魔法 対 守護術
「・・おや?」
猛スピードで移動するカレアの目に飛び込んできたのは、同じく超速で動きまわるサラの姿であった。
凄い形相で飛行する彼女を見てカレアは嫌な予感がした。
(まずいわ・・
私の魔力探知によれば田天がいるのはおそらくこのあたり。
あんなスピードで探されたら先に見つけられてしまう・・。)
「・・やむをえない。ここはサラにはおとなしくしててもらおう。
地獄の業火よ焼き尽くせ・・『ボルケーン』!!」
カレアから放たれた火球は動きまわるサラを的確にとらえた。
魔力を使った「軌道修正」により、ボルケーンを操りサラにヒットさせたのだ。
大きな爆発が起り、爆音が廃虚中に響き渡る。
「な、なに!?」
地下にいる田天の耳にもその音は届いていた。
「・・・。」
爆発した地点を見つめるカレア。汗が頬を伝う。
火が散らばり、中からサラが出てきた。目を光らせ口から煙を出しながらカレアを見つめるサラの姿は天使とは呼びがたかった。
「あなたですか、カレア・・!」
「・・神よ裁きを与えたまえ・・「ボルテクス』!!」
サラの頭上から雷撃が降り注ぐ。しかしサラは左手をその方向に上げて瞬時に応戦。
「守護術・第51番 “神鳴の壺“!」
彼女の左手に、光の壺のようなものが出現した。そしてやってくるボルテクスにその壺の口を向ける。
ババババと音をたてながら壺に回収されていくボルテクス。
カレアがあっけにとられていると、サラはその壺の取っ手の部分を強く握りしめる。
「このゲーム、あなただけには負けられません・・カレア!!」
赤く光らせた目をカレアに向けながら、全力で壺を投げつけたサラ。
壺は勢いよくカレアのほうに飛んでいくが、カレアも危険を察知し、魔力をブーストに使ってその場から逃げ出した。
「遅いですよ。」
サラがそう言い終わると同時に、壺は光を放って爆発した。
壺が粉々に砕けると、バチバチと電気を撒き散らしながらその場に衝撃波が放たれた。
その規模はかなり広く、いくつもの建物が塵となった。
「・・・
ほう、あれを避けましたか。」
ニヤリと笑うサラの背後には、両手を前にかざすカレアの姿が。
「強風の餌食となれ・・『ハリケーナ』!!」
カレアの両手から出現したのは風の渦。鋭く勢いのある風の刃がとぐろを形成しながらサラを襲う。
その予想を超えた速さにサラは避けきれずにダメージを負ってしまう。
「くっ・・。」
「地獄の業火よ焼き尽くせ・・『ボルケーン』!」
サラが怯んだ一瞬をつき、カレアは魔力を込めた渾身の一撃をくり出した。
おそらく常人なら食らえば一撃で灰となるほどのすさまじい攻撃。