情報代
「・・ん?てことは・・・」
顎に指を当てながらサラが何かに気づいた。
「ルシフェル様の心は今、田天が元いた世界にある『本来の田天の体』に埋め込まれているということですか?」
たしかに田天の心とルシフェルの体がここにあるのだから、逆に田天の体にはルシフェルの心が埋め込まれていないとおかしい。
コーラを飲むのを中断しマグニは答えた。
「その可能性がでかいな。
今ルシフェルは、『田天として』頑張っているんだろうな。」
「・・・俺として・・。」
田天はいろいろと考えさせられた。もともと、今の田天の体がどうなっているのかについてはときどき考えていたので、その答えが今出たことによって少しだけ気が楽になった。
「向こうは向こうで頑張ってるのかな・・なんか申し訳ないけど。」
「気にすることはないぞ、お前だってその体で堕天使として頑張っているんだからな。
さて、ではやつらの居場所を教えよう。そもそもセブン・スペルズはいつも悪魔軍の本部にいるわけではない。それぞれが自分の城を持っていて基本的にはそこにいる。
まずはメリアーマの城だが・・」
こうしてマグニは親切にもメリアーマとテトラの城の場所を教えてくれた。どちらもここからかなり遠いが、彼らの本拠地が分かっただけでも大きい。
田天たちは深々とお礼を言うと、「お元気で」と言い残し帰ろうとした。
「ちょ、ちょっと待て待て!お前さんたち!」
あわててひき止めるマグニ。手を前に差し出している。
「情報代!お金を払ってないぞ!」
「は?金払わなきゃならないのか?」
「え、当たり前じゃろ?商売なんですけど。
こっちは情報売って生活してるんじゃ、「お元気で」で済ませてたまるかい。」
サラが財布をとり出し、しゃがみこんだ。
「では今の情報、おいくらでしょうか?」
マグニは紙に金額を書き、スッと差し出してきた。
そこにはすごい桁の金額が。
「え?高くないですか?」
「いやいや、こんなもんよ?まさか払えない?」
「払えるわけないだろこんな大金!!」
「あそう。ならしばらくワシのもとで働いてもらうかな。」
マグニは立ち上がるとフードをかぶり、田天やフレイラたちをかき分けて外へ出た。そして「ついてこい」と声をかけると、てくてくと歩き出した。
「よし、今のうちに帰ろうぜ。」
「さすが悪魔じゃな。残酷なことを言うもんじゃ。」
「あなたの金額のほうが残酷ですけどね。あ、そう言えば悪魔でしたか。」