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1.42話 それは要らないんだよなぁ

ブクマが増えてました!めちゃくちゃ嬉しいです!

ありがとうございます!


宴の準備が出来たと、部屋に飛び込んできたティグリは、報告もそこそこに驚きの声を上げた。


「ニャ!?長?!どうしたニャ!?腕があるニャ!目もあるニャ!……ハッ?!これ、またダンニャの仕業ニャ?」


うっ……。鋭い……。


……という程でも無いか。

ティグリは何度もオレの神能を体験し、目の当たりにもしている。むしろ気付かない方がヤバいな。


「おお、ティグリ。この様に……またしても御恩を受けてしまったのでな。ウィトを妾にでもと思うのだが、レイリィ様がお認め下さらんのだ。どうしたものか。」


「ウィト様を……ニャるほど!それは最上の御礼です

ニャ!オイラも、ダンニャに女やるって言ったんニャ!それがまさか、ウィト様とはニャ!いい事ニャ!」


おい、ティグリ!助け舟じゃねーじゃん!泥舟だったわ!もう食い物分けてやらねーからな!ばーか!おまえばーか!オレもう涙目。


ティグリめー!ハールマーと笑いあってるんじゃねーよ!

いや、まぁ……回復を喜んでるのはいいんだけどさ……


くっ……どうすんだよ、この空気……


ちらりとフウカを見る。

その妖艶な金色の瞳と、視線が交錯した。


フウカはこくりと小さく頷いた。

おぉ、何とかしてくれそうだ……?!


「妾という話であれば、こなたからも一言あるぞえ。」


おお……!フウカ先生……!頼むぞ!なんとかしてくれ!


ま、フウカは中々交渉上手だしな、後は任せてちょっと落ち着いて王虎水でも……


あーやっぱり美味ーい。


「フウカ殿。どうされたか。」


「うむ。レイ殿に救われたのは、そなたらだけではあるまいよ。こなたら神狐の民も、死の淵より救われた者が数多におるぞえ。次期(おさ)候補までもがな……。

……先ずは、こなたが妾となるが筋であろうぞえ。」


ぶっ……!ちょ……ま……はぁ?!


吹き出した王虎水が、霧状に拡がる。

壁の光と合わさって、虹が出来た。綺麗だなぁー。


じゃ、ねーわ!!!!


コイツ何言っ……あ!誤魔化してくれてんだろか。

そうだ。そうに違いない!そうだろ?そうであれ!!そうであるよな?!そうだと言ってくれ!!


「なんと!フウカ殿は、お妾では無いのか?!」


えっ……?

そこ?!え、オレが吃驚(びっくり)なんだが……?

そんな風に見えちゃってんの?!

お前……眼見える様になったんじゃねーのかよ?!

それナニ?ビー玉かなんか詰めてんの?!


「うむ。残念ながらの。」


はぁ?!残念ながら?!ドーユーコト?!なになに?どーゆー流れ?コレ?大丈夫なん?コレ大丈夫なん?!


「そうか……。女性方は皆お妾かと思っていたのだが……。

ふむ。では、今宵の宴は、お披露目も兼ねようではないか!フウカ殿、ルビィ殿、アマネ殿、それで良いだろうか?そこにウィトも加えて下されば。」


全員妾とか、そんなわけねぇだろ?!

何処の大富豪だよ!!!こちとら前世は貧乏人だぞ!!!

今生だって、根無し草だわ!!!頭腐ってんのか!!?

お前、若返ったはずだろーよ!!!ボケるの早過ぎだわ!!

てか、オレまだ子供!!幼子!!TEN years oldだっつーのに!!


「うむ。」

「ん?いいよー」

「え……あ……は……はい……。」


はぁ?!!!!オレの意思は?!!!コイツら何言ってんだ?!

