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1.41話 ついでのつもりだった。後悔はしていない。と、言いたい。


「あ、そうそう。ハールマーさん。ちょっと失礼な事聞いていいかな?」


ティグリの希望で宴という事になったが、準備にはまだ時間が掛かるだろう。


という事で、ちょっと気になってた事を質問をしてみる事にした。


「なんなりと。」


「その傷って、どうしたの?」


「……お気に障りましたか。申し訳ない。

……この目は、竜族との戦いで。

この腕は……ルーヴとの戦いで、それぞれ失いました。それにより、ウィトも連れ去られ……」


ハールマーは、残る右手を、ぐっと握り締めた。


気に障るだとか、オレにそんなつもりはさらさら無いんだが……やはり本人は気にしていたんだろうな。


どう聞いたらダメージ少なかったのか……。

分からないから、結局ストレートに聞いたんだけど、難しいもんだなぁ。


「いや……。変な事聞いて悪かったね。」


「はっ……!いえ、とんでもない。」


「あー、その傷さ……治したい?」


実は、治していいものなのか、ずっと気になっていたのだ。

なんと言って切り出していいのか分からなくて、結局今になってしまったのだが……。


怪我した理由は別にどうでも良くて、これが本題だった。


「……はっ?な、治す……?

この傷を……ですか?!」


「まぁ、治すというか、元に戻すというか……。

とにかく、目も腕も治せるけど、どう?」


というよりは、異常ナシ!の状態まで戻すって感じなんだけどさ。

大狼族の時も、ちょっと若返ってたみたいだしな。


「なんと……。そんな事が可能なのでしたら、願ってもない……。よろしいのですか?」


「よろしいから聞いてるんだよ。」


「では、お願い致します。」


「おっけー。ま、お任せあれよ!」


許可が出たので、早速取り掛かる。

ハールマーに神力を通して、映像を拾い集めていく。


全盛期と思しき辺りを再起点として……


「リセット!」


掛け声と共に光に包まれるハールマー。


まぁ、別に掛け声は要らないんだけどね。

頭の中だけで完結出来るからなぁ。


なんとなく雰囲気的に、ついついしてるだけで。

なんかこう、"必殺技!"って感じするだろ?


いや、まぁ殺さないんだけどさ。"秘技!"の方がいいか。


光が収束すると、一回りパンプアップした様子のハールマーが現れた。


ハールマーは、凛々しい眼光を携えた両の眼をカッと見開き、元通りになった左手を確かめるようにしてグーパーと開閉している。


「な……なんという……!まさに……神の御業……!」


「とーちゃん!良かったニャ!治ってるニャ!」


ウィトは大層喜んでいるが、ハールマーと白虎人は、驚きの方が勝っている様子だ。

何だか固まってしまっている。


ふーむ。やっぱそういう感じなんだなぁ。


まぁ、治癒の力だと、無くなった部分は戻りはしないみたいだしな。そうなっても不思議は無いか。


欠損部位が治るとか、結構特殊なんだろうな、いくら神様がいる世界といっても。


まぁそうか。前世だったらオーバーテクノロジー?も、いいとこだもんな。


なんというか、異世界に飛ばされる話って、物凄く強い()()()で無双するイメージがあったけど、オレにはこんな感じのでいいかも知れないなぁ。


平和にダラっと生きて、幸せになりたいだけだしなぁ。

まぁ、勿論、身を守る強さは要るんだけどさ。


「ふふ。ハールマー殿。凄かろうえ。」


何故かフウカが嬉しそうにしている。


ん、まぁ、オレあれか、一応生徒か。

先生!オレ、やりましたよ!って言うべきところなのだろうか?


「この様な奇跡まで与えて頂けるとは……!どの様に御礼をしたらいいのか……!」


我に返ったらしいハールマーは、身を乗り出して大袈裟な程に謝意を伝えようとしてきた。


のだが……


「あ、いや。そういうのはいいんで。」


オレとしては、だ。

こんなのは、オレが勝手にやった事なんだから、気にしなくていいって感じなんだよなぁ。


ハッキリ言ってしまえば、ただのついでだし。


まぁ、炭酸リンゴジュースお代わりくれてもいいんだけど!お代わりくれてもいいんだけど!


「はっ……!?ウィトを妾にでも!!」


「ニャっ?!」


「いや!そういうのはいいんで!!」


な、急に何を言い出しやがる……!やめろ!


「え〜そんニャ〜」チラッ


……!おい……!

ウィトもなんか照れた感じ出すのやめろ!お前そんな感じじゃなかっただろ!

あと、普通に見た感じ虎だ!白い虎!

オレにそういう趣味は無いんだ!どんなマニアだよ!

チラチラ見んな!クネクネしてんじゃねー!


「ねーねー。フウカさまー?」


「うむ?」


「めかけってなにー?」


「ふむ。番……ではないが、子孫を残すべくする者ぞえ。」


「んー……。

……むずかしーね!」


左隣では、例の如くなのか、フウカ先生の授業が開催中だった。針の筵である……。


「ご主人様……。」


右隣からは、何か不安を訴え掛けてこられた。

全文言い切らない所が、何ともこの鬼娘(ひと)らしいよね?!


「いや、だから、オレはそーゆーの、いいの!要らないの!いーらーなーいーの!」


「レイリィ様、ウィトの事嫌いニャの?」


な、なんだと……!こ、こいつ……!

うるうるするんじゃねーですよ!

これが人型だったら、かなりあざといんじゃなかろうか……。


「いやいや、そもそも、ウィトって子供じゃないの?」


「ですが、レイリィ様は、神族ですよね?神族にはそのような事は、些細なことであると聞いた事がありますが……」


はぁ?!どーゆう事だってばよ?!

え?コレ、また噂の最高神?!

どんな事してんだ?最高神ってやつは!!


もし本当に最高神の噂からきてるなら、色んな意味でヤバそうな奴だな……。マジで関わりたくねぇ。


「いや、まぁ、ほら、オレは流浪の身だし?幼神だし?無理じゃないかなー。それよりホラ、これ!お代わりある?御礼ってんなら、もう一杯……」


無理矢理話題転換を試み、空になったコップを指し示した。


「はぁ。お気に入り頂けていた様子でしたからな。勿論お持ちしますが……。然し、そのようなものでは釣り合いがとれません。過ぎた幸運は、身を滅ぼしかねませんので……」


え、なにそれ?そんなルールあったりするの?

こんな世界だから、冗談に聞こえなくて怖いんだが?!


てか、地球では運が寿命を延ばすどうのって話で、オレは"増幅者"だったらしいが……まぁ、神族となったオレは、もうその役割では無いらしいのだが……。


え?まさかこっちでも、そんな話があるんだろうか?運がどうとか。


うーむ。

でも、テイルヘイムは、なんというか、行き届いてる感じがするんだよなぁ。バランスのいい世界というか……。

親切設計というか……。

景色は綺麗だし、食料豊富で美味いしなぁ……。

うーん。どうなんだろ。


再び注がれた王虎水を飲みながら、暫し考えを巡らせるのだが、当然答えは出ない。

だって、オレはこの世界のシステム知らないからな。


まぁ、地球のシステムも、知ってるようで、知らなかったんだけどさ。


うーむ。これ、どうやって断ればいい話なんだろ?


そんな時だった、助け舟が現れたのは。


「長ー!ダンニャー!宴の準備出来たニャー!」


ティグリ!GJだ!やるじゃないか!後で、食い物分けてやるからな!

ありがとうございました。

またよろしくお願いします!

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