女の子は少し着飾った方がいいと思うんだよな
神狐の館、広間にて。
なんやかんやドタバタしていたが、やっとみんな揃いまして。
「んじゃ、集まったみたいだし、順番に渡すぞー」
「はーい。」 「はい。」 「うむ。」 「はいニャ」
「はぁ〜い」
ん? なんかしれっと変なの混ざってないか?
ルビィ、アマネ、フウカ、ウィトに混ざって、神鳥フィーネイリオロスが座ってやがった。
オレは今、神界エルヴァルドからやっとの思いで持ち帰ったモノをだな、みんなに配るとこなんだが……
何でコヤツしれっと居るんよ……
つーか、さっきフウカの静調子で黙らされてたのに……!
「フウカ、それ……」
「うむ。フィーネ殿は、竜族調査には欠かせぬ戦力ゆえな。大人しくするという条件で術を解いたぞえ。」
そ……そうなんだ……
「そうよぉ〜ん? ワタシをのけ者だなんて許さないわよォ〜ん?」
うーむ。
コヤツふんぞり返っているが……
全裸なんだよなぁ……。
美女ではあるんだが……スタイルも良いのだが……あんまりありがたくないのはなんでなんだろう。
やっぱり隠されたものを見つけることに価値を感じるってやつかねぇ?
んー……いや、まぁ、コヤツのキャラ的なモンかもなぁ……。
「んじゃまずは、ルビィとアマネにはもう渡したヤツな。フウカとウィトにもあるからさ、はい。」
神スマホ分機!
「おお、レイ殿の便利な板かえ。これは良きものぞえ。」
「やったニャ! おそろいニャ!」
フウカもウィトも喜んでるな。
まぁ新しいもの手に入れた時って嬉しいよなぁー。
たまに慣れないなって思う時もあるけどさ。
iPhoneのホームボタンなくなった時とか……
いや、ガラケーからスマホになった時の方が……
まぁそれはいいか。
「あ、とりあえずだね、ここを押したら……ほら、みんなの顔が出るだろ? 話したい相手の顔を押すと繋がるからな。」
「ほお〜。これはなんとも……こうかえ?」
「ここを押す……ご主人様を押す……」
「んニャ? こうかニャ?」
「ボスー。これー?」
「ワタシのはないのかしらぁん?」
いや、ちょっと一気に喋るなよ……小学校かよ。
あと、焼鳥。キサマの分などないぞ。
後は郷に置いておく用と、ニケの分だ。
まぁ……ニケの分は母神様が持ってるがな。
拡がる繋がる神スマホの輪……
つっても、ちゃんとたくさんアプリ的なモン入ってるのオレのだけだがな。
みんなのは通話とメッセージくらいしかない、キッズ携帯みたいなモンだが……
メッセージ機能を教えるかが悩みどころだから、次いこ。
「よし、じゃあ次の便利グッズを配るぞー」
そうして、ひと通りの便利グッズを配っていった。
――――
――
そしていよいよ、ルビィとウィトの新装備である。
「んじゃ、ルビィはコレな。で、ウィトはコレ。」
「えー? くびわヤダー」
「やったニャ! ご褒美増えたニャ!」
むう……ルビィめ。前世でも一応首輪はしてたろ。
そりゃ外した時は喜んでたけどさぁ。
まぁいいや。
「それ、神具だからさ。神力込めると服になるからな? 防御力アップだ!」
……色んな意味でな。キミたち裸族だもんな。獣だから仕方ないけどさ。
だからの変身グッズだ! 母神様が何でも創れる神でよかったぜ。これで平和が守られた! 主にオレの!
