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今日も楽しいお昼の時間です。
「なぜアードル殿下がこちらにいらっしゃるのですか、殿下の教室は隣の建物のはずでわ?」
「たまにはよいではないか。」
なにがたまで、なにがよいのかわかりませんが気にしません。わからないときはこの呪文です。
「左様でございますか。」
殿下と私は並んで中庭に向かいます。
はて、前方に2号と見知らぬ令嬢がいます。ちょっと険悪な感じです。痴情のもつれか・・
「(がんばれ見知らぬご令嬢、負けるなファイト)」と心の中で応援します。
あ、駄目だった。さすが腹黒2号です。ご令嬢は涙目で退散していきます。
2号がこちらに気付いたようです。
「アードル殿下、お恥ずかしいところをお見せしました。」
「なかなか美しいご令嬢だったが、どなたかな?」
「妹にございます。」
似てない、腹黒の妹様はちっちゃくて可愛らしいご令嬢でした、腹違いかそれとも養女か、絶対に血が繋がっていないだろう。ま、偏見だけどね。
それと、殿下はああいうのが好みなのか、2号の妹様に興味がおありのようです。
その日の昼食は、なぜかおいしくありませんでした。
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「・・帝国の動向は・・」「・・松平王国との同盟・・」「・・ここは強硬策で・・」
あ、またですね。今回は更に面倒くささが倍増しています・・
「たまごサンド最高です。」
「「「・・・」」」
「そなたもたまには意見を述べたらどうなのだ。マリーンドロス」
「まあ、殿方のお話は難しくってよくわかりませんの。」
「マリーンドロス嬢は、単に聞いていなかっただけですよね。」
「まあ、3号・・・テラサルド様、そのようなことはございませんわ、たしか松平王国に強硬策で・・・経済封鎖でしたっけ。」
「なぜそうなる!・・・帝国からの圧力に対抗するために、わが国とイースガルド王国との同盟に松平王国を引き込めないかと話していたのだ。それがなぜ経済封鎖などという事になったのだ。」
「そうでしたの、これは失礼いたしましたわ。」
「で、そなたの意見を聞こうか。」
「では、我が国からの塩の支援とイースガルド王国第3王女様と松平王国第4王子様の婚約でどうでしょうか?」
「ちょっと待て、なぜそうなる!」
久しぶりに真面目に考えたのに怒られてしまった、どうしてこうなった。
「松平王国は近年岩塩の採掘量が減少してお困りのようですし、留学してきている第3王女様は松平王国の第4王子様に熱いまなざしを送っておられますわ。」
「そなた何故そのようなことを知っておるのか?」
「商売上の秘密にございます殿下」
面倒なので小首をかしげて可愛らしくごまかしました。
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私たちは進級して2年生になりました。
「・・父上からの口添え・・」「・・工作は順調・・」「・・ここはガーンと強硬策で・・」
おい、3号いつもお前は強硬策しかないのか・・大丈夫か?
しかし、こいつら仕事が早いすぎ、殿下は塩の件で外交官と交渉中で、原黒は第3王女様が卒業して帰国する前に交渉して了解を取り、今は現在松平王国と交渉中だ。
訂正します、3号はただのお茶くみと賑やかし要員です。
「順調ですわね。」
「そうだな、あとは資金の調達に少し手間取っているくらいだ。」
「おいくらですか?」
お金のことならお手伝いできるので必要金額を殿下に確認しました。
「なかなか集まらないのだよ・・」
「わかりましたわ、そのくらいであればこちらで用意いたしますわ。」
「マリーンドロス侯爵の了承もとらずに決めて良い事でもなかろう。」
「いえ、わたくしの商会からお金は用意いたしますので問題ございませんわ。利息はトイチでけっこうですわよ。」
「・・トイチとはなんだ。」
「十日で一割の利息でございます。」
「まて、高すぎだ、王国法の利息上限を超えているし違法だぞ!」
「冗談でございます。」
「「「・・・」」」
「お金は差し上げますので、代わりに松平王国との交易時の税に関する特権をくださいませ。」
「陛下との協議が必要になる。即答できぬ。」
「当然でございます。詳細は後日改めて協議いたしましょう。」
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アデーレ様からお手紙が来ました。
松平王国の第4王子松平実時様とご婚約が成立したそうです。
内容は・・ピンク色のお花畑です。
これは商機です。お返事のお手紙に色々な物の宣伝を織り交ぜておきます。
お昼になったのでウキウキ気分で中庭に向かいます。
同盟の件に目途がついたので、今日は難しい話ではなく楽しい話を殿下とするのです。
「・・兄上が父上を・・」「・・伯爵が怪しく・・」「・・ここは強硬策で暗殺・・」
なぜこうなった、そして3号よお前は本当に殿下の側近か?
ちぇ、今日は楽しくお話ししたかったのに・・