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1.21話 神様の名前考えろとか、ハードル高いっしょ



 

 恩返しの件が有耶無耶な感じに、ほぼ決着が付けられた。


 何というか……色々思う所のある話だったな。

 いつか解決するんだろうか。だといいんだが……な。


 そんな時、不意に口を開いた者がいた。

 フウカだ。

 先程までは、とても良く出来た置き物の様だったのに。

 急にどうしたのさ?寂しくなっちゃった?


「火神様。少々お話宜しいですかえ。」


「む?どうした?」


 何だかとても真面目な雰囲気を出すフウカに、火神も釣られたのか、真面目くさった顔で返事をする。


 なになに?ちょっと怖いんですケド?さっきまでの重たい話でお腹いっぱいなんです!シリアス展開は要らないッスよ?!

 と、内心ドギマギしていると……


「お気付きの事かと存じますがの。こなたも、新しい力を授かりましたのえ。そちらの、レイリィ様に、名を頂き申したのえ。」


 あぁ。その件、報告するんだ?

 どうやら、そんなに意外という程の話題ではないようだった。


 そういえば……この二人、厳密にはどういう関係なんだろうな?上司と部下みたいな感じなのかしら。

 もしかして、完全な主従関係だったとしたら、結構不味かったのでは……?


 え……?オレ怒られちゃう?

 いや、それならまだいい。敵対とかしたくないぞ。

 荒事は勘弁デスよー。能力はともかく、戦闘技術は殆ど無いんだしさ。それに、火神は割と良い奴だと思うしなぁ。そんな奴と争いたくはないぞ……。

 と、内心では更に不安を掻き立てられていた。


「ほう。どの様な名だ?」


「フウカにございますえ。」


「ほう……。フウカ……。それは良き名をもらったな!良い響きではないか!似合うておるぞ!かっはっはー!

 それで、どんな力を得たのだ?」


「はい。新たに授かったのは、風を巻き起こし、氷や水を創り出す力。名の意味の示す通り、という事に御座いますえ。」


「なんと!それはなんとも便利そうだな!かっはっはー!」


 おぉ?そんな軽い感じなんだ?便利ってか、さっきは溶岩固めてちょっと地形変えてたけどな。

 ……笑ってらっしゃる。

 ふぅ……。良かったー。これなら怒られ無さそうだな……。安堵。無事帰れそうだぜ。


「火神様。先程の――封印の件ですがの。新たな名を冠すれば良いのでは御座いませぬかえ。」


「……なんだと?」


「ですから、レイリィ様に、新たな名を付けて頂くのですえ。()すれば封印を解かずとも、力を取り戻せるのではないですかえ。」


「……なるほど。」


「……え゙っ?」


 何がなるほどなのよ?ちょっと変な声出しちゃったじゃないか。牛乳飲んでる時じゃなくて良かったよ!辺り一面、悲惨な臭いにするとこだぞ!飛散で悲惨だこんちくしょー!名前考えろだとー?!割と苦手なんだぞー?


 てか、上書きするって事か……。そんな事出来るんだ……?

 安堵したのも束の間だな、おい!


「レイ殿も、恩返しを……と申しておりましたえな。」


 ふむ。まぁ……確かにそれで問題が無いなら、吝かでは無いね。何にもしないってのも気が引けるしね。

 良い感じの名前考えるのが、キッツイけどもね……。


「ふーむ。確かにな。

 おそらくだが、それならば最高神にも勘付かれまい。

 よし!良き名を頼もうか!かっはっはー!」


「分かりました!ちょっと考えます。」


 うーん。元の名すら分からないから、普通に考えるしかないなー。そういえば、地球での呼び名はたくさんあったんだっけ?とはいえなぁー。それをそのままってのもなぁー。どんな想い出なのかも分からないからな。やはりちゃんと考えるべきだろう。


 火神を、改めてマジマジと見る。

 先ず目を引くのは、赤々とした髪。それはまるで炎の様に天に向かい立ち昇る。

 割と重力に逆らってるな。流石神様って事なんだろうか。


 火の力を体現したかの様に、赤味を帯びた肌は、筋肉美という言葉が相応しく、均整の取れた身体付きをしている。

 男なら憧れちゃうなー。

 女から見ても、きっと魅力的だろう。

 オレも筋肉付くのかしら。今、普通に少年って感じだからなぁ……。


 顔はというと、彫りが深く、濃い感じだ。

 自己主張激しく高い鼻、力強く凛々しい眉、そして睨まれたらビビっちゃうかもな目力って感じ。


 一言で表せば、ワイルド系イケメンだな。もうちょっと言えば、風格やら威圧感すらある。まぁ、神様だしな。


 ふーむ……。

 浮かぶイメージとしては、竜巻……、嵐……、炎……、火焔……、紅蓮……、で、神様と…………


 んー。

 颶焔大御神(ぐえんおおみかみ)とかどうだろう?

 んー。まぁ、なんかここの世界って洋風な感じするから、洋風の方がいいのか?うん。まぁ、そうするか。


「グエン・オージンってどうです?」


「ほう。それは、どんな意味だ?」


「あー……意味としては、台風――嵐の様に力強く渦巻く炎の大いなる神様って感じですかねー。」


「かっはっはー!また大きく出たな!

 グエン・オージンか。良き名だ!有難く戴こう!

 では、宣誓を頼むぞ!その意味をしっかりと込めてな!かっはっはー!」


 あー、例のヤツか。イメージして神力込めるのな。オーケーオーケー。お任せあれですよ。覚えましたからね!


「この者に、"颶焔大御神(グエン・オージン)"の名を与える」


 と、火神の頭に手を置き宣言したら……

 物凄い勢いで、全身から力が抜けていった。

 それは、フウカの時とは比べるべくも無い、物凄い勢いだった……という事までは覚えてる。


 ちょっと楽しみだったのに、どんな光景になったのかすら、見る事もかなわず、バチンと急にブレーカーが落ちるかの如く、突如ブラックアウトしてしまったのだ。


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