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1.55話 やらかした!


神族か……。

確かに、神族と戦うのは、これが初めてではあるんだが。


こんなにか?!と思うくらいに、ルーキスナウロスには、全くオレの攻撃が効かなかった。

水蒸気爆発まで起こしたのに!


グエンさんの話では、神族にも神具なら効くって言ってたのになぁー。


「あはは!どーしたのかナ?もう終わりなのかィ?」


まぁ、そうだなぁ……。

あの靄を何とかしないと、多分攻撃が届かないんだろうな。

なんというチート野郎なのか……。くそう。


よし。


――タッ!


ルーキスナウロスに向かって、全速力で距離を詰める。

そして、靄を掴む勢いで、右手を伸ばした。


神力を込めて、リセットを発動!


しようとしたのだが……。


――ミ゙ョ゙ン!


いつの間にか、右手は靄に包まれて――消えていた。


は……?マジかよ……?


慌てて飛び退く。


「あはははは!無くなっちゃったネェー?右手!無ァくなっちゃったネェー!あはははは!」


……30秒前に右手をリセットする。


正直即死したり意識が飛ばなければ、オレは何とかなる。神力が切れない限りは、だけどな。


だからまぁ、手が無くなったくらいなら、パニックにはならずに居られるんだが……。


……それよりも、だ。


「お前、その神能……転移か。」


不思議な事だが、靄に捕われた時、右手が無くなった……


というより、何処かに行ってしまった、という感覚がした。飛ばされたというか。

それを慌てて引き戻したという感じだった。


そう、転移石を使った時のような感覚……いやまぁもっと気持ち悪い感じだったけど!


「あはは!すごいネェー?御明答だヨ!まだちっちゃいのに、良ォく分かったネェー?」


ちっちゃいは余計だ。

まぁ、確かにちっちゃいけど。

子供だかんな!見た目はな!


ああ、でも、コイツも何千年と生きてんのかもなぁ。

だとしたら、40年や50年なんて……知れたもんか。


てか、転移を一部分にだけ使うって、めちゃくちゃエグい事になるんだなぁ……。


オレじゃなかったら、酷い事なってたぞ。


いや、オレだって、無くなったのが、右手だけだったから良かっただけだがな。


意識が飛ぶような事されてたら、冥土の旅編が始まるトコだわ。

旅して戻って来れるのか知らんけどな!


ルーキスナウロスの、圧がニチャッと上がった。


「なーんだか右手も、戻ってるみたいだしネ!!キミ……中々、厄介そうじゃないかァ!あはははは!ホイっ。」


「だから、ホイっ。じゃねーし!なんなん、その落差?!そんなんでギャップ萌えとかしねーからな!」


靄のスピード自体は、そんなに速くは無い……のかな?

いや、まぁアマネ師匠の修行の成果だわ、コレ。

何とか避けれるもんなぁ。

バッティングセンターのアレより速そうだけどさ。


「あはは。で、キミ、誰なんだィ?」


「レイリィだっつってんだろ。憶える気が無いのか、憶える頭が無いのか知らんけど。

まぁ、別に憶えて帰って下さいね!とは言わねぇけどな!」


「いやいやー。そういう事じゃなくてサ?キミ、アズ神族だろ?キミみたいなちっちゃい子、いたかなァ?何の神なんだィ?」


「ははっ。当ててみたら?」


「あはは。つれないネェ……。消えた右手を治してたし……再生神かナ?」


ううむ。

当たらずしも遠からずってヤツだな。


まぁ、オレの神能って、判りやすい感じだよな。

まぁ、答える義理は無いから、言わないけどな!


「ボーースーーー!!!」

「レイ殿ぉー!!」

「レイリィ様ーー!!」

「ご主人様!!」


ルビィに乗って、どうやら皆が来たらしい。


が……正直、どうなんだ?

有利になった気はしないぞ……?


