表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/114

1.1話 意外な出会い

ここから冒険が始まります。


レイリィとルビィの前世のお話が、蛇足譚の方にあります。

そちらも是非よろしくお願いします!

 

「ハッハッハッハッ。クンクンクンクン。」


 うーん。


「あぁー! やっぱりボスだコレー! ハフハフ」

 ベロベロベロベロベロベロベロベロ……


 うーん。生暖かい……。あと、生臭い……。

 ねちゃっとしてる。顔が。


 ハッとして薄目を開けると、デカい犬? がヒンヒン言いながら顔を舐めまわしてる……。


挿絵(By みてみん)


 えぇぇ……?

 なんでこんな事になってんだ……?


 えーと……。


 確か……転生したんだよな。


 んで、創造の女神ソールフレイヤに言われて、獣族の暮らす世界に()()()()()、んだ。文字通り。そうだった。


 え? あれで生きてんだ? オレ。

 神族は丈夫みたいな事言ってたな、あの女神。

 だからって扱い雑過ぎんかー?


 ベロベロベロベロベロベロベロベロ……


 ん?

 てーと、ここは、獣族のエリアで、このデカい犬? は、獣族……? なのか? めっちゃ動物的な感じだが……。


 ベロベロベロベロベロベロベロベロ……


「ちょ……まて!」


「はい!」


 考え事をしてる間にも、全く止まない舐め回しに、つい号令を放つ。

 すると、デカい犬? は良い返事をしながらピタリとお座りした。


 良い返事……だと……?


「え、言葉解るのか?」


「わかるよ!」


 デカい犬? は、やたらハイテンションに応える。

 シッポの動きよ。


 その謎のデカい犬らしき生き物だが……


 雪のように真っ白い毛並みが、非常に美しい。

 ピンと立った三角耳を持ち、凛々しくも何処か愛らしい顔立ちをしている。

 そして瞳は、ルビーレッドとオーシャンブルーのオッドアイだ……


 んん?


「まさか……、ルビィ……か?」


 見覚えのある特徴に、かつての愛犬の姿が重なる。


「そうだよ! ボス! あいたかった!」


 そう言うなり、またしても飛び付いてきた。やめれ。潰れるわ。


 それにしても、オレ、ボスって呼ばれてたのか。知らんかった。

 ご主人様ぁーとかじゃなくて……。

 そこは少し残念かもな。

 漢なら、ご主人様とか呼ばれたい――よな!? そうだろ?


 ……いや、そんな事より。


「ルビィ、お前も転生? してたのか!」


「よくわかんない!」


「そうか。分かんないか。まぁルビィだしな……。それもそうか。てか、ルビィ、そんなデカくなったのか?」


 記憶の中にあるルビィは、精々60cmくらいだったはず。大型犬とはいえ、普通に持ち運び可能なサイズだった。


 それが今や、もの〇け姫のモ〇くらいありそうだぞ?


「そうだよ! ルビィ、みんなよりおおきいんだ! ボスにいわれたとおり、たくさん運動したよ! ほめて!」


 掌の中に頭を無理やり捩じ込む仕種。間違いなくルビィだ。

 懐かしい……というより、また会えるとは。


 ……ちょっと泣きそうじゃないか。


 一頻(ひとしき)り撫でてやる。ムツゴ〇ウさんだ。

 しばしの間、デカくなった元愛犬と、キャッキャウフフした。


 ……ん?


 まさか、母神の言ってたいい出会いってコレか?


