1、テヘペロ
僕の名前は大野隼人。
年齢は86歳だ。
ただいま妻、子供、孫に囲まれてお別れの挨拶をされている。
・・・・・お経と共に。
つまり僕は死んだ、ということだな。
(ふむ、人間が死んだあとでもしばらくのあいだは耳が聞こえるというのは本当なのだな)
と思いつつ、自分が死んだ時であろうタイミングで
見えるようになった目の前の文字を見つめる
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『転生しますか?』
YES/NO.
残り2分18秒
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残り時間が0秒になるころに火葬されると聞いた。
女神と名乗る者から。
さらに、転生が出来るのは1000年に1度に起きるイベントで
転生を選ぶとファンタジーな世界に生まれ変わるらしい。
『もー時間ありませんよー?はやくしないとYESを勝手に選んじゃいますよー?』
(またあなたですか)
『あなたではありませんよー!女神スレイプニルですー、ニルちゃんって呼んでください☆ミ』
(そもそもなぜ僕なのでしょうか)
転生後のファンタジーな世界には魔法やスキルがあり、
エルフ、ドワーフのような様々な種族いるらしいが、
その世界に特別な力を持った状態で人間に生まれ変わると言われてはいる。
『そんな些細なこと忘れました!!転生しましょうよー、私が変わりにえらびましょうかー?』
(僕にとっては些細なことではないですよ、世界人口何人いると思ってるんでs)
ポチッ
(あっ)
『いっ?』
(うぅ・・・、意識が・・・)
YESが選ばれたような気がした。
『テヘッ』みたいな、やっちゃった☆ミみたいな声が聞こえたような気がする中、
意識を失った。
死んでるのに、意識を失うというのも変だが。
『あちゃー、女神の私が選択するなんて今まで誰もしてないんじゃ?!テヘっ』
ニルちゃんこと女神さんは我慢できずにYESを選択したのであった。
もちろん善意で。