味方がいねぇよ……。

か、帰りてぇ〜〜。


てか、ルビィは絶対意味分かってないな。

まぁ、ルビィはいいか。宴のご飯が気になっててそれどころじゃなさそうだ。涎がキラリ……。


「では、話も纏まりましたので、ご案内と致しますか。ティグリ。」


「はいニャ。任せるニャ!」


一刻も早くこの地を去りたい気分だったが、反面、足は鉛を括り付けられたかのように重かった。


はぁ……。フウカに任せたのは失敗だった……。


――――


ティグリの案内を先頭に、土の廊下を歩く。

その間に、オレには確認しておくべき事がある。


「……フウカ。」


「なんぞえ。」


「大変な事になったんじゃないの、これ。」


「大変な事?ふむ。端的に申さば、旅にウィトが加わるというだけぞえ。」


「えぇー……。本当にかー?

……ウィトは、それだけのつもりなんだろうか……?だったら、うーん。まぁ、いい……のか?

てか、危険もありそうなんだが……。」


「ふむ。どの様なつもりでも良かろうえ。そも、ああせねば、収まりも着かぬであろうしな。

然し、そなたは神族であろ?供物に異を唱えるとは、変わっておるえ。

それにの、危険があれども、ウィトを護ってやれば済む事ぞえ。」


「むぅ……。」


供物ってか……。


うーむ。御供え物ってヤツかぁー……。

そういう言われ方されると、日本神話にもそんな話たくさんあったな……。


普通は黙って受け取るものなのか……。

その辺、あんまり慣れてないからなぁ……。


というより、嫁だとか妾だとかを贈り物感覚ってのが、理解し難い。

まぁ、戦国時代くらいまでは、普通にあったっぽいけど……。オレ、その時代生きてないからなぁ。

理解と受容は別物なんよ。


てか、そもそも旅だって、南半球行って終わりって感じになるかもまだ分からないんだがなぁ。

その先も放浪の旅になるんだとしたら、旅の出来る仲間でないと……と、思うんだがなぁ。


それに、せっかく送り届けたのに、連れてく事になるって、どういう事よ……。

全くもって意味が分からん。分からんが、それがここの常識なんだろうかねぇ。

はぁ……。弁丸じゃないんだからさ……。オレは上杉でも武田でも豊臣でもないんだよ。


「して、レイ殿よ。」


「ん?」


「こなたらの事は、妾にするかえ?」


悪戯っぽく微笑むフウカは、妖艶過ぎて、扇情的過ぎた。

最早毒物か、劇物だ。取り扱いには責任者資格が要るだろう……。ちなみにオレは持ってない。


「いや、しないから!!」


それだけ言うのがやっとだった。


――――


先程の広場には、テーブルなどが設置されていて、すっかり会場といった雰囲気になっていた。


結構大勢集まっていて、料理を運んでいたり、飲み物を運んでいたりする者、談笑している者、様々であるが、虎人の他に豹人もいる。


用意されていたテーブルは全て低いタイプで、椅子は無い。

多分、子供でも使えるようにって事なんだろう。


今更ながらに気付いたが、獣族の住処に扉が無いのも、そういう事なのかも。子供は四足歩行だからな。扉なんかあったら不便だよな。ルビィも前世でたまにぶつかってたし。


こうして見渡してみると、四足歩行の子供も結構いる。

子虎や子豹、中々可愛らしいな。


獅子人の宴の会場には、子供は居なかった。

リオダーリの子供だけは、何処かから走ってきたが……まぁ、隠してたんだろうな。

殺る気満々みたいだったからなぁ。


広場中央では、二人の虎人が石組みの上で牛っぽい何かを丸焼きみたいにしている。


おそらくアレがメイン料理なんだろう。

どんな味なのか……楽しみだ。


「ダンニャ達はここニャ!」


ティグリは、やたら機嫌が良さそうだ。

おそらく人間であれば、鶴瓶師匠のような笑顔だったろう。


言われた通りに席に着く。

ハールマーはまだ来ていないので、少し時間はあるだろう。


ちょっと、今の内に、一旦落ち着いて、だ。

現在の状況や気持ちの整理をしてみようかな……。


ありがとうございました。

またよろしくお願いします!

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