竜族の死骸? 欲しけりゃくれてやる! 行けぃ! そこに置いてきた!
竜族の死骸処理をしようと、えっこらえっこら運んでいたら、突如の謎の声。
「ねぇ〜ぇ〜? ワタシィ〜聞いてるんだけどぉ〜? 無視ってヒドくなぁ〜い?」
声のする方を振り向けば……
バッサバッサといった感じで羽ばたく鳥。デカい。
あと、なんか……派手めな色だな。
赤ベースだが、オレンジに、黄に、紫に、青に、緑に……いや、忙しいなオイ。なんて色してんだ。
だが、アクションも派手に羽ばたいてはいるが、一切音がしない。ステルス機かよ。なら見た目も大人しくあれよ……。
「神鳥かえ。」
どうやらフウカは知ってるらしい。
「あらぁ〜。そういうアナタは神狐ちゃんかしらぁ〜?」
だが、知り合いという感じでもなさそうだ。
「そうぞえ。」
「それでぇ〜? えっと〜、角の娘は鬼神ちゃんかしらぁ〜?」
「……そう、ですね。」
「真ん中の可愛い子はぁ〜? 見かけない子ねぇ〜?」
「……オレ?」
「そうよォ〜。他にいないでしょ〜?」
いやぁ……可愛いって……
まぁ、見た目はそうか。子供だもんなー。
「つーかさ、オレたちに何か用なのか?」
「あらぁ~ん! この子、冷たいわッ! 冷たいッ! ぶりざ~~~どっ! ワタシっ! かなしぃ~わぁ~ン!」
いやぁ、何このテンション……?! しょ、初対面だよね?!
ちょ、ちょっとウザい系が過ぎないか?!
「……神鳥様。私のご主人様が困惑されておいでです。……ご用件を。さもなくば……」
オレの横からものすごーく冷たい空気が発せられた気がした。
ここ、火の星、めちゃくちゃ熱い……はずなのに! アマネがっ! 殺る気満々だ!?
「あらぁ~ん! 鬼神ちゃんまでっ! ぶりざ~~~どっ! 冷たいわぁ~ん! 極寒よぉ~ん!」
あ、やばい。アマネが黒極に手を掛けておる!
「あ、あれだ! オレたちはな?! ほら、これ、捨てにきた! 竜族! 死体!」
「レイ殿。何故カタコトかえ。」
うっさい! オレだってたまには焦ることはある! アマネが怖いんだっ!
「あらぁん? やぁっぱり、竜族じゃないの~ん。でぇ? なぁんで死んじゃってるのぉん?」
「いや、オレとアマネ……この鬼神とで倒したんだ。」
「…………は? はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ?!」
突然、神鳥は顎が外れるんじゃないかってくらい口を開け、目が飛び出るんじゃないかってくらい見開いていた。
「……え、いや……なに? なんでそんな驚いて――」
「お~ど~ろ~く~に決まってんでしょうがぁ~~~!! 竜族なんて、普通は倒せるようなもんじゃ~なぁ~いのよう! そ~んなことが出来るんならぁ~ワタシがとっくに殺ってるわよ~う!」
間延びした感じの口調ではあるが、ちょっとムキになってるのか、ちょっと早くなったぞ?
地面にいたら地団駄踏んでんじゃないかって勢いだな。
ふーむ。
やっぱ、竜族って普通に倒せるモンじゃないのか。
まぁ、あのタフネスはおかしいよな、明らかにさ。
言われてみれば、なんで倒せたんだ……?
「あ! たぶん、あれだ! アマネは鬼神だけど龍神だからだ!」
竜族vs龍神、なら勝ってもまぁ……普通だろ! 多分!
「……へ? ちょっと……どういうことかしらぁん?」
おお? 神鳥、ピクピクしてんな? 理解の許容範囲超えてる的なやつか?
「ご主人様より戴きし、闇御津羽天弥媛神という名を冠しましたゆえ、私はそのような存在でございます。」
「ひゃぼふぁ~~~~?!」
え? 壊れた?! 奇声上げてんぞ?! マジで何こいつ?!
「ちょちょちょちょっとぉん! ほんと、かわい子ちゃん、何者なのぉん?!」
「あー、オレはレイリィ。レイリィ・セトリィアス・ミデニスティース。ソールフレイヤのニルヴァだ。」
「きゅん!」
きゅん? 変な鳴き声だなぁ、この鳥。カラフル過ぎて目が痛いし……
そういえば、キジって食ったことないけどさ、美味いらしいよな。
コイツは……あんまり美味そうじゃないなぁ。
「あ、あ、あ、あ、そうだわぁ~ん。ワ・タ・シ・がソレ、捨ててきてあげるからぁん、もうすこ~しお話しましょ~? レイリィきゅ~ん?」
うわ。結構やだぞ。どうする……
チラッとフウカとアマネとを、交互に目線を合わせると……
2人ともこくりと小さく頷いた。
よし! いける!
「いやぁ~。捨ててきてくれんのは、すげーありがたいなー。これ、遠くのふかーいところに沈めないとだしさぁー。ちょーっと大変だなーって思ってたとこだったわー。はははー。」
「あらぁん、あらぁん。ワタシにぃ~おまかせあれよ~ん!」
と、いうと、神鳥は竜族の死骸を引っ掴んで空高く昇っていった。
今だ!
再びオレは、フウカとアマネにアイコンタクト!
3人ダッシュで転移石! さっさと郷に帰還した。
――――――
――――
――
素早い連携で転移石を使い、郷に帰還したオレたち。
ああ、注連縄岩、和風の風景……
ここまで来たら安心安全だ!
「あー、びっくりした。何なのアレ。」
「ふーむ。こなたも話にくらいしか聞いておらぬえ。」
「……私も、実物をお見掛けしたのは初めてでして。」
そうなのか。
てか、何で火の星にいたんだ? 何か火の星に用事でもあったんだろうか。
「アレ、なんであそこにいたんだろな。」
「ああ、おそらくは、神鳥の特徴故であろうえ。」
「特徴?」
「神鳥には、死の概念が無いといわれておるぞえ。死すると、炎より再生する……というようにいわれておるえ。」
おおん? ふぇにーっくすうぃーんぐ? 冥土いかないのかよ。いいんだか悪いんだか……だなぁ。
「ま、なんにせよ、上手く撒けてよかったぜ。」
「ふふ。レイ殿にも苦手があったかえ。」
いやいやいや? オレはわりと苦手だらけ……というか弱点だらけだぞ?
たとえば今お前が向けてきてるヤバイ笑顔とかな!
「おお、そうであった。レイ殿に頼みがあるのえ。」
「あー、どーせアレだろ? グエンさんにもらった薙刀か何かの名付けだろ?」
「ふふ。察しがよきことえの」
いやー? 流石にわかるよ、あの感じなら誰だってさ?
「では、神狐の間へまいろうかえ。」
という事らしいから、歩きながらちょっと候補を考えるかねぇ……。
お読みいただけまして、ありがとうございました!
今回のお話はいかがでしたか?
並行連載作品がある都合上、不定期連載となっている現状です。ぜひページ左上にございますブックマーク機能をご活用ください!
また、連載のモチベーション維持向上に直結いたしますので、すぐ下にあります☆☆☆☆☆や、リアクションもお願いいたします!
ご意見ご要望もお待ちしておりますので、お気軽にご感想コメントをいただけますと幸いです!




