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2.8話 ニケさんはちょっとおマセさん

前回のお話:メシマズ


灯りを消すと、部屋は一気に黒く塗り潰された。


星明かりも月明かりも、勿論街灯も無い、アーサの街の夜。外は相当暗そうだな。


元々治安も悪い訳だし、夜間外出は控えた方が良さそうだ。即事件な予感しかしないわ。

オレはともかく、ニケは危険だろうなぁ。


「あ、あ……あのさ……。」


いち早くベッドに移動していたニケが、声を上ずらせた。


「ん?」


「あ、あ、アタシ……こ、こういうの……は、初めてだからさ……」


ニケは焦ったように吃りながら、毛布をバサッと口許まで被った。

だが、灯りも消えた暗い部屋には、音だけが響いたのみだ。

その様子を見通す事は、余程暗闇に目が慣れないと難しいだろう。


(しかし、この世界の名前すら未だに分かってないしなぁ。困ったもんだ。つっても、テイルヘイムだって、族長クラスしか詳しい知識は持って無かったし、そんなもんかもなあ。多分だが、光の柱にさえ着けば、転移自体は可能だと思うんだが……)


「で……でも!レ……レイなら、全然!平気……っていうか……むしろうれしいっていうか……」


(ふーむ。傭兵団なんかに、知識人は居たりするのかなぁ?まぁ、色々あるって話だし、なるべくたくさん話を聞いてみないとだな。)


今後の事を考えつつ、トコトコとベッドまで歩み寄り、腰を下ろして靴を脱ぐ。


その間ニケは背後でゴソゴソと何かをしていたようだが、ギシッとベッドの軋む音が聞こえた。

どうやら寝転がったようだ。


「あ、す……好きにしてくれていいんだけど……出来れば優しく……」


靴を脱ぎ、振り返ると、ニケがベッドの中央を独占しているようだった。ずいぶんと欲張りさんだな。


「ん?もうちょいそっちに詰めてよ。何で真ん中にいんのよ。」


「え?」


毛布に入ろうと、バサッと毛布を捲ると、ニケは全裸だった。


「え?あぁ、寝る時脱ぐ派か。」


まぁ、たまにいるよね。そんな人。


いや、獣族連中にしてみたらデフォだったが……。


「え?アタシと、寝る……んだよね?」


「そりゃまぁ、ベッド一つだしな。」


何を不思議そうに聞くのだ。

オレに床で寝ろって言うのか。酷い奴だなぁー。

そこそこ広いベッドなんだから、半分コでも割と広かろうに。

パーソナルスペース広めなタイプか?まぁ気持ちは分からんでもないが。


「だ……男女で寝るってさ……ほら……ね?」


「ああ!そっか!すまんすまん!ちょいお待ちを……はい、リセット!これで良しっと。」


「へ……?え……?な……なにそれ?!」


ニケは、ガバッと起き上がると、オレの胸やら股間やらを(まさぐ)りだした。

いやん。そ、そんな……いけないわ……。


……ん?


え……ちょ……ま……まて!服まで脱がすな!アカンアカン、この服引っ張ったらすぐ脱げるんだから!服ってか、ほぼ布だから!


「え……えぇ〜……?レイが、女の子になってる……?!」


「うむ。性別リセットだ。オレは女子にも成れるのだよ。ふふふー。どうよ?中々可愛かろ?」


何故か全裸に剥かれてしまったが、驚くニケにドヤってやった。


当のニケからは、胸と股間に熱い視線が注がれまくってる気がするが、まぁ、暗いからいいや。


「可愛い……っていうか……すごく……綺麗だね……」


見えとるんかい。視力良いな。


「さ、触ってみても……いい?」


はぁ?!何言い出したコイツ?!何故そうなる?!


ニケの手が、再び伸びてくる。


――ぷにっ


「わ、柔らかい……」


――ぷにぷにぽよぽよ


柔らかい、じゃねぇよ。全く。

触って良いなんて言って無いのにさー。

しょーがないやつだぜ。


まぁ、そりゃちょっと前までは、毎日アマネに隅々まで触られてたっちゃ触られてたからさ。慣れてるけども。


「いやさ、ニケさんや。自分にもあんだろよ。そんなに珍しいもんじゃないだろ。」


「アタシ……こんなに無いし。」


うーん。

まぁ、確かにニケはガリガリだなぁ。

膨らみ具合は寂しげだ。


可哀想だし、しばらくはオレの分も飯食わせてやろうかな……。オレは飯食わなくても死にはしないしなぁ。


「ちゃんと食って栄養摂ってたら、そのウチ大きくなるって。」


「ちゃんと栄養……」


――ぷにぷにぽよぽよ


「そうそう。だから、そろそろ離そうか?」


「あ!ご、ごめん。すごい柔らかくて。つい……」


ふーむ。

女子もおっぱい好きなんかな?

まぁ、母性の象徴だし、そんなもんかもな。


そういえば、女子同士で触り合ってんの見た事あるなぁ。

傍から見たらちょっと羨ましかったけど、実際は……

すごく微妙だな!


「あ、あのさ!」


「ん?」


「なんで女の子になったの……?」


「ん?なんでって……」


「アタシと、寝る……んだよね?」


「そうだな。だからだけど?」


「えっ……?女の子同士が……いいの?」


「え?ニケはその方がいいんじゃないのか?」


「え……っと、どうかな……。女の子同士は……うーん……ちょっと違う……と思うけど……。」


ニケは、言いにくそうに、ごにょごにょと

「普通は男女だと思うけどな……」と呟いた。


「なんだよ?何が違うのさ?」


「えっと……」


「うん。」


「だっ!」


「だ?」


またしても、ニケは言いにくそうに、ごにょごにょと

「抱く……んでしょ……?女の子同士だと……変だと思う……。」と、呟くように言った。


「はい?!なぜ?!いつそうなった?!」


「えっ……だって、一緒に寝るって、そういう事だよね?」


えぇ〜……?そればっかじゃないだろ~……。

子供同士とかさー。普通だろー。保育園とかさー。


「それに……、アタシ、レイに助けてもらって。奴隷でも無くしてもらって。宿にも泊めてもらって。ご飯まで……。アタシに出来そうなお礼なんて、それくらいしか……。」


おぉ……?

何か急に家出少女をお持ち帰りしたオッサン事案みたいになってんぞ。

全く。困った奴だなぁ。


「あのさ、ニケさんや。」


「うん。」


「オレさ、この世界の事、何にも知らないからさ。

ニケが、ここまで連れてきてくれたってので、めっちゃ助かってるわけ。だから、そんな事気にしなくていいのよ。」


「え……でも……」


「まぁ、いいから。明日に備えて寝ようぜ?オレも神力回復しなきゃだしー。」


「……アタシって、そんなに魅力無いかな……?」


わお!とんでもねー事言い出したぞ?!コイツ……

くそう、どうしたもんかな。


ありがとうございました!

少しでもご興味いただけた、ちょっとは応援してやってもいいかなというお優しい皆様!☆評価☆やブクマ、是非よろしくお願いします!

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