元悪魔軍軍師・マグ二
田天たちは「情報屋」という看板が掲げてある店を見てまわる。
この街の情報屋というのは面白いことに、“何の“情報を取り扱っているか一目で分かるようになっている。
例えば今マルクの目線の先には『動物』に関する情報屋が建っている。というのも、看板の「情報屋」の文字の横に『動物』と書いてあるのだ。
それによって、自分が今知りたい情報にいち早く、的確にたどり着くことができるわけである。
「おい、あれ見ろよ!」
フレイラが看板を一つ指差した。見てみると看板には
『情報屋 ~悪魔について~』
と書かれてある。ドンピシャ過ぎてちょっと笑ってしまった一同。
さっそくその店に入ることに。
中には灰色のローブを着た老人が、あぐらをかいて座っていた。部屋の真ん中でタバコを吸いながら、彼はなにかの本を読んでいる。田天らの入店に気がついていない様子だ。
「あの~・・」
「ん?あぁいらっしゃい。久々のお客だね。」
老人は田天たちを見る前にタバコの火を灰皿に押しつけて消し、ひょいと顔を上げた。
老人の目が見開いた。彼の瞳には今、田天だけが映っている。
「ルシフェル・・か?」
「え?あ、いや・・」
「なんだね?もしやワシを始末しに来たのか?だとしたら逃げも隠れもせんからやるがよい。」
老人はなぜかまたタバコをとりだし、火をつけ始めた。どうやら田天を客とは思っていないらしい。
「じいさん、こいつはルシフェルじゃないぞ。田天っていう人間なんだ。」
「お前さんは・・悪魔か。うーむ、ワシが知らん悪魔ということは・・下級悪魔か。」
「殴りつぶすぞジジイ。」
とりあえず田天とサラの説明で、今彼らがおかれている状況を老人にわかってもらうことにした。
老人はずっと黙って話を聞いており、田天とルシフェルが別人であることが分かると再びタバコの火を消す。
「・・なるほどな。なかなか面白いことになっておるようじゃの。」
「ところでじいさん、あんたは何者だ?悪魔だろ?あんたも。」
「えっ!?」
驚く田天。その横でフレイラは笑みを浮かべて老人を見ている。老人もフフッと軽く笑うと、頭を覆っていたフードをとる。
彼の頭には黒い角が二本、うねるように生えていた。顔をよく見るとたしかに悪魔のような気がしなくもない。
「いかにもワシは悪魔じゃ。さすがに悪魔には悪魔が分かるというわけか。」
「ああ。で、質問に答えてもらおうか。あんたは誰なんだ?」
「ワシは“元“悪魔軍軍師・マグニだ。聞いたことはあるかい?フレイラよ。」
「マグニ・・!あんたがそうなのか・・?」
えらく驚いた表情を見せるフレイラ。他のメンバーは完全に置いていかれている。