と、思っている間に、ザッとルビィは隣りに止まった。


「皆、来たのか……。」


「うん!」

「ご主人様!!御無事ですか!!」

「レイ殿、彼奴は……」

「レイリィ様……アイツ……ヤバいヤツニャ……」


「あはは!なになに?ぞろぞろ来ちゃってサァー?」


ルーキスナウロスに、焦った様子は全く無い。

まぁ、そりゃそうだろうな。攻撃、効かねーんだもん。


「どうやら、アイツがルーキスナウロスらしい。

転移の力を使うみたいでさ、あの黒い靄に触れると、触れた所は飛ばされる。

で、オレの攻撃も届かないのよ。」


「えぇー!」「やはり彼奴がそうかえ。」


「あ、ハヌマは?」


「戦闘音が響いておりましたので、クウ様が子供達を集め、山頂へ避難致しました。ですので、ハヌマ様も、村人を集め再び山頂へ向かわれました。」


ん、まぁ、派手にやらかしましたからなぁ。

ナイス判断じゃないの。


「紅流ゥゥゥ!!」

「怒狐火!!」

「呀音!!」


えっ?君ら、いきなりだな?!

二条の火柱が、渦を巻くように絡まり合いながら、更に波打ちルーキスナウロスに襲い掛かっていく。


が、やはりというか、なんというか……


「あはは!いきなりご挨拶だネェー?キミ達は、神獣かィ?神狼と神虎は珍しいネェ!久しぶりに見たヨ!あはははは!」


靄に阻まれ届かない。


――ガィーン!!


「くっ……!斬れませんか……!」


いつの間にかアマネがルーキスナウロスの背後から首筋目掛けて奇襲を仕掛けていたが、鈍い音がしただけだった。どんだけ硬いのよ。


「んー?キミは……鬼神かナ?へー!懐かしい色だネェー?あはは。」


懐かしい……?"色"って事は、前例がいたのか。

まぁよく分からんけど、やはりコイツは大分長生きしてるって事だろう。


「貴方が何者かは存じませんが、我がご主人様に害を為そうというのであれば……全力で排除いたします!」


アマネは、刀に神力を込めて、ゆっくりと振った。


黒極(くろのきわみ)!」


「おォ……?」


ルーキスナウロスの周りが球状に黒く染まる。


黒球は内側へ内側へと収縮しようとする。

対象を中心とした、重力を操る神具、黒極。


ルーキスナウロスの動きが止まった。

おそらく、転移の力と拮抗しているんだろう。

でなければ、とっくに潰れている。


アレと拮抗してるって、どんだけだよ。


「あ……あはははは!や……やるじゃないのサ!」


さすがに、あんまり余裕無さそうだな。


「ご主人様!」


「おうよ!」


アマネの合図で、淡墨を抜刀。

ルーキスナウロスの上空辺りに目掛けて雷光を走らせた。


「影喰!」


濃い影から、エネルギーを吸い取る神具と化した、アマネの脇差。

最早妖刀だと思う。


更に、影縛りなんかも出来るようだし。

本当、妖刀だと思う。


「お……オ……あ……あはは!さ……さすが鬼神……だネェ……!」


えぇー……。

アレ食らって、なんでそんな感じなのー?

ドン引きなんですけどー。


前に実験した時は、森の樹が、一瞬で枯れ果てたんだぞ?

リセットしても、治らなかったんだぞ?


「はぁ……はぁ……ご主人様……!もう、神力が……持ちません……。効果の切れる一瞬の隙に……どうか、止めを……」


「お、おうよ。」


責任重大だな。

んー、手持ちの技っていったら、刀達と、リセットしかないけど……


ヤツの身体強化が残ってたら、斬撃は効かないしな。


うーむ。

転移能力を、リセット……いや、デリートじゃないから無力化出来るか謎だ。

極限までチビにしてしまうのがベストか。


「よし、合図に合わせる!」


精神を集中して、瞬時に発動出来る様にしておく。

余計な情報を見る時間は無い。

とにかく、チビに無力化だ!


「畏まりました。三つ数えます。」


「1」


「2」


「3」


アマネの3という言葉と同時に全速で飛び込んだ。


ルーキスナウロスの顔面に掴みかかるように……


重力も、影喰も、縛りも、解除されている。


顔面を、上手く掴んだ!リセッ……!?


「あはははは!ざーんねーんだったネェー!!」


そうだ、コイツ……仮面じゃねーか!!


「一名様ご案内でェーす!

いってらっしゃーい!

あははははははははは!」


――ミ゙ョ゙ン!


「ご主人様ぁぁぁーーー!!!」


やらかした!


と、思った時には、ルーキスナウロスの苛つく笑い声と、アマネの悲痛な叫び声が……


ふっと――途切れた。


ありがとうございました!

またよろしくお願いします!


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