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目覚めたら堕天使ルシフェル  作者: キメラテック
城を守れ
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悪魔将軍・ベリア

弓を構えた王は赤い悪魔に狙いを定め矢を放った。矢は悪魔に向かって直線状に進み、その左目をとらえる。しかし矢は赤く光る左目にぶつかると「キィィン」と高い音を立ててはじかれる。

「なっ!?」

「その程度の武器で私を倒せると思ったのか。やはり人間、愚かだ。」

悪魔は落ちた矢を拾うとそれを握りつぶし粉々にし、屋上からそれを放り投げた。そして悪魔は不気味な笑みを浮かべながら王に歩み寄る。

「くつ・・お前が、お前があの脅迫状を送ってきたのか!?」

「いや、私ではない。送り主はもうじきここへやってくるだろう。まぁもっとも、そのころには貴様は死んでいるがな。」

右手にさらに魔力を溜めると、大きく振り上げた。その腕の先で黒い光が渦を巻くように動いている。しかし王はひるまなかった。腰から剣を抜くと瞬時に構えをとった。

「ほう、勇敢な王だ。ではその勇気をたたえ私の名を教えてやろう。

私は悪魔軍・・」


その時だった。悪魔の右こめかみに何者かが飛び蹴りをかましたのは。体がよろめく悪魔だったが、いったん右腕をおろしこめかみをさすった。血は出ていないことを確認していると、蹴りが来た方向から声が聞こえた。

「その先は私が言ってやるよ。悪魔軍・・突撃部隊隊長、ベリア殿。」

「・・誰かと思ったが、貴様かフレイラ。」

赤い悪魔の目線の先には腕を組んだフレイラが立っていた。なびく長い金髪に好戦的なその目で赤い悪魔、ベリアはすぐに気が付いた。彼女が前に自分の部下だったフレイラだということに。

「まさかこんなところで再会するとはな、裏切り者。」

「たしかにな。でもちょうどいいや、あんたに言い忘れていたことがあったんだった。お世話になりました、ベリア隊長。」

深く頭を下げるフレイラ。ベリアは彼女の服装を見た。白の半そでのシャツに黒のミニスカート。悪魔軍の制服とはずいぶんかけ離れているその服を見てベリアは確信する。

「戻ってくる気は、無いようだな。」

「当たり前だろ?今の生活がこれまたなかなか面白くてな。」

ニィと笑って見せるフレイラに、ベリアも笑みを返す。ただその目は笑っておらず。


「王を始末するまで待ってろ。そのあと処理してやる。その生意気な服もずたずたにしてやろう。」

「変態発言はいいが、王の始末はもう無理だぞ?」

フレイラはベリアの背後を指さした。ベリアが無表情で振り返ると王は空を飛んでいた。正確には魔力を使って浮遊しているサラに彼が捕まっている。サラは薄いバリアのようなものを張っており、王もその中に入っているようで不思議そうにサラやバリアを見ている。

「君たちは・・?」

「私は天使サラ、あそこにいるのはフレイラ。ともに田天の仲間です。」

にこっと笑うサラに、安堵の表情になる王。

「フレイラ!そちらは任せますよ!」

「ああ!王を連れて遠くへ避難していてくれ!」

フレイラの言葉を聞くとサラは軽くうなずき魔力を解放した。もちろんベリアはそれを見逃さない。

「逃がすと思うか?愚か者め。」

衝撃波とともに跳躍するベリア。猛スピードでサラめがけて突撃する。しかしそれをフレイラが放っておくはずもなく。

こちらも魔力を解放すると姿を変え、前方のベリアの前まで移動した。自分の速さを上回ってまわりこんだフレイラにベリアがひるんでいる隙にサラたちは逃げ、フレイラは彼の顔面に回し蹴りをクリーンヒットさせた。

「がっ・・!?」

蹴り飛ばされたベリアは屋上の床にたたきつけられ、下の階に落とされる。仰向けになって倒れるベリアを屋上に空いた大穴からのぞき込むフレイラ。その姿は先ほどとは異なり、より悪魔らしくより不気味に変化を遂げていた。

「どうです隊長?この速さ。この魔力。この絶望感。」

「・・・。」

「私のクリーチャー・スタイル。前からあんたで試してみたかったんだ。

良い意味でも悪い意味でも世話になったあんたに、この技をささげよう。くたばれ。」

穴の淵から姿を消すフレイラ。そして、それを見ても顔色一つ変えないベリアに真横から蹴りをかます。彼は無抵抗のまま吹き飛び壁に激突する。

「おや?その程度ですか?隊長殿。」

挑発するフレイラであったが、ベリアの無表情と無抵抗に不気味な何かを感じ始める。

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