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授業中の思考

※授業中は先生の話を聞きましょう。


可愛い弟に存在を無視される不憫なルーク様は予鈴と共に名残惜しげに去り、私とノア様は授業の支度を始める。


歴史の授業。この科目の時間になると、ああ、私は好きな漫画の世界に転生したんだなあ、と実感する。生まれてから十六年と少し。慣れ過ぎて違和感を普段感じたりはしないけれど、歴史を学ぶ時にはそれを強く感じる。


私、シャルロッテ・ミア・デュアルには前世の記憶がある。二次元を愛す非リア充の女性の人生の記憶だ。


それはもはや私にとってオマケのようなものであると思っている。ひとつ、私を構成する中心部の柱になるものに影響してはいるけれど、物事の捉え方の基本になったりもするけれど、だからと言って前世の私を引きずり過ぎることはない。


たとえ今世の私の危険な未来を知る記憶があっても、強く動揺したりすることはしない。何故ならば、その今世の私に関する情報の元は少年漫画だからだ。友情、努力、勝利がお約束の少年漫画だからだ。つまりそのお約束を私が守る、もしくは私の敵となる相手のお約束をぶち壊す。そうすれば大丈夫ではないかと思う。大雑把に言えば。


前世の私の好きな漫画【コスモポリタン・ミレニアム】。その物語でのシャルロッテは悪役令嬢だった。見た目は可憐で可愛いけれど、それ以上に可愛い推しキャラだったノア・ルーカス・フォーサイス様(現推し王子)の婚約者で、控えめ故に陰キャな少女。


街中で不良に襲われるところを主人公に助けられて初登場。味方キャラかと思われたが、徐々にヒロインの天真爛漫な性格・人徳諸々に劣等感を抱く。そしてヒロインや少女モブたちに職業(クラス)のスキルを使って嫌がらせをし、憧れのノア様に婚約破棄をされ、完全に敵側に回る。最後はたしか割とあっさり倒される。


自らの危険に対して軽くはないかと誰かに言えば言われるかもしれない。しかし思い詰めると未だ先のことや未知の事なので年がら年中影を背負う暗いキノコを育てているのかと問いたくなる人間になりそうで、疲れそうだから深く考えることを放棄した。

何故かきっかけについては知らぬ間に回避済みであるから、後は未来の自分に丸投げしよう。


不思議なことに私とノア様は現時点で婚約をしていないし、なによりも漫画のシャルロッテと私にはそれより大きな違いがあるのだから、と。


私は完全に舐めてかかっていた。


「枕……硬い……」


そんな未来(もの)より美少年可愛い、と。教師の催眠術のような説明に机に頭が近付いて行き筆箱を無理矢理枕にして眠ったノア様を見て私はにやにやと口を緩ませた。

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