リーダー決定
「そうそう!私たちもついてるし、心配いらないわ。」
カレアも元気に笑いかける。
「・・・・。」
みんなの優しさに触れ、田天は固まってしまった。
そして今一度考え直した。己のこれからについて。
(そうだよな、この旅はルシフェルの体を持つ俺のための旅でもあるんだ。ここで離脱したら・・それこそクソヤロウだ。
そしてこれから成長していくんだ・・この世界でももちろん、もとの世界でもやっていけるレベルまで・・・!
他の誰も出来ない超貴重な体験をしているんだ。こんな機会、普通はありえないよ。
俺は選ばれたんだ。そして、試されているんだ・・これからの未来を歩むことができるかどうか、「この世界」に試されているんだ!)
まっすぐと仲間の方を見つめる田天。その目には少し涙が浮かんでいたが、それとは別の輝きが瞳の奥からたしかに放たれている。
それをしっかりと確認した他のメンバーはとても満足そうだ。
「だが無理はするなよ?一歩ずつ、一歩ずつ進めばいいんだからな。」
ここに来てマルクが登場。安心しきった表情でゆっくりとこちらに歩いてきている。
「今ごろ来たのですか、マルク。」
「ルシフェル様の魔力を追っていたんだがな、髪の毛とか羽とかしか見つからず手こずっていたよ。」
「逆にすごいけど・・・。」
そんなやりとりをしながら、マルクは田天の目の前にやってきた。
自分の倍以上大きな田天を、彼は親のような雰囲気で見上げた。
そして、
「手を胸に当ててみろ、田天。」
「え?・・・こう?」
田天はマルクに言われた通りに、右手を左胸に当てた。
彼の鼓動はいつもと同じペースであり、もうすっかり落ち着いていた。
「このゲーム、たしか田天にタッチした者がリーダーだったよな。
だとしたら田天、今からお前がリーダーだ。」
マルクの言葉にその場の全員が目を丸くし頭に疑問符を浮かべた。
しかしすぐにその意味が分かった。
田天は自身の右手で、自身に「タッチ」している。