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119. 白い卵



 白の一族の長、ドラゴン娘 (全裸) は、オレの持っていた緑竜族の卵を手に取ると、白に変えたとか言い出した。



 「白に、変えた……だって? そんなことが出来るのか?」


 いや、マジでそんなことが出来るんなら驚きなんだが……?


 ってか、オレが戦う意味だわ。全部白に変えてくれたら平和だろうよ?


 皆ここでお寝んねしててくれよ。どこにも犠牲者出なくて最高じゃねぇか。

 


 「うむ。卵の、初期の状態であればな。不確定要素を白に固定するのよ。」


 ほぉん。全然わからんということがわかったな。



 「我ら竜族の色を決定付けるのは、ドラゴニウムという成分の含有量が大きく関わっておる。そしてこれには型式があってだな……」


 「型式……」


 おいおい、化学的な話じゃねぇか。そういう概念あんのね……。



 「知りたいかね? 知ったとて、ネイドスの神族にはどうしようもないとは思うがの。」


 ドラゴン娘は、顔を近づけて覗き込んできた。たわわが少し揺れていた。



 「ん、まぁ、聞いても仕方ないことはいいや。要するに、オレたちにはどうしようも出来ないことなんだろ?」


 「そうだな。どうにも出来まいよ。ただ……お主、この卵はどうしたのだ?」


 おっと。さすがに気付かれたか。


 んー……まぁ、色々教えてくれてるし、敵対の可能性も低そうか……?



 チラリっとフウカを見てみた。硬い表情である。だが、目が合うとコクリと小さく頷いた。


 アマネを見てみた。アマネは普通の感じだな。そしてやっぱりコクリと頷いた。


 「ん。オレの神能だよ。神能で卵に戻したんだ。」



 オレの一言に、ドラゴン娘は興味深そうに目を丸くした。こころなしか瞳孔が太くなったな。


 「ほぉ~~。そのようなことが出来る神族とはなぁ……。我が寝ておる間に、神族も進んだのか?」



 いやぁ、コレはオレしか出来ないんじゃないかな? 母神様からはそう聞いてるが……どうなんだろ。


 少なくとも、オレはアイカフィアーみたいな芸当や、母神様みたいな芸当は出来ない。固有能力的なモノは真似しようがないと思うんだよな。



 「たぶん、オレの固有能力だと思うぞ? まぁ、オレは神族歴短いから詳しくは知らんのだよ。」


 「ふむ? 何やら小さいとは思っていたが、お主幼いのか。」


 小さい……いやそうなんだけどさ! うん、まぁ、10歳だしなぁ……。仕方ないかー。

 

 「まぁ、幼神……だとは思う。」



 「そうか。ま、共に戦うのは御免こうむるが、卵を手に入れたらまた持ってくるがよい。白の一族として受け入れることとしよう。」


 お? 竜族漂白作戦キタコレ?



 「んじゃ、近くに転移石設置してもいいか?」


 「あー、あれか。……お主しか使わぬのであれば、許可しても良いがな……」



 ああ、転移石なんかあったら、攻め込まれ放題にもなりかねんのか……


 なるほど、エルヴァルドと繋ぐのはよくないかもなぁ……



 「フウカ」


 「ああ、よいぞえ」



 いや、名前読んだだけで分かっちゃったのね? 察する力たかすぎねぇ? いやー、さすがだわ。


 

 「神狐の郷という場所の近くと繋ぐ。テイルヘイムだな。エルヴァルドとは直接的じゃないし、神狐の民なら、平和主義だし、なにより竜族を傷付けるほどの力を持っていない。どうだ?」


 「ふむ。まぁ、よかろう。」


 ドラゴン娘はあんまり渋ることもなく許可をくれた。まぁ、このドラゴン娘……めちゃくちゃ強そうだしな。現に、みんなすっかり大人しい。敵襲をめんどくさがってるだけだろな。


 

 「あ、で、この卵どうしろって?」


 共闘断られて卵。ちょっと意味不明だったよな。



 「ん? 孵して好きに使えばよかろう?」


 あ、そういう……?


 え? てか、それでいいのかよ? 仲間意識的なやつ、ないの? 元々これ、緑だったからか?


 ま、援軍協力的な意味かも知れん。


 それはいい。それよりも……だ。


 

 「や、孵すって、どうすんだ……? 温めるのか?」


 「うん? 温める……まぁ、そうと言えばそうか? 神力を込め続けるのだ。」


 ああ、なるほど。まぁ、栄養を与える的な話か。そういう感じならそうか。



 「わかった。ありがとう。で、もうひとつ、聞きたいことがあるんだ。」


 「ん? なんだ?」



 「白の一族ってさ、ここでずっと寝てるだけなのか?」


 「ほとんどのものがそうであるな」



 「それって、何か楽しみがあったりとか、するのか?」


 「……楽しみ? はて? よく分からぬが……我らの祖は、仲間が欲しいと願ったそうだ。そこからどれほどの時が経ったかは知らぬ。だが、我らが生まれたのだ。願いは叶えられた。他に、何か必要なのか?」


 逆に聞き返されてしまった。


 うーん。仲間が欲しいと願った、それは叶った……って、それはそうかもしれん。


 でも、それで、一緒に寝てるだけ……ってさ、それでいいのか? って思ってしまうのは……元人間の強欲さなんだろうかね?


 うーん。でも、同じような長命の神族は、割と好きにのほほんとしてたり、変なこととかひどいことしてたりとかしてそうなんだがなー。この考え方の違い……始祖が違うからなのか?


 まぁ、考えてもわからんことは、今はいいか。



 「わかった。ありがとう。また卵を手に入れたら来るから、よろしく。」


 「うむ。では我は寝るとするか……」


 ドラゴン娘は、そういって巨大白竜に戻ると伏せをして、目を閉じた。



 さてと。転移石設置して、一旦郷に帰るかぁ。



――――

――



 長の寝ていた地点から少しだけ離れた場所に簡易転移石を設置して、神狐の郷に一旦戻ることにしたオレたち。


 「レイリィきゅ~~ん? そぉんな怪しげな卵もらっちゃってぇ~~ど~するのぉ~~ん?」


 郷に帰って早々、フィーネはうるささを取り戻していた。


 いいんだ、それは取り戻さなくて。没個性しててくれ。うるさいから。



 「レイ殿や。しかして、フィーネ殿の言も一理あるぞえ。竜族なぞ、信じてもよいものかどうか……わからぬえ」


 フウカも、竜族には被害を受けた身だからだろうな。警戒しているようだ。



 「ボスー、それおいしーかな?」


 ルビィは平常運転に戻ってるな。あと、これたぶん食えないからな? 大別すると、岩食うみたいなイメージだよな。そりゃ食えないわなぁー。


 

 「ご主人さま。孵されるのですか?」


 アマネはなんだか複雑そうな表情だな。嫉妬でもしてるのか?


 「まぁ、竜族は飛べるんだろうしさ。それだけでも価値あるだろーとは思う。」


 「そう……ですか。」


 それだけ言って、なにやら考え込んでしまった。



 「ふふ~ん。ついに竜族がウィトの子分にニャる日が来たニャ!」


 まぁ、ここにもおかしなこと言ってるやつがいたが。ほっとこう。


 


 ま、とりあえず、温め……もとい、神力込め込めしてみますかね!


 何が出るかなー!

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