それぞれの戦い方
フレイラもカレアと同じく街をひたすら見て回っていた。
しかしカレアと違うのはそのスピード。スタート時こそ速かった彼女だったが、今はゆっくりと歩きながら廃虚を見てまわっている。
(こんなに広いんだ、急いでもあれだ。
リーダーの素質があれば、ゆっくりでも見つかるよな。)
デーンと構えるフレイラ。全く焦りを感じさせない。
「しかし凄いな、どこもかしこもボロボロ。いったいこの街で何があったんだ?」
腕を組ながらてくてくと探索を続ける。
「どこかな~・・?」
アロマもまた歩いて田天を探す。もっとも彼女はリーダーになりたいとは思っていない。
ただ、純粋にこのゲームをプレイヤーとして楽しんでいるのだ。
(いつも戦いばかりのあの人たちとこうやってゲームをしてみたかったんだよね。嬉しい・・!
でももし私が見つけたらどうしよう。)
マルクは建物の影で立ち止まっていた。
そしてサラと同じように静かに、心を落ち着かせていた。
彼は右手を地につけるとさらに神経を集中させた。
(・・この地面を伝ってやってくるはずだ。
田天のなかに流れる、ルシフェル様の魔力が!)
マルクはルシフェルによる微弱な魔力の波を感じようとしていたのだ。田天から発せられるそれをたよりに、彼自信を探しだすという戦法。
(なかなか感じられないな・・ん?
見つけたぞ!)
マルクは正面を向いた。どうやらその方向に田天がいるらしい。
(微量だがたしかにこれはルシフェル様の魔力。間違いなく。
リーダーの座はもらったよ。)
魔力源に向かって進んでいくマルク。
サラがある地点までたどり着いた。
崩れた建物が並ぶその一帯に目星をつけたのだ。
「このへんです。このへんのどこかに田天がいるはず・・!」
キョロキョロとあたりを見渡す。他の参加者は見当たらない。
「今のうちに片っ端から探しましょう。
カレアと違ってここにだけ絞って動き回れば見つけるのは時間の問題。
私の勝ちです。」
さっそく建物の中を探索にかかる。
「うーん、いないなぁ。」
カレアはスピードを変えずに動き回っていた。行動範囲は一番広い彼女だが、それでも田天を見つけられない。
「もしかして見落としたのかなぁ。
田天が力を解放してくれたら、すぐにでも見つけられるのに・・。
ん?」
彼女の動きが止まった。疲れたわけではなく、何かに気づいたのだ。
真顔でその場に立つ。そして・・