決めてしまおう
「なにを言ってるの!?
リーダーは私でしょ!!」
遠くから大声で発言するのは新入りのカレア。
「いやいやお前はないだろ」という顔でマルク、フレイラ、サラが彼女を見る。
「カレアさんは・・私より後に入って来たよ・・ね?」
さすがにアロマもカレアリーダー案は同意ができなかった。しかしカレアは引き下がらない。
「私は世界最強になる予定の魔法使い。そんな私が一メンバーなんておかしいでしょ!?」
「うん、あんたの理論が一番おかしいよ。」
「それにもうひとつ。このパーティで今一番強いのは田天。ただ彼は不安定で波がある。
そんな彼を思いやり、なおかつ優れたサポートができればこのパーティをさらに強いものにできる。
それができる者、それは私よ!!」
ドン!という擬音が聞こえてきそうなほど強くいい放つカレア。
しかし誰も同意するわけもなく。
「いや言いたいことは分かるが、なんでそれがお前なんだよ。
俺だって思いやりもサポートもやれるぞ。」
マルクがはぁとため息をつきながらつぶやく。
サラも引き下がらない。
「私が!私こそが田天もルシフェル様も両方とも最高に思いやることができる!
なにより私は天使!思いやりの気持ちならパーティ一!」
いつにもなく力説する彼女に、田天とアロマは少し引いていた。
「・・じゃあこうしましょう!ゲームでリーダーを決めちゃうことにしましょう!」
手をパンと叩き提案するアロマに、その場の誰もが「は?」となる。
「なんでこんな大事なことをゲームで決めるんだよ?私でいいだろリーダーは。」
めんどくさそうに話すフレイラに、アロマはニッコリと笑ってみせた。
「まあまあ。考えてみたら私たちって戦いばっかりでこういう機会ってあんまりなかったよね?
親睦を深めるためにもゲーム的なものって最適だと思うんだけど・・どうかな?」
彼女の言葉に全員が互いの顔を見合う。そして、
「・・悪くないな。」
「ぜひやりましょう。」
賛同が得られたところでアロマはゲームの説明を始める。
「じゃあやりましょう。
ゲーム内容は私が決めたものだから、異論があればどしどし受け付けるね。
まずこの廃虚のどこかに田天に隠れてもらいます。
残った五名は隠れた田天を見つけに行き、一番早く田天にタッチした人が勝ち。その人がリーダーに決定、というゲームです。
この先の冒険で田天が何者かに捕まったりするかもしれません。
そんなとき彼の気配を感じ、迅速に見つけて奪還できる者、その者こそがリーダーに相応しいと私は思う。
だからこのゲームはゲームでありながらそういった適正を見る意味ではかなり大切な勝負になるはず。」
「面白いじゃん。アロマ、なかなかいいゲーム思いついたな。」
「燃えるねぇ。さっそくやろう!」
アロマ提案のゲームに異論がない様子のメンバーたち。
それをなんとも言えない表情で眺めている田天であった。
(普通にかくれんぼじゃん。小学校以来だよ。
てか、俺はリーダーにはなれないのね。いやべつにいいけどさ。)