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目覚めたら堕天使ルシフェル  作者: キメラテック
城を守れ
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詠唱

立ちあがりカレアに近寄っていくバイス。彼の体のまわりにはカレアと似た魔力が漂っている。攻撃型魔法使い特有の刺々しい魔力。先程のバイスの発言は嘘ではないようだ。

「本当に・・魔法使い・・。」

「ああ、嘘じゃねーぞ?しかも、お前よりも上級の魔法使いさ。」

自信満々に語るバイスを、カレアは鼻で笑った。そして両手に大量の魔力を移し構えをとる。


「魔法で私に敵うと思っているの?威勢だけはいいようだけど、早死にすることになるかもね。」

「それはこちらの台詞だ。生きて街にモドレルト思うなよ?」

「・・地獄の業火よ焼き焦がせ!“ボルケーン“!」

カレアの両手から炎の渦が放出された。さらに二つの渦は混じり合い、一つの竜のような姿に変化した。

バイスは顔色を変えずに両手を構える。そして溜めた魔力を消費しこちらも炎の渦を発生させた。

両者の攻撃はぶつかり合い、轟音を響かせながら相殺した。舞い散る火の粉のなか、カレアとバイスは次の攻撃の準備にとりかかる。



カレアは魔力を駆使し空中を縦横無尽に飛び回り始めた。対称的にバイスはその場から動く気配はない。絶えず移動し続けるカレアはその状態のまま再び両手に意識を向ける。

「氷界の刃に散れ!“ブリザー“!」

無数の氷塊がカレアの手から止めどなく発射される。彼女自体が動き回っているため、バイスからすれば四方から氷塊が降り注いでいることになる。しかし彼もまた腕を広げ、無言で魔法を繰り出した。

彼の魔法も氷系の技であったが攻撃魔法のブリザーとは異なり、氷のドームを作り出す防御技であった。その頑丈なドームはカレアの氷塊を弾いていき、中にいるバイスはもちろん無傷のまま立っている。透明なドームの中でバイスはまたも余裕の表情を見せ、カレアを挑発する。


(そう来るわけね・・ならボルテクスでドームごとやつを砕く!)

雷系の技・ボルテクスで仕留める作戦に決めたカレア。いったんブリザーを解除した彼女は、魔法発動のための詠唱を始めた。

「神の雷よ・・」


カレアが詠唱を始めたその時、バイスは天に左手をかざした。するとすぐに黒い雲が現れピカピカと光りだした。カレアが黒雲のほうを振り向くと同時に、雲から雷が落とされる。

「!!」

とっさに飛行スピードを上げ回避しようとするカレア。しかしその雷の範囲と速度に、完全に対応することはできなかった。

左腕に雷を受けてしまい、カレアは悲鳴とともに地面に落下。彼女のボルテクスも不発に終わってしまった。


「ぐっ・・・腕が・・・。」

「お前と俺の違いを教えてやろう。それは戦闘スタイルの差だ。」

「なに・・?」

ダメージを受け立ち上がれないカレアのもとに歩いていくバイス。その両手には氷の魔力が集まっており、攻撃の準備は済ませているようだ。

「最初の炎の相殺から、おそらくお前と俺の魔法の威力はほぼ同等だろう。だがその発動にカンして明らかな違いがあった。もしかしたらお前も気づいているんじゃないのかな?」

「・・・。」

「お前は強い魔法を放つために『詠唱』する必要があるな?詠唱と魔法名、それを完璧に言い終えて初めて魔法が発動する。

それに対し俺は詠唱無しで魔法の発動が可能。もちろんその威力はさっき言った通り、お前の詠唱魔法と同じ。

戦い続けてたらその差は大きく影響するだろう。ま、その結果がご覧の通り。」

実際はカレアもその事については気がついていた。そのため動き回る撹乱作戦に出たのである。しかし今の絶対的不利な状況を打破する作戦はなかなか浮かばなかった。


バイスはカレアに手をかざし、彼女と接している地面を凍らすことで彼女の動きをさらに封じた。そして再び魔力を左手に集結させた。

「どうするつもりだ・・!」

「いいぞ、その絶望的な表情。顔が可愛いお前がやるといっそう映える。

だが残念だ。お前はここで終わり。どうするつもりかって?俺の得意な魔法、なんだったか覚えているか?」

「・・・!!」

「気づいたか?それで正解だ。」

バイスの手から放たれた光弾はカレアのもとに飛んでいき、そして轟音をたてて爆発した。

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