悪魔たちの決着
フレイラの手から莫大な量の魔力が放たれた。三色の魔力によるその攻撃はベリアの魔神衝と似ているが、フレイラのこの攻撃はほとんどが金色の魔力で構成されていた。
これはすでにフレイラの使える魔力が尽きていたため、普段使われない奥底に眠る魔力、すなわち金色の魔力を解き放ったためであった。
(これがダメなら・・)
フレイラにとってこの魔神衝はすべての望みをかけた一撃であった。
(くっ・・この短時間、しかも見ただけで魔神衝を・・)
接近してくる魔神衝を見ながらベリアは苦しい表情を浮かべる。
しかしすぐさま足に魔力を集め、回避の体勢に移った。
(魔神衝を真似できたことは見事だが、魔力が足りないがゆえに速度が遅い・・これなら容易に避けられる!)
足を踏ん張り、フレイラ同様上空に避難する準備を整えるベリア。この状況でも冷静さを保ち焦らず動作に入った。
しかしここで誤算が起きた。踏ん張った瞬間にベリアがふらついたのだ。
彼はこの一連の作業の中、一瞬だけ頭が真っ白になった。それはフレイラのサタン・スタイルで受けたダメージが原因であった。
「しまっ・・・」
轟音が鳴り響く。
フレイラ魔神衝もまた壁や床を消滅させていた。しかし、残された床も見られ、その上にはベリアがいた。
どうやら彼も消滅していないみたいだ。しかしかなりのダメージを受けたのか、膝をついてうつむいている。かなりの出血も見られる。
それを見て、にやっと笑うフレイラ。
「・・まだ・・生きてやがる・・・のか・・・。」
そしてその場に倒れこむ。もう完全に動けない。魔力も使えない、戦闘不能な状態にまでいっていた。
そんな彼女を、ベリアがちらっと見る。彼も今にでも倒れそうなほど深刻なダメージを受けているが、フレイラと違ってまだぎりぎり立てるくらいの体力は残っていた。
「物や生命を消滅させるのは殺意を込めた・・紫色の魔力。この特殊な魔力は悪魔しか使えない・・
紫の魔力は、それを上回る紫の魔力を使えば打ち消すことができる・・だから俺はここに生きている・・
だが爆発した金色の魔力はもろに喰らってしまった・・正直かなり弱っている。
だが今度こそ・・今度こそはお前を殺して見せる、フレイラ・・!」
震えながら立ちあがり、フレイラのほうへ歩み寄るベリア。フレイラは意識すらなくなってしまっている。
「死ね。」
かすかな魔力を足先に集める。そして蹴りあげるために足を後ろにひいた。
ベリアの蹴りが放たれた。フレイラの頭部を狙った蹴りは、
謎のバリアにより防がれた。キーンと音がして足をはじかれたベリアは少しよろめいてしまう。
「誰だ・・誰の技だ・・?」
「私の技ですよ。」
白い羽根がベリアの目の前をよぎった。ふりかえるとそこには、見覚えのある天使が。
「天使サラ、フレイラにかわりあなたを始末します。」