気配を感じろ
ゲームが始まって10分後。
田天は崩れかけた建物の一つに入った。やはり生き物の気配などなく、やけに涼しい空間。
静まり返ったその室内に、田天の足音がカツカツと響く。
(さて・・そろそろ隠れる場所見つけないと・・ん?)
床の一部に違和感を覚えた田天。一部のスペースだけ、歩いた時の音がおかしい。
(・・・お)
調べてみるとその床は可動式で、動かしてみると階段が出現した。
「凄い・・まるでRPGのゲームみたいだ。」
階段を下りていく。地下には光る石のようなものがいたるところに置いてあり、それが明かりがわりになっているため暗くはない。
しかし途中で足を止めてしまう。
(奥には・・何があるんだ?
閉じ込められない・・・よね?)
ここに来て小心者が前に出てきた。ルシフェルの力を使えば一瞬で地上に繋がる一本道を作り出すことはできるが、好きなときにルシフェルの力を解放できるわけではない。
(・・このへんで待つか)
地下の一室で座り込んだ。そして光る石がちりばめられたその部屋で、彼はみんなに見つかるまで過ごすことに決めた。
「誰が最初に来るだろう・・ここ見つけ出したら凄いけど」
そのころ地上の広場ではフレイラとカレアが準備体操を行っていた。サラは手元の時計を確認する。
「10分経ちましたね。そろそろいきましょうか。」
「よーし、待っててね田天。私が必ず!見つけ出してみせるから!」
カレアがヤル気満々で魔力を解放し始めた。そして超速で広場から出ていった。
「あっ!あいつ・・!」
それを見たフレイラも遅れてスタート。その後、残ったマルク、サラ、アロマもバラバラに散らばりながら田天探しを開始した。
「どこ・・どこ・・・?」
目についた建物の中をひたすら飛んで回るカレア。できるだけ速くできるだけ多くの場所を見て回る。これが彼女のとった戦法だ。
(行動範囲を広げればそのぶん見つけられる確率は上がる・・
単純だけどこれが最善の策!)
「さぁて・・・」
サラが街の上空に浮かんでいる。彼女は目を閉じ、神経を集中させていた。
(・・・・・)
カレアとは逆に、全く移動する素振りが見えない。ただひたすらその場で、田天の「気配」を探す。
そして、
「・・・とらえました。」
パッと右下を見下ろす。彼女の目線の先には少し崩れたものからほぼ崩壊しているものなど、様々な建物が並んでいる。
「田天、今行きますからね。
私がリーダーに相応しい、そして私が・・田天に・・・!」
バシュっと急降下していくサラ。彼女の目の光はキラキラと希望に満ちていた。