1.49話 蜂の巣は放置しない方針
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金地に白の毛並みをした大猿族?の負傷者。
怪我だらけで、蜂の毒にもやられていた。
しかも、割と滅多刺しで。
だいぶ危険な状態だったので、治癒ではなく、リセットで治す。
今回は直ぐに気が付いたようだ。
……やっぱりあの呪いだけおかしいのかも。
治癒阻害効果みたいなのが、オレの神能にも影響するのかな?うーん。
「……はっ?!オラ、蜂にやられ……治ってるッキ?!低地のヤツらにやられた傷まで……」
金地に白の狒々人は、ガバッと上半身を起こして自分の状態を確認しながら驚いている。
その様子を見た藍色の狒々人は、泣きそな声色で喜びを表した。
「ハヌマぁー!よかったッキ!よかったッキ!」
「無事でよかったな!後は任せてくれ。」
「さっきはすまんかったッキ!助かったッキ!」
大猿族の二人は最初の警戒心も解けたようで、純粋に喜んでいるようだな。まぁ無事で何よりですな。
ルビィの方を見れば、周りは消し炭が山と積もれば崩れ……という感じだったが、喧しい羽音はまだまだ近付いてくる気配だ。
「ルビィ!そっちはどうだ?!」
「ボスー。たいへんー。おおいよー!たくさんくるよー。」
「分かった!すぐ行く!」
何やかんやと、虫には火が一番いい。
と、いうわけで!煉華さん出番です!
くくく……。
頑張って練習したからな、このスムーズな抜刀を見よ!蜂め!
――ゴォウッ!!
抜刀しながら、火焔を空へと解き放つ。
火焔は渦を巻くようにして、巨大蜂の群れに襲い掛かる。
ルビィが相当数燃やしている筈なのに、いつまで続くんだか……と思うくらいに、飛んで火に入る夏の虫状態だ。
神力の炎で跡形も残らないからいいものの……
普通の火で燃やしてたんなら、今頃巨大蜂の丸焼きが山を作ってるぞ?
おかしくね?……もしかして巣が近いのか?
「ルビィ!コイツらの臭いって、分かるか?」
「わかるよ!」
「何処から来てるか分かるか?」
ルビィは、焔を放つのを止め、鼻を上空に差し向けた。
そして、暫しの間、ヒクヒクと鼻を動かす。
「んとねー、あっちのほうー」
どうやら判明した様だが、ふわっとした回答がきた。
うん。まぁ、分かってた。ルビィはそうだよね!
「えーっと、大猿族……で合ってる?お二人さん。」
「そうだッキ!オラは、クウ!」と、藍色が
「ハヌマだッキ。助かったッキ!」と、金色が応えた。
「オレは、レイリィ。あっちはルビィ。
今から、あの蜂の巣を潰しに行く。キリないから。
二人は、どうする?来る?」
「ヤツら相手に役に立てるとも思えんが、行くッキよ。」
「ハヌマが行くなら、オラも行くッキ!」
「おっけー。まぁ、倒しながら進むから、ゆっくり移動って感じにはなるな。
お二人は、蜂以外の索敵とか警戒を頼めるかな?」
「「任せるッキ!」」
「よし、任せた!
ルビィ!巣に行こう!来るヤツら倒しながらな?
案内してくれ!」
「はーい!こっちー」
索敵に、移動に、戦闘にと、ルビィは実に優秀である。
まぁ、特別って感じのチートは無いんだけどね。
チートがあるとするならば、この美しい雪のクリスタルのような、モフモフの毛並みだよなー!
――
てちてち進みながら、汚物を消毒する感じのルビィの後に着いて、森を進む事、十数分。
「うわぁー……マジかぁ……。」
蜂の発生源、巣に着いた。
その光景は、圧巻だった。
蜂の巣は、半分は山の斜面を利用している感じだが、巨大なドーム状の構造物で、数個、先が円錐状になっている出入口が設けられていた。
その巣を囲む様に、巨大蜂が陣を組んでいるのだが……まだ、数百匹は居そうだ。
空を覆う暗雲の如くという感じだった。
ナニソレキモイ。いやマジで。勘弁しろください。
羽音の大合唱と、蜂の出す威嚇音がかなり喧しい。
そんな合唱はいらねーんだ。〇翼の街宣車よりいらない。
ふーむ。どう処理しよーかな……。
よし。
煉華を納刀し、雪月花を抜刀しながら、ルビィに指示しておく。
「ルビィ、合図したら、軽い火でここの周り暖めてくれ。寒くなるからさ。」
「はーい!」
「よし!いくぞー!おぉぉぉらぁあぁぁ!食らえやぁぁぁー!!!」
雪月花に、かなりの神力を込めてぶっ放した。
力の及んだ周囲の世界は、白く染まる。
蜂の巣と、蜂の群れ付近に力の中心を持っていくが、如何せん、冷気はこっちまで届いてしまう。
オレは、神具の着物で平気なんだが、皆はそうじゃない。ルビィは指示通りにタイミング良く暖めてくれた。
時間にすれば、数秒。
分子すら運動を止める冷気を浴びた蜂の群れは、墜落し、粉々になっていた。
そよ風に舞う氷の粒は、なんだかダイヤモンドダストのようだ。濁ってるけど。
いやぁー。
今日も刀術使わなかったなぁ、オレ。
アマネが見てたら、またお叱りを受ける所だったな!
見られてなくて良かったぜ!
オーバーキル?そんな事知るかってんだ。
むしろボーナスくれって感じ。
残念ながら、経験値とかそーゆーゲーム要素が全く無いけどな、この世界……。
てか、巨大蜂の群れとか、前世なら気絶レベルでビビってただろうなぁ……。
だから、加減出来ないってのが正直な所だったりする。
「な……何者なんだッキ……!」
その光景を見たハヌマが、顔色をクウの毛色みたいにしながら身体を震わせつつ聞いてきた。
その震えは、寒さのせいでは無いんだろうなぁ。
「や、だから、レイリィだよ?オレは。」
「そういう事じゃないッキ!」
うん。まぁ、知ってた。
中々鋭いツッコミじゃないですか。
ウチの面子はボケばっかりでしてね。
たまにはボケてみたかっただけだ!
「まぁ、カタも付いたし、改めて。
オレは、レイリィ・セトリィアス・ミデニスティース。一応神族だな。名前はやたら長いから、まぁ、好きに呼んでよ。
ルビィは、神獣……神狼だな。
んで、この刀達は、神具。ま、チート装備だな!」
「「ちーと?」」
「んー、強過ぎズルいーって感じ。」
「ああ……」「なるほどッキ……」
二人して顔を見合わせてるなーと思ったら……
バッと同時にこちらへ顔を向けてきた。首大丈夫?取れない?
「「……神族?!」」
おぉ?何そのハモり。急にどうした?
「ハヌマ……」「ああ……。」
何やら深刻そうに頷き合う二人。
何だか仲良しコンビって感じだなぁ。
「まぁ、とりあえずだ。皆の所戻ろうか。ハヌマとクウも来てくれよ。色々話聞きたいしさ。」
「いいッキか?オラ達も、聞きたい事があるッキ。もちろん行くッキ!」
そうして、オレ達は上陸地点の浜辺に戻る事にした。
ありがとうございました!
またよろしくお願いします!




