成長の証明
先程まで敵であったバイスの言葉に田天はうつむきながら耳を傾ける。
その場の誰もが、彼の言葉に驚いた。それはメリアーマも同様で。
「ほう、バイス・・。」
バイスはさらに続ける。
「田天、実力が出せないまま終わるのなんてもったいないぞ。せっかくお前は強いんだ、自信をもて。
自分じゃあいつにはかなわない、あいつが怖いとか思ってるからお前は弱いんだ。
いいかよく聞けよ?たとえ世界最強の力を持っていてもな、怯えてなにもしなければ、そいつは“物“となんら変わらねぇ!ここにいる兵士どものほうが数倍マシだ!
見せてみろよ、俺のドラゴンたちを消したときのお前の姿を!!
そして発揮するんだ・・お前の、本当の力を・・!!」
声のほうをチラッと見る田天。そこには目に光を宿したバイスの姿があった。
自分に負け、ドラゴンたちまで失い、捕まってこれからどうなるか分からない男のものとは思えない熱く強い眼。
(思えば・・バイスさんは城にいたときからいつも強気だった。自分は負けないっていう自信に溢れていた。
俺は・・ルシフェルの力を得たのに・・こんな・・・
いや、今の俺ならいける。あの悪魔を葬り去ることができる!
自信を持て田天、今の俺は・・堕天使ルシフェルなんだ!!!)
田天の周囲が光始めた。青い光はどんどんと輝きを増し、気づけば天まで届くほどの光の塔を形成していた。
眼を奪われる一同。ベリアはここでフレイラの言葉を信じ始めた。
(これが田天・・なるほど、フレイラがあそこまで自信を持つわけだ・・ん?)
横を見るとメリアーマが目を見開いて下を見ていた。光の中にたしかにいる田天を、どんな感情かは分からないが真剣に見つめるメリアーマ。こんな彼の姿はベリアは見たことがなかった。
(メリアーマ様・・)
光が全て天に上がるとそこにはほとばしる魔力を携えた堕天使の姿があった。
落ち着いた冷静な表情。しかしその眼のなかには熱意のこもった紅い光が宿っている。
サラ、バイスは「待ってました」と言わんばかりの笑みを浮かべ、カレアも憧れを抱きながらその姿を見つめる。
「・・良い。」
ボソッと呟いたメリアーマの言葉をベリアは聞き逃さなかった。
メリアーマの顔は喜びに満ちていた。血走った目を見開き、にやっと笑う口が自然と開いている。
「面白いではないか!!田天!お前の力を試してやろう!
“ 魔神衝 “!!!」
メリアーマの左手に一瞬で集う三色の光たち。その全てがベリアやフレイラのそれとは桁違いの輝きを放っている。
それを地上の田天にめがけて降り下ろした。そのスピードは恐ろしく速く。
「“ 光刃 “・・!!!」