堕天使vs竜使いの魔法使い
「誰かと思ったが田天、お前来やがったのか。」
「・・ああ。バイス、君がこの騒動の元凶なんだね。」
アムール兵やカレアの前に立ち、上を見上げて喋る田天。その目線の先には今回の敵であるバイスが、竜に乗って彼らを見下ろしていた。
もちろんそのまわりには何十もの竜が飛行している。
「今の攻撃をどうやって消したかは分からんが、やめておけ。お前じゃこの戦力差をひっくり返せねーよ。」
ニヤリと笑うバイス。そんな彼を見て田天のほうも笑いはじめた。
「なにがおかしい?田天。」
「まだ分からないのか?今、どちらの戦力が上をいっているのか。」
「いやいや、分かるけど?
この竜の大群に対してお前らは非力なゴミの集まり。誰が見てもこちらが上だろう。
てか、お前ごとき、竜一匹にも勝てるかあやしいぞ?やれ。」
バイスは自分を乗せているドラゴンの背中をポンポンと刺激した。
するとそのドラゴンは口から炎の球を発射。ドラゴン特有の魔力を帯びたその火球は凄い速さで田天を襲う。
「仕方がないな。もう。」
田天は右腕に軽く魔力を集めると、構えをとった。そして、
「“光刃“」
光の刃を飛ばす。刃は火球を切り裂き消滅させると、一直線にバイスめがけて突き進む。
「なっ!!」
焦ったバイスはその場でさらに上空に飛んだ。魔力を使い自分だけ逃げたため、乗っていたドラゴンは光刃の餌食となり切り裂かれた。というより塵ひとつ残さず光刃により消滅してしまった。
「・・・。」
こめかみに汗を流すバイス。ふと下を見ると、攻撃を終えた田天がこちらを見ている。
「どうやら、ドラゴン一匹には勝てるみたいだが?」
ニヤッとバイスに笑いかける田天。その場にいた兵士やドラゴンたちは驚き固まっているのにたいし、カレアは輝いた瞳で彼を見つめていた。
(やはりこの人は、本物の強者・・!!)
「勝てない・・今ので分かった。俺たちではやつに勝てない・・。」
バイスはここで田天との戦力差を感じ、肩を落とした。しかし諦めたわけではなかった。
「くっくっく、
ドラゴンたちよ!!田天はもういい!!
アムールだ!このアムールの街を消し飛ばせぇ!!!」
バイスの一言で、ドラゴンたちはそれぞれ異なる方向を向いた。その全てが下のアムールを狙っており、そして魔力を溜め始めた。
「まずい!これじゃあいくら田天でも全ては止められない・・!」
焦るカレアに、アムール崩壊を覚悟する兵士たち。目に血を走らせ全てのドラゴンに攻撃の合図をおくるバイス。
「やれぇ!!!」
放たれたドラゴンたちの咆哮。街全体を狙ったその攻撃のなかたった一人、田天だけが冷静でいられた。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
ここ数日、思うように読者様を増やせず実力不足を感じております。
もしかしたらしばらく更新を止めるかもしれません。そうなったらごめんなさい。