタイは……ちょっと眠かったんだよっ!当番がヒマでよ。」
「当番?」
「ビヴロストの門番だよ。当番制なんだよ。いつも誰も来ないからな。ヒマなんだよ。」
おお?ビヴロスト?やっぱ近くまで来てたのか!
「フェニヤは門番なんだな!オレ達ビヴロストを目指して来たんだよ!」
と言うと、フェニヤの表情が険しくなった。
「ビヴロストは他星への門だよ。アンタら、勝手にここを出て行こうって話かい?」
「勝手にってか……オレはいきなりこの星に転移されただけだからな。出てくってか、帰るって方が正しいな。それに、マールズの金野郎にも、さっさと出てけって言われたしなー。」
「なんだって?!マールズって軍神マールズかい?!」
フェニヤは驚いたようで、大声を出したんだが……
声がデカすぎるんだよ!聞こえてるっつーの!前世でも老人の経験は無いの!耳遠くないから!
ってか、逆にキーンてなって聞こえんだろ!
と、しばし悶絶。
ニケはと言うと、ずっとカタカタ震えてたんだが、今は横になっていらっしゃる。なんてこったい。
「声デケェんだよ!ちっとボリューム下げてくれ!ニケが気絶してんだろ!」
神力全開で怒鳴った。
オレは大丈夫だが、ニケは人間なんだ。
そんなに丈夫に出来てないんだ。
「……あ、アンタ……本当に神族なんだね……い、いや、悪かったよ。」
フェニヤは、先程までの荒々しく粗野な態度が一変したようだ。
巨人族にしても、神族は厄介なモノって事なんだろうか。
「別にこっちも事を荒立てるつもりは無いんだ。さっきも言ったけど、早く帰りたいだけなんだよ。ちと、色々あったからな。」
そう、色々あったんだ。
あれから結構経ったしな。
ルビィ達の安否もそうだけど、母神とも話してない。
ルーキスナウロスのクソ野郎もどうなったのか。
せめて神スマホ通じる所に行かなくてはなんだ!
「分かった、分かったよ。ただ……いくら神族だろうと、ビヴロストは素通りさせるわけにはいかないんだ。案内するから、長に会ってくれるかい?」
「あー、うん。分かった。」
そこはかとなく漂うRPG感だなぁ……。
何かにつけて条件あるやつ。って、現実でもそうだったか。すんなりいく方が珍しいよな。
そんなこんなで、気絶したニケを抱えて、フェニヤの手の平へライドオン。
そんなに遠くは無いらしいから、巨人の長とやらにご挨拶しますかね!
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