表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/114

2.11話 オグマ団長

前回のお話:お立ち台の上には……


団員の男に言われた通り、しばらく待っていると、演説が終わったようだ。


団長がお立ち台から降りて来る。


そこに、男は「団長、演説お疲れ様です。」と労いの言葉を掛けた。

会釈程度の目礼付きだ。結構慕われているのかな。

ニケの言う通り、人間関係は良好なのかも。


団長も団長で、「ああ。お疲れ。」と、やりきった感の爽やかスマイルで団員に応えている。


そして、「どうだ?少しは集まったか?」と、期待を込めた瞳で団員を射抜いた。


「えーっと、それなんですがね……。」


団長に期待の眼差しを受けてしまった団員の男は、チラチラとこちらを見ながら、言いにくそうにしている。

全く。シャイなんだからぁー。仕方ないわねぇー。


「どうも。オグマ傭兵団の団長さん。オレは、レイリィ。こっちはニケ。ちと仕事探しって事で、傭兵団に入れて欲しくてね。どうだろう?」


「な?!」


オグマ団長は、目を丸くして少し後退りした。


まぁ、オレ達、ガキんちょに見えるだろうから、驚くのは分かるが、ちょっと震えてないか……?

おかしいな。神力は抑えてると思うんだが……。


「……子供……に見えるが……

ウチに入りたいって?」


団長は、尚も恐る恐るといった風に聞き返してきた。


威厳がある感じでは無いが、親しみやすそうではあるな。


「ダメかい?」


オレとニケを観察しているのだろう。

団長は、全身余すこと無くといった様子で見渡している。あらヤダえっちネ。お好きなんだからァ。


……と、いうのは冗談で。

悪意は無さそうだから、嫌な感じは別にしない。


「そうだな……見た所、身に付けている物は何処の物だかは分からんが……上等な物だというのは分かる。何故ウチを選んだのかは分からんが、こちらに不満は無い。……賃金についての説明をしよう。ついて来てくれ。」


――


案内されたのは、広場から程近い建物だった。

傭兵団の拠点らしい。二階建てで、丁度オレ達の泊まっている宿屋くらいの大きさだ。


中に入ると……何というか、運動部の部室のような臭いが……。

そして、それに混じって血の臭いも漂っていた。


一階部分は、酒場の様な造りになっていた。


バーカウンターのような物とハイチェアー、テーブルセットも幾つかある。


「ここに座ってくれ。」


団長に、その中の一つのテーブルに着くように促される。


「ここは、実は酒場跡でな。安く手に入った拠点なんだ。……ウチの傭兵団はあんまり金が無くてな。金がある所は、砦なんかも持ってたりする。」


「へー。まぁ、これはこれで、趣があるんじゃない?」


「趣……?まぁ、それはいい。

改めて紹介する。俺は団長のオグマだ。」


「レイリィだ。」

「ニケです。」


「では、まず条件から説明しよう。

基本的には、依頼主からの報酬は、傭兵団の運営費をまず引く。残った額から賃金を分配する。

分配に関しては、手柄、危険度なんかで金額を決めている。査定は戦目付けをしている副団長が担当している。

あとは……稀にだが、依頼主からの特別ボーナスが出る時があるが、それは達成者の全取りで大丈夫だ。

まぁ、気付いてはいるだろうが、ウチは弱小だ。規模も小さい。全員で、100名くらいだな。

だから、あまり大きな依頼は受けられないんだ。」


「なるほど。」


「質問はあるか?」


「仕事はいつからある?」


「はっは。やる気だな。……丁度、明日からだ。」


「どんな仕事だ?」


「エネーアとの戦いだな。アーシア軍の指揮下に入る。」


「エネーア?」


「西の国だ。軍神ティーウの治める国だな。」


「軍神?!そんなのが居るのか。」


「ん?そりゃいるさ。アーシアだって、軍神マールズが治める国じゃないか。」


ほほぉ……。

軍神とかいう神族が治める国同士の戦いって感じなのか。


軍神……軍神ねぇ……。

そんなもんが国を治めたらいかんだろ。


もっとこう……豊穣とか、司法とか、富とか、そんなの無かったんかい。


まぁ、いいさ。

路銀貯めたら会いに行くか。話を聞かねばなるまいよ!


「で、集合は?ここ?」


「ああ。夜明に来てくれ。」


「了解、ボス。

……あ、そうだ。武器屋知らない?ニケの武器無くなっちゃったからさ。」


「武器屋か。分かった。案内しよう。」


「団長自らって、何か悪いね。」


「はっは。気にするな。活躍してくれるんだろう?」


いやぁ……それはどうだろうな……。

オレが死ぬ事はないだろうが……

嬉々として殺戮する様なマインドに成れるだろうか。

中々難しいかもなぁ……。


――


――キィンカァンキィンカァン


薄汚い街の一角に、金属のぶつかり合う音が響く。


その建物は、煙突がやたら大きく、濛々と黒煙を吐き出していた。


「ここだ。」


石と木で出来た平屋の建物。巨大な煙突。

扉には、盾に剣をクロスさせたオブジェが飾ってある。

ファンタジック鍛冶屋だ。


中に入ると――棚に剣、壁にも剣、そして盾、そこらじゅうに飾られた甲冑、樽にもたくさん剣が差してある。


良く見れば、刃物だけでは無く、鈍器もある。

メイスだかフレイルだか。


洋風武器は、あんまり興味無かったが、こうして見ると……中々壮観だ。

ドラゴン殺しとかないのかな。


「おん?客か?」


人相の芳しくない眉間の皺が深く刻まれた男が、こちらへ歩いてきた。


「ナンだ?貧乏傭兵じゃねぇか。どうした?また剣でも折ったンか?」


「いや、今日は新入りを連れてきたんだ。」


「オッス!オレ、レイリィ!

まぁ、オレは見ての通り武器はあるんだ。」


「はァ?じゃあなンだよ?冷やかしか?」


「いや、このニケがね、武器、必要なのさ。

ニケ。どんなのがいい?」


「えっと……、重くないやつかな。」


「なンだよ。ガキか。どーせ金もねぇンだろ?その樽ン中のなら特価品だ。一律100リアーだ。」


「お、足りるな。ニケ、樽の中から好きなの選んでくれ。」


「うん。」


樽の中には、多分20本くらいの剣がある。

振りやすい物を選んでくれたらいいさ。


また神改造してやるからな。くくく……。


しばらくの間、剣を吟味していたニケがどうやらお気に召したらしき一本を持ってきた。


「これがいい。」


シンプルなデザインで細身な見た目通り、持ってみた感じ、中々軽くはあった。


「じゃあコレもらってく。100リアーね!」


「おう。まいどありぃ。」


よしよし。ベースの武器を手に入れたぞ!

帰って早速神改造だなー。

ありがとうございました!

少しでもご興味いただけた、ちょっとは応援してやってもいいかなというお優しい皆様!☆評価☆やブクマ、是非よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