表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目覚めたら堕天使ルシフェル  作者: キメラテック
堕天使・ルシフェルの誕生
7/147

ルシフェルとゆかいな仲間たち

「なにをしょげてるんだよ。お前の話が本当なら、それのどこが絶望なんだ?どこに嫌な要素がある?」

岩場からフライラが立ち上がり、田天のほうに歩いてくる。

「仕事先でミスするからなんだ?怒られるからどうした?仕事から逃げたからなんだというのだ?

そんなことで悩んでたら、お前これから生きていけないぞ。」

「・・・。」

「そんな経験、私は腐るほどしてきた。最も私の場合、殴られたり殺されそうになったこともあったな。」

笑いながらそう語るフレイラを前に、田天はまだ下を向いていた。


田天にも分かっていた。自分の悩みがとるに足らないものだということは。こんな程度のことじゃ、他の人はそこまで悩まないということは。

分かっていたが、仕方がなかった。田天はそういう性格だから。たいしたことないことでも不安になり絶望し、自分をとことん追い込んでしまう。そういう性格だから。


「フレイラの言うとおりだな。田天、お前は小さなことで悩みすぎだ。精神が弱すぎるぞ?」

魔物もフレイラに同意し、田天に近づいた。魔物は田天の膝くらいの身長であったため、田天は下を向いたまま魔物の方を見る。

「お前はまだ若い。しかも全然恵まれた環境にいる。

やりなおせるぞ。戻っても、十分やっていける。」

「でも・・・。」



「しょうがない。つきあってやるかー。」

手を頭の後ろに組み、空を見上げながらフレイラはそう言った。田天はやっと顔を上げる。

「へ?」

「お前の精神を鍛える!そしてお前を元の世界に戻す!そのために協力してやろうって言ったんだ。」

「え・・でもあなた悪魔軍じゃ・・・」

「辞めてるんだよ、実は。あまりに私が作戦に従わないから、クビになってしまってな。だから今はニートさ。」

「は、はぁ・・・。」

「そうと決まればさっそく出発だな。冒険の始まりだぁ!」

「ちょ、ちょっと待ってくだ・・」

「その冒険、俺も手伝おう。」

魔物が田天の膝をトントンと叩く。


「なんだかお前がかわいそうに思えてきたしな。

そもそも俺も元のルシフェル様に帰ってきてもらわないと困るし、俺もその冒険は参加せざるを得ないだろう。」

「いやでも、冒険って言っても具体的になにをどうするんです?」

「とりあえずいろんなとこで情報集めて、セブンスペルズに勝てるように戦いを重ねる。で、やつらを倒して戻る方法を聞き出す。以上。」

きっぱり言い放つフレイラに、漫画のような大粒の汗を流す田天。

「戦いって・・まさか私はたたかいませんよねぇ・・。」

ハハハと苦笑いをする田天の方をフレイラと魔物が振り向き、同時に喋った。

「「いや、お前が戦うんだよ」」

「ヒエッ・・」


「いいか田天。お前は本来さっきの私の一撃で死んでいたはずなんだ。それが奇跡的に能力を発動させ、奇跡的に生き延びた。

つまりお前はまだ生きるべき人間だということだ。」

「生きるべき・・。」

「これからどんなやつが襲い掛かってくるかわからない。そもそもお前をここに送ってきたやつらとも戦わなきゃならない。

今のままじゃ、いつか死ぬぞ。」

厳しく言い放つフライラにうんうんとうなずく魔物と、ごくりとつばを飲み込む田天であった。


「しかもラッキーなことにお前の体は今、あのルシフェルのものだ。使いこなせば最強の力をバンバン放出できる。」

「そうだぞ田天!ルシフェル様の超高位魔法をタダで使えるなんて羨ましい!その体、無駄にするなよ!」

「は、はぁ・・。」


「さっきの私の斬撃で”弱い田天”はいったん死んだものと思え。そしてこれからは”ルシフェル”として生きていくんだ。意志が強く、何事にも屈しない最強の天使として・・。」

「何事にも・・屈しない・・・?」

「ああ。」

田天は下を向き、数秒何かを考え込む。


そして再び、顔をゆっくりとあげる。

「わかりました。頑張ってみます。

このままじゃダメなことは、自分でもわかっていますから。」

「よーし決まりだな。

感謝しろよ?この最強悪魔フレイラ様が同行してやるんだからな。」

ニシシと笑うフレイラ。


「俺は戦闘では役に立たんだろうが、いろいろ助言をしてやれると思う。ルシフェル様と200年も一緒にいるからな。


ゴブリン族の”マルク”だ。よろしくな。田天。」

田天はこの状況下だが少し安堵していた。

(こんなに人の優しさに触れたのはいつ以来だろう・・・)


「よろしくお願いします!

田天改め・・堕天使・ルシフェル様だぁぁはっはっはぁ!!

さぁ始めよう、ルシフェルとゆかいな仲間たちによる復讐劇を!!」

「調子に乗るな。」

フレイラとマルクに殴られ、地面に埋まる田天。

「さっきルシフェルとして生きろって・・・言ったじゃん・・・」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