超絶熱血系男子・ブレイズ参上
マグニとともに近くの小屋に入った田天たち。
椅子に座ったところで、仕事の内容の説明が始まった。
「お前さんたちにはこのルビーンの種を畑に埋めていってほしい。コツとかはやりながら教える。
分かったか?」
うなずく一同。フレイラは足を組んで外を見ながら適当に返事をし、田天はずっとうつむいている。
「このルビーンの出来はワシの生活を左右する。だから厳しくいくぞ?」
「・・・・。」
ビビりまくる田天。先程の巨人の魔物と戦うほうがまだマシだとさえ思っている。
ガタッ!
小屋の屋根のところに何か落ちてきたのか、大きな音が室内に響いた。絶望でうつむく田天を除き全員が上を見上げる。
「い、今の何!?」
「・・・まったく、あやつは・・。」
マグニはその正体を知っているようだ。立ち上がり玄関のドアを開いて田天たちを手招きする。
「外に出なさい。お前さんたちの先輩を紹介しよう。」
小屋を出て屋根の上を見上げてみる。そこにいたのは・・
赤いつなぎ服に赤いマント、そして赤いハチマキを巻いた男が仁王立ちしていた。
男は現世での田天と同い年くらいの見た目をした人間。黒髪をなびかせながら田天たちを屋根の上から見下ろす。
「なんだぁこいつらは?」
「今日からお前の後輩として畑仕事をする者たちじゃ。仲良くな、ブレイズ。」
「ほー、なるほどねえ。」
ブレイズと呼ばれたその青年はパーティを一通り眺めて、田天のほうを向いたところで止まった。
今の田天は仕事へのプレッシャーやトラウマで絶望状態に陥っているため、目が若干死んでいる。それに気がついたブレイズ。
「お前、大丈夫か?」
「へ?・・・あ、はい・・。」
「・・言っておくが、俺もマグニさん同様甘くはない。
覚悟は、できてるんだろうな?」
ニヤリと笑うブレイズ。田天の心臓は謎の力により握りつぶされそうになっていた。
マグニはさっそく田天、マルク、フレイラ、サラ、アロマにカレア、そしてブレイズの七名にルビーンの種が詰まった袋を手渡した。そして畑の端に移動すると土に人差し指を突き刺した。
「よいか?こういう風に四センチくらいの穴を土に空ける。そして手元の種を埋める。これだけじゃ。」
「思ったよりも簡単ですね。」
「まぁ種を埋めるだけじゃからな。ただもたもたやるのはナシじゃぞ?さっさと埋めていってくれよ。
あ、あと魔力を使ってはならんからな。」
「な、なんで?魔力使った方が早く終わりそうだけど。」
「ルビーンの種は繊細でな。外部からの魔力によって変性してしまうのだ。
分かったな?一切の魔力の使用は禁止だぞ?」
こうして田天パーティの職場体験が始まった。