 だとしたら、掌の上って感じだなぁ。

 そういえば、白い空間でも、数年前から準備してたとかなんとか言ってたような……。


 うーむ。


 ま、いいか。ルビィに会えた事は、確かにいい事だわ。


 うん。


「ルビィ。今どう暮らしてんだ? みんなって、仲間がいるのか?」


「なかま! いるよ! しょうかいするよ! のって!」


 言われるがまま、背中に乗る。


 おぉ、犬の背に乗って……とか、いいじゃん。

 そんなん、めっちゃ憧れてたぞ。


「じゃ! しゅっぱーつ!」


 グンっと上半身が後ろに持っていかれる。


 この感じ、大型バイクの加速力だな。

 ……鐙と手綱欲しいかも。


 ゴウッという風切り音の中、景色が飛ぶ様に移り変わる。


「ルビィ、すげーな! めっちゃ速いな!」


「うひひー。ルビィ、みんなよりはやいんだよー!」


「そうかぁ。ホントに頑張ってたんだなぁ。」


 ヨシヨシ撫でくり撫でくり

 ルビィの背から、また撫でてやる。


「いひひひー! もっとすごいことできるよー!」


 得意気なルビィ。


 何か……、ちょっと嫌な予感がした。


「ていっ」


 と、ルビィは、オレを背に乗せたまま、天高く飛び上がり……


 十五回転のフロント・フリップを披露した。絶〇天狼抜刀牙かよ! 奥義だな。


 オレはというと……


 回転の途中で逆バンジーの様に空中へと投げ出され、さらに上空へ運ばれていた。


 そりゃそうなるよ。


 隣には、見た事も無いカラフルな鳥達が、優雅に列を成し飛んでる。


「みたみたー? ボスー? あれ。ボスいない。どこー?」


 くっ……。

 ルビィめ。ドジっ子属性だったとは。やるじゃないか。


 そういえば、以前……早く外に出た過ぎて、自動ドア開き切る前にガラスに突っ込んで、頭打ってフラフラしてた時あったなぁー。

 喋れるからか、ドジっ子っぷりが余計に際立つんだな。


「あ、いた!」


 ルビィは、キレイに放物線を描いていたオレを、フライングキャッチする。


 オレはフリスビーか。


「ごめんね、ボスー。」


 本日二度目の空の旅は、人形みたいにルビィに咥えられ、地上に降ろされたところで、無事幕を閉じた。


 それにしても、この世界の空は、蒼が濃い気がした。


挿絵(By みてみん)


 油絵具を落としたような濃紺と、白い雲とのコントラストが目に映えて、爽快さすら覚える。


「いやー。中々の体験だったぜ。ルビィ、フリスビー、キャッチ出来る様になったんだなぁ。」


「そうだよ! トリとか、つかまえるよ!」


「ほー。そりゃすごい。」


 鳥って、さっきのアレとかかな? あんな高い所に居たのに。

 ちゃんと自力で狩りして暮らしてたとはなぁ……。


 フリスビー投げてやったら、落ちるのを見届けてから拾いに行ってた、あのルビィが。鳥をフライングキャッチとか。すっかり野生だわ。

 感動した!


「あ、そうだ。ルビィ。そういえば、あんな所で何してたんだ? 狩りか?」


「んーと、みまわり!」


「見廻り……?」



「うん! そうだよ! とうばんだから!」


 ふーん?

 縄張り争いでもあるのかな。諍いがあるとかなんとか言ってたもんな、母神様。


 ま、何にせよ、ルビィの仲間とやらにも話を聞いてみないとな。母神様の依頼だしな。


「よし、ルビィ。ぼちぼち行こうか!」


「はーい!」


 再びルビィの背に跨る。


 ルビィは、学習したのか、さっきよりもゆっくりと走る。

 そうそう。結構賢かったんだよな。物覚えも良かったしな。愛いやつめ。

 撫でくり撫でくり


「ボスのなでなですきー!」


 むう……。


 実はさっきからずっと思ってたんだが……


 喋る犬って、めっちゃいいな!


「そうそう、ルビィ今何歳なんだ?」


「えーと、14さい?」


 ああ、なるほど。

 あの後すぐこっちで生まれてたんだなぁ。


 母神様の計画通りってヤツなんだろうかな。

 一体いつから何のために計画してたのやら。

 神様ってのは暇なんですかねー。


 でもまぁ、ルビィの今の姿を見る限り、ここでの十四年間は、良い過ごし方だったんだろうな。

 その仲間達に感謝だな!

 そんで、母神様にもだな!


 その後もついつい、他愛も無い問答を繰り返してしまった。


 ……ルビィ。本当に良かった。


お読みいただけまして、ありがとうございました!

今回のお話はいかがでしたか?


並行連載作品がある都合上、不定期連載となっている現状です。ぜひページ左上にございますブックマーク機能をご活用ください!


また、連載のモチベーション維持向上に直結いたしますので、すぐ下にあります☆☆☆☆☆や、リアクションもお願いいたします!


ご意見ご要望もお待ちしておりますので、お気軽にご感想コメントをいただけますと幸いです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
読みました!丁寧な描写があってイメージしやすい〜! キャラクターがみんなかわいいですね! 第一章途中なので頑張って読みます!(`・ω・´)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