表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【神世界転生譚】 リセットしたいとは言ったけど、こうじゃないだろ?!神になるとか聞いてない!  作者: Resetter
第二章 : アースガルズ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/116

2.7話 アーシアグルメレポート[アーサの宿屋]

前回のお話:風呂桶はマジで桶

 

 さてさて。

 アーシアにおける初飯である。


 宿屋のオヤジが、テーブルの上に二人分置いてってくれたのだ。


 という事で!籠の中身は何だろなぁー……


 パカッと籠の蓋を開けてみると、丸いものが目についた。

 ……?


 ……パン?かな?これ。

 石のように黒くて固いが……?


 試しに、パンらしき物で、テーブルを叩いてみる。


 コンコンと、小気味よい音がする。


 うん、これはパンじゃないな。

 多分軽石かなんかだわ。軽くて硬いしな。

 あ、まさか風呂代わりの清拭具的な?


 そして、丸いブツの横にあったポットのような物には、スープっぽい物が入っている。


 そして器が二つ。スプーンも二つ。


 以上、今日の晩御飯のメニューでしたー!


 ……えぇ〜〜。


 マジでぇ~~……?!


 いや、まぁ、そうか。

 これまで見てきた街の感じだと、こんなもんだろうな。


「わ、パンがある!すごい!」


 あ、コレ、パンなんだ?

 そしてニケさんによると、すごいらしい。

 オレ的にはすごい固い何かなのだが……


 まぁ、パンらしいしな。

 あんまり美味そうには見えないが、ものは試しだ。

 一口くらいいっとくか……


 ――ガギッ!!

「かっかへぇ(硬ぇ)!!」


「ちょ……レイ!何してるの!?そうじゃないよ!」


「へ……?」


 ニケは、とぽとぼっと皿にスープを注ぎ、そこにパンをボチャっと投入した。


「こうして、柔らかくするんだよ。」


「な、なるほどー?これはあれか、携帯食みたいな?」


「え。いや、普通のパンだけど……。」


 …………

 ………………普通のパンって、こんなだっけ?


 これ、多分前世だったら歯が折れてると思うけど。

 カルチャーギャップってやつだな。うん。ギャップ萌えしないやつ。


 ニケに倣い、皿にスープを注ぎ……

 ん?なんのスープこれ?なんか……臭っさ!生臭いな!


 で、これに、軽石パンを投入……っと。


 じわーっと、皿の水位が減っていくと、黒い塊はぶよーっと膨らんできた。正直言って、中々キモい。


「レイ?どうしたの?食べないの?」


 見ればニケは、ひょいパクひょいパクと軽快な迄に食を進めていらっしゃった。凄まじいの一語に尽きる。


 目の前の異臭漂う異物を……口に放り込む……か。


 中々に勇気のいる行為だな。


 おお……神よ!我に救いを与えたまえ!って言いたい。

 無駄だけど。


 意を決して、ぶよぶよの何かにスプーンを差し入れた。

 ズブり……と嫌な感触が、指先を支配する。


 プルプルと震える手を、何とか動かして、スプーンに乗った異形の何かを、恐る恐る口へと運ぶ。


 近付くにつれて、生臭さの中に隠された刺激臭が、鼻腔内を総攻撃にかかる。なんて事だ!!オレの防御を貫通するだとっ?!くっ……つ、強過ぎる……!!


 意を決して口を開け、ブツを投入した。


 ――!!?!??!!


 それは……実に形容し難い味だった。

 いや、しない方がいいだろう。してはいけないものだ。

 そう、もう思い出したくもないのだ……。


 ただ、その衝撃たるや、一切の咀嚼を忘れ、魂が抜かれるかの如く、放心する程度のものではあった……とだけ。


 どうやら、オレは完全敗北を喫したようだ。


 最早、指先一つ動かせる気配すら無い……。


「ね、ねぇ……ちょっと、レイ?どうしたの?大丈夫?顔色、変だよ?」


 くっ……!まさか、オレには毒なぞ効かんとか思ってたが……味がヤバいって、めっちゃ効く……。


「あ、あぁ……辛うじて生きてる……オレは、生還したぞ……ニケ……!」


「え?ちょっと、レイ!なにまたおかしな事言ってんの?!それ、食べないならアタシもらっちゃうよ?!いいの?!」


「ああ、是非……そうしてくれ。ニケ……お前が神だったか……。」


「何言ってんの?レイって本当に変だね。神なのはレイでしょ?」


 そんな事を言いつつ、ニケはオレが食えなかった物を、あっという間に平らげていった……。


 ニケさんすげぇッス。


 ――


 食後……というか、オレには地獄の時間だったが……まぁ、それはいいとして。


 今後の方針を定めるべく、ニケに質問をする事にした。


「ニケ。先ず前提として、オレはテイルヘイムか、エルヴァルドに帰りたい。その道を探す。

 で、だ。この世界は、金が要るっぽいよな?」


「テイルヘイム?エルヴァルド?」


「テイルヘイムは、獣族の世界で、エルヴァルドは、アズ神族の世界かな。

 えっと……」


 窓を開けて、空を見上げてみた。

 星はとっくに輝いていて良さそうな時間だが、空はどんよりと暗い。

 近くにあるはずの星や月すらも見えない有様だった。


 うむ。説明は諦めよう。


「でさ、オレ達みたいな旅人が、金稼ぐのって、どんな手段がある?」


「えっと……アタシなら……しょ……娼婦……とか……」


 ニケさんや。顔を赤らめて俯くでないよ。


「レイ……なら、傭兵とか?」


「傭兵ぇ~?」


「うん。多分、いっつも募集してるんじゃないかな?傭兵団。色々あるよ?今日は行かなかったけど、アタシが出兵する前は、広場でたくさん募集してた。」


 ふーむ。

 人を殺すのは、あんまり気が進まないなぁ。

 しかも、理由が金の為、だもんなぁー。


 殺人かぁ……。

 前世では、割と人の死には触れてきた気がするけど、自ら殺すような事はした事無いんだよな。


 でも、もし、日本が戦争なんかの事態になってたとして、徴兵されたりしたら、まぁ、普通に殺し殺されしてたんだろうな。


 人は、環境で変わる。

 取り巻く環境や文化は、人格形成に大きな影響を与えるもんだ。


 こんな世界に放り込まれたんだ。

 殺人も、殺神も、しなくてはいけない時は、きっと来るんだろう。


 テイルヘイムでは、なるべく平和に不殺で問題解決をしようとしてた。


 けど、ルーキスナウロスには歯が立たなかったが、殺す気概で攻めただろうか?


 寧ろ、攻撃が()()()()()()からこそ、安心して攻撃してなかったか?


 リセットは、即殺能力では無い。

 寧ろ、攻撃力という意味では、あんまり無い。


 でも、使い方に拠っては……


 はぁ……。

 ま、独力で帰還するには、色々と覚悟が要りそうだな。


 よし。


「分かった。じゃ、明日はその広場に行ってみようか?」


「うん。場所は知ってるから。」


 まぁ、四の五の考えても仕方ない。

 今やれる事をやるしか無いんだしな。


「よし、じゃあ、寝るか!」


「あ、う……うん……。」


 フッと、油灯の火を消した。

ありがとうございました!

少しでもご興味いただけた、ちょっとは応援してやってもいいかなというお優しい皆様!☆評価☆やブクマ、是非よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