「ふーん」
ルビィめ。それ、あんまり分かってない時のやつやないか。首を傾げるでないよ。
「大丈夫だ、ルビィ。もふもふの時はこう、バリア的な感じだからな? 首輪するだけだ。」
「ばりあ?」
ルビィはますます首を傾げてしまった。
「んーと、痛くなくなるんだ! それしてると。痛いの嫌だろ?」
「へー! そうなんだー!」
どうやら通じたらしいぜ……
「レイリィ様〜、ウィトのもばりあかニャ?」
「おお、そうだぞ。」
「ふふ〜ん。そうかニャ〜。」
ん? コイツ……また変な事考えてないといいが……。
あー、そうだわ。
「アマネ。アマネにも服があるんだよ。ほら。」
「えっ……私は着ておりますが……」
いや、そうなんだけど、そうじゃないんだよ。
女の子はさぁ、そういうの、大事なんだろ? オシャレ的なヤツ。
前世の妹は病弱だったからな……そういう事あんまり出来んかったから、いつも悲しそうに笑ってたんだよ。
だから毒嫁には……と、思って好きにさせたらエラい事してくれてやがったけどさ……
アマネは、そんなんじゃないだろ。
せっかく自我が生まれたんだ。少しずつでいいからさ、楽しんで生きてくれよな。
「あー、オレ、アマネがこの服着てるところ見たいなぁ……」
「え……? は、はい。ただちに。」
そう言ってするすると着物を脱ぎ、あっという間に全裸に……なるなよここで! お前もブルータスかよ!
「や、アマネ……ここで着替えなくても……ほら、あっちの部屋でとかさぁ……」
「……な、何故でしょうか……? ご、ご主人様と離れよと……? 私を……お見限りされるのでしょうか……」
あ、ヤバい……泣く!? うるうるしとる!
「あ、いや、ほら、み、みんないるし? ってだけだよ、そそそそんな、まさかアマネを見限るだなんて……あ! ほら、これな、は、早く着るといいんだ! な、お、贈り物、オレから!」
「は、はい……。もったいのうございます……。」
オレから服を受け取ったアマネは、服を抱き締めて顔をうずめている……んだが。
いいから早く着なさいよ。
「レイ殿や。」
「ん?」
「こなたには、ないのかえ?」
「え、フウカ、服……というかそれ神具だろ?」
「ふぅむ……。みなにはあって、こなたにはない。悲しきことぞえ……。」
ふぁ?! なんかまた変なこと言い出した!
よよよという感じの背景が似合いそうなアクションかましてんじゃねぇよ!
くっ……めんどくせぇ……! ど、どうする……
はっ!? そ、そうだ。
「フ、フウカ。服……ではないが、ほらコレ。」
「む? なんぞえ? おお……これは……」
ふはは。いつぞやルビィの祖父シンザーリルにもらった石を、創造の力で加工してもらったんよ!
アマネにやろうと思った簪だけど、どうぞ! も一個あるしよ!
「ふぅむ……落ち着いた神力を感じるぞえ。それに、美しいえ……。レイ殿や。挿してくれるかえ?」
「お、おん……?」
いや、創ってはもらったが、オレには美容師資格も着付け師資格もないんだぜ?
セルフでお願いしたい所存!
だが……期待を込めた顔してやがるぅー?!
仕方ないから、さらりとしたフウカの髪をまとめ上げて、くるんと回して……簪をさっくり挿してみた。
「ふふ……。似合うかえ……?」
ぐはっ……?! なぜ髪を軽くアップにするだけでこんな破壊力に……?!
オレのHPは残りわずかよー?! やめたげてー!
「……ご主人様……着付けました。……どう、でしょうか……?」
ふぁー!! ダメだコイツもダメだ!! しまったやりすぎた!!
普段の濃紺着物と黒袴の侍風でもクソ可愛いのに……
振袖風はやりすぎた……
可愛い過ぎて血反吐出そう。
うぅ、簪……アルヨ? 渡すの? ホントに?
あぁ……でも、渡さねば!
アマネに、オシャレを楽しんでもらわなくては!
たとえこの身が、張り裂けようとも!
「アマネ……め、めちゃくちゃ似合ってるゾ……こ、これもあるから、着けるといいヨ……」
「あ、ありがとうございます……」
た、耐えろオレ! 頑張れマイハート!
「ねぇ〜ねぇねぇレイリィきゅーん? ワタシにはないのかしらぁん?」
お前にはねぇんだ! 焼鳥!
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