2.18話 デッカイ人がいた
前回のお話:荒野をめちゃくちゃ歩いたら飛んだ
いやー。空の旅は久々だねぇー。
惜しむらくは、この視界いっぱいに広がってる灰色の空かなぁ。
せっかくの空旅なら景色も楽しみたい所存。
あんまりいい景色じゃないんだよなぁー。
……じゃないんだわ!
意味わからんままめっちゃ飛んどるわ!
どーしてこうなった。
ついさっきまで楽しく……は、無かったけど、ご飯の準備してたよな?
何でこんな遥か上空に打ち上げられてんのよ。
え?なに?黒ひげ危機一髪?剣でも樽にぶっ刺されたか?って誰が海賊じゃー!樽にも詰められてないわ!
ってか、ニケは大丈夫か?
なんとか空中で姿勢を変え、キョロキョロしてみると……
ニケはちゃんと神具を使えたようですね。偉い!
結構遠くでふわふわ減速してるようだ。
だがッ!オレの勢いは止まらないッ!ずっとオレのターンだ!
……じゃなくて。
もうそろそろ放物線にでもなってくれんかなー。
まだまだ減速する気配が無いぞ。
何処まで行くんだよ。肉球にでも飛ばされたんかっての。
「レーイ!」
わりと遠くからニケが叫んでるな。
いつも小さなニケが、あっという間に豆粒のようだぜ!
まぁ……流石にあと数分くらいすれば着陸するっしょ。
その時くらいに迎えに来てくれたらいいかなー。
タラリアでならそんな疲れないだろうし。
あーあ。
オレも飛べる何かを作っとくんだったかなー。
I can't flyだぜ。
――
――
――
数分後。
――ドガッ!!!
「いっ……た……くは無いか。」
荒野の岩山に、頭からぶち当たる感じで急停止。
刺さっては無い。刺さっては無いぞ。
そしてもちろん神力で防御してるから、痛くはない。
が、気分的なモンだな。
ついつい「痛っ」とか言ってしまう。
それにしても、時速何kmで飛ばされたんだか……。
分からないが、軽く1kmくらいは飛ばされてそうだなぁ。
ま、とりあえず、岩山を下りるか。
さて……ニケは……
飛ばされてきた方向を中心に、空から地面から視線を彷徨わせる。
うーん……?
まぁタラリアだと、あんなスピードは出ないか。
視界にはニケの姿は映らない。
よし。
とりあえずは飛ばされてきた方向へ歩きますかー。
この辺り、ほとんど生物は居なかったし、方向さえ間違えなければ大丈夫ってモンよ。
そんなわけで、一人だし早歩き。
――
――
――
何も無い荒野をスタスタ早歩き。
スタスタスタスタ……気分は忍者だぜ!なんてなー
んー。忍者かー。アマネ達は元気かなー。ルビィの背中が恋しいぜ……。この星来てからは全部自力だしなぁ……。
「あー!いた!レイ!」
上空からニケの声。
「お、ニケさんじゃないですかー。こんなところで奇遇ですねぇー。」
「ちょっと!レイ!何言ってんの!」
「HAHAHA」
「ははは……じゃないよ、もー!探したんだから!」
「まぁまぁ。無事合流出来たんだし細かい事はいいじゃないかー」
「細かいことって……レイっていっつもそう言うよね!」
「えー?そうか?んーまぁそうかもなー。
てか、オレ達何で急に飛ばされたんだろうな?もうちょいあっちの方だったか、さっきのとこ。」
ふよふよとニケが降りてくる。
「なんか凄く大きい声?音?だったよね……。なんだろ。」
不安そうに顔を顰めている。
「よし。戻って確かめよう!」
ビヴロスト、方向的には合ってるはずだしな。
ニケは、何やらブツブツ言っていた様だったが、ふよふよ着いてきた。
――――
――
この辺り、どこもかしこも似た様な風景だった……筈だ。
が、さっきまで居たと思われる辺りが、遠方から見ても明らかにおかしい。
「ね……ねぇ……、レイ。あれ……なんだろ?さっきの場所の辺りだよね?」
どうやらニケも気付いたようだ。
いや、まぁ……あんなん気付かない方が変なんだけどな。
「おー。めっちゃデッカイ人っぽいなぁー。」
目測で、ここからあそこまで500mくらいあるはず。
そんな位置からめっちゃ目立ってるな。明らかにデカい。
そのデッカイ人が、辺りをキョロキョロ見渡しているようだ。
……いや、何でオレ達、あんなデッカい人に気付かなかったんだ??
てか、あんなん何処に隠れてたんよ……?
うーん……まぁいいか。直接聞くのが早いわ。
「よし!あの人に聞いてみよう!ビヴロストも近いだろうし、何か知ってるかもだしな!」
というオレの言葉にニケは驚いたようだ。
「え゙ぇえ゙?!嘘でしょ?!冗談だよね??」
もの凄い形相をして、勢いよくこちらに振り返った。
あらあらニケさんや。年頃の乙女がそんな顔したらダメよ〜?
そのまま直線的に、スタスタふよふよデッカイ人の麓を目指して進んでいると……
あと100mといった辺りだろうか。
「あ゙あ゙っ゙!!アンタ達だね!!さっきのは!!」
という怒声が響いた。
声量が半端無くデッカイ。
ジェット機が超低空飛行して民家の隙間を縫ったのかというくらいに、大気も地面も震えている。
「レイ!見つかった!見つかったよー!」
と、取り乱すニケ。
「いや、そりゃ話しに来たんだし、見つかるも何も……」
――ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!
と、デッカイ人は地面をめちゃくちゃに揺らしながら、こちらに走り寄ってきた。
というか、あっという間に目の前にビルか何かか?という脚があった。
「アタイの話、聞いてんのかぃ?!」
遥か上空から言葉が降り注いでくる。
「ちょうどよかった!オレも話したかったんだよ!とりあえずさー、座ってくれないかー!」
精一杯首を傾け、遥か上空に向けて叫んだ。
ちゃんと聞こえるんだろうか?
オレのサイズで、くるぶしに届くくらいだぞ?
身長100mくらいはあるんじゃなかろうか?
「あんだってぇー?!」
――ドズゥン!!
と、デッカイ人は腰を下ろし、胡座をかいた。
縦方向には半分位にはなったか?
でもまだマンションの屋上に話しかける気分だな。
うーん。寝転がってもらわないとダメか?
……お。丘があるぞ?とりあえずあれに登ろう。
「ちょっとその丘に登るから!」
「早くおしよ!」
ニケを見ると、顔色を悪くして、カタカタ震えながら固まってしまっていた。
まぁ仕方ないわな。
このサイズ感の生物だしな。
人間なら、恐怖感を覚えない方がおかしいかも。
竦んでしまう事もあるだろうさ。
とはいえ、このまま置いていくってのは無しだ。
近くに居てもらわないと、いざという時に間に合わないしな。
「ニケ。」
「あ……」
「あっち行って話すから、行こうか」
「う……」
問いかけにもあまり反応出来なくなっていたニケを、すっと抱き上げて、オレは小高い丘に向かった。
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