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【神世界転生譚】 リセットしたいとは言ったけど、こうじゃないだろ?!神になるとか聞いてない!  作者: Resetter
第三章

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ゆめまぼろしは静かなるしらべ

 


 久しぶりの神狐の間である。


 石造りの(おごそ)かな空間に、淡く光る石の台。


 うむう。やはり神秘感漂う空間だよなぁ。最初のうちはそこそこ圧倒されたもんだ。


 まぁ、病院よろしく、うっかりここに1ヶ月くらい寝かされてたらしいが。


 とはいえ、背中痛っ! てなって起きた事しか覚えてないがな。


「さぁ、レイ殿。これを頼むぞえ。」


「ほい。」


 フウカから長細い包みを受け取る。明らかにオレの背よりも長いねー。


 何ならフウカより全然長い。2mくらいあんのかな。


 ゆっくりと包みを開けてみると……


 露わになったのは、黒漆塗りを基調にした(こしら)えの薙刀。


 そう。基調にした、なのである。



 蒔絵(まきえ)螺鈿(らでん)で美しく装飾されたそれは、とても幻想的な雲海だった。


 霧のように散りばめられた細かな模様は、柄の部分にまで施されている。


 実戦で使っていたとは思えないほどの美しさだ。



 さて。


 刃の方も拝んでみましょうかね。


 と、(こしら)えをゆっくりと外してみれば……


「おお……」


 薙刀のわりに、意外と反りがないな……。静形(しずかがた)というやつか……。


 身巾(みはば)もあまり太すぎず、とても洗練された美しさに仕上げられている。


 太めの()が彫られているが、(しのぎ)の部分には彫金加工(ちょうきんかこう)で文字のような文様のようなものがある。


 唐草……でも炎でもない。流れるような模様ではあるが……。


 かつての銘だったのだろうか? 何か言い知れぬ歴史の重みのようなものを感じるな。



 そして、刃全体は、鋼の輝きではない。


 薄く青みがかっていつつも、白くもある。


 磨かれた銀の輝きというよりも、淡い輝きといった様子だ。


 てか、薄く発光してないか? 神力の残滓かな。

 まぁ元々神具だったわけだし、さもありなん。


 そして、刃紋は、中ほどはゆったりとした(のた)れ刃だが、切先にいくにしたがって()の目のように尖り、元の方は直刃(すぐは)という複雑な紋様だった。


 うーむ。


 素晴らしいじゃないか! なんだコレ、神がかってんな。


 力強くもあり、どこか女性的でもあり、幻想的で儚さもあり、掴みどころがないというか……。


 まぁフウカらしいなぁー。

 まさか初代神狐も、あんな感じだったのか?


 うーむ。


 さて……名付けかぁー。


 静形……


 狐……


 雲……


 霧……


 儚い……


 幻想的……



「よし。静夢幻(しずかむげん)でどうだ?」


「ふむ。どんな意味かえ?」


「んー、静寂の中、ゆめまぼろしのごとくを魅せつける……みたいな感じ?」


「ほほう……。レイ殿は、こなたをそのように見ておるのかえ?」


「いやいやいや、薙刀ね! 薙刀!」


 だからそんな顔するな! 削れる! オレが!


「……ご主人様。よき名にございますね。」


「お? そう?」


 ネームミングセンス、正直自身ないからなー。嘘でも褒められると気分が軽くなるなぁ。


「もちろんでございます。私もご主人様に戴きました名、勿体なくも誇りと思っております。」


 おお、要するに気に入ってくれてんのか、あの長ったらしい名前。


 それならまぁよかったかな。倒れたかいもあったというものだ。


「さ、では、儀式を頼めるかえ。もちろん、あとでゆっくりと礼はするぞえ。心配せずともよいえ。」


 いや、ちょっと待て。

 その……その顔で礼とか言われると恐ろしいんだよ! 何が待ってるんだ! 怖えだろ!


 そのやたら煽情的な笑顔をやめろーーーーー!!!


 くっ! さっさと終わらせるぜ……!


「このものに"静夢幻"の名を与える!」


 ……宣言とともに、ごそっと抜けていく神力。


 ううぅむ……! さすがはかつての神具だなぁオイ! めちゃくちゃ吸っていきよる……


 光の粒子となった神力は、螺旋を描きながら立ち昇り、そして薙刀へと吸収されていく。


 光景だけは本当に綺麗なんだが……疲労感が半端ない。


 まぁいつもの事だが……


 光が収束すると、薙刀はふわりと軽くなった。


 まるでそこに無いかのような、雲を掴んでいるような感覚である。


 成功だな。


「フウカ、出来たぞ。ほい。」


「うむ。ありがたく……どうえな……おお! これは……なんという……」


「いい感じか?」


「おそらく……伝え聞いておったものとは別物となっておるぞえ……」


「ほーん。」


 原型の能力判明してたんかい。

 だったら教えといてくれよー。何とか寄せる事も出来たかもなのにさぁ……。


「……静夢幻、応えよ」


 フウカがそう薙刀に語り掛けると……


 ふわっと、辺り一面の風景が白く歪み……そして音が消え……


 しがみついていたはずのアマネすら認識できなくなった。


 いや、なにそれ。こわっ



 お、おいおいマジかよ……これ、シャレになんねぇぞ?


 知覚が全く出来ないとか、恐怖でしかないだろ。


 んー。落ち着いて神力の流れを探ってみよう……


 …………


 ……


「レイ殿、レイ殿や。起きるぞえ。」


 はっ?!


「……え?」


 ……オレ、寝てた?!


 あ、アマネがオレの腕にしがみついたまま寝てる! あのアマネがっ!


「レイ殿……これはまた凄まじいものを創り出したようえの」


「え、あー。ま、まぁ、そうね……なんか、そういうイメージ込めたっていうかさ……」


「ふぅ……。レイ殿や。そろそろどうえな。こなたらはとっくに……」


 はっ?!


 これは聞いてはいけないやつだ!


「いやぁ?! オレはほら、全然、ね! 大丈夫大丈夫! おちつけーおちつけー?」


 うっ! アマネが寝てるから脱出出来ねぇ……! 寝てまでもなんて力でしがみついてやがるっ……!


 ああ、フウカがじりじりとにじり寄ってきよるぅー?!


「ふーむ。相も変わらずつれない御神ぞえ……。せめてもの礼と言うておろうえ……」


 礼……礼……礼ってのは、後が怖い奴じゃないだろぉー!?


 はっ?! っそ、そうだっ!


「フ、フウカ。」


「なんぞえ」


「オレは、あった。思い出したんだ。どうしてもしたかった事を。」


「ほう。」


「フウカのその、スーパーもふリヘブンフィーバー・ナインスペシャルをもふりたい。」


「……ん?」


「と、とりあえず狐型に戻ってくれないか?」


「うん? 狐に戻っていたしたいのかえ?」


 いやいやいや、そうだがそうじゃないんだ!


「ふぅむ、やはり変わっておるえの……」


 そう言って光に包まれたフウカは、デカい白銀の九尾に。


 キタコレ!


 喰らえ! 我がムツゴ〇ウスペシャル!


「あ……ちょ……レ、レイ殿……! そ……そんなっ……それは……それはしっぽぞえ……」


 くくく……! こうなったオレはもう誰にも止められねぇぜ!


 そうしてしばらく、フウカのもふもふを堪能した。


お読みいただけまして、ありがとうございました!

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