ルシフェルの罰
サージマエルを先頭に歩みを進める田天一行。
天使たちが人間とほぼ同じような生活をする風景を横目に、天界城をめざす。
「あっ、あれはルシフェル様・・?」
「ついに戻られたのね。」
そんな声が聞こえてくる。
それもそのはず、ルシフェルの一件は天界中に広まっており、彼に与えられる「罰」についても話題となっている。
そこにルシフェルの姿をした田天が現れたとなると騒ぎにならないわけもなく。
(うぅ、、凄い視線を感じる。
いかんいかん!今はサラの奪還を考えないと。)
道中でマルクがサージマエルの横に並んだ。
下から彼を見上げ、その顔をよく確認する。
(やはり知らん天使だ・・サージマエル、こいつは何者だ?)
「ちょっと聞いていいか?」
「はいなんでしょうか?マルクさん。」
「俺らをこれからどうする?」
「それは着いてからのお楽しみで。
まぁでもそれなりの罰は与えられるでしょうね。
神は一撃でルシフェル様を下界に落としたあと、弱った彼を捕らえるように部下に命令されました。
サラもそうでしたよね。
私も罰がどうなるかは知りません。が、あいにく今は神が不在。
罰の内容はガブリエル様ら『大天使』により決まるでしょう。」
ガブリエルの名を聞くや、頭を悩ますマルク。
それを仲間たちは不思議そうに眺める。
(ガブリエルはルシフェル様を目の敵にしている・・
もし奴が罰を決めるとしたらそれは・・死刑か悪魔のような拷問・・・)
そうしているうちに城の形が見えてきた。
遠くからわかるその規模。とんでもなくデカイ。
サージマエルはその城の一部、浮上している小屋を指差しニヤリと笑う。
「あそこに小屋が見えるのが分かりますか?
私がサラを転送したのはあの小屋です。あらかじめ兵士たちに警備をさせ、『牢』にも工夫を施しています。
あのなかでサラは自らに下される罰を待つしかない・・
ルシフェル、あなたもじきにあそこに幽閉されることとなるでしょう。」
小屋を見つめる一同。
サラがいるのならいづれはあそこに行かなければならない。しかし今は今後の行動を『最善手』でこなさなければならない。
しっかりと前を見て、凛とした態度で、田天は歩き続ける。
そんな中、フレイラは立ち止まる。そして小さく屈みこんでしまった。
心配そうにアロマとカレアが駆け寄る。
「大丈夫!?」
「アロマ、カレア、、ちょっと離れてくれ」
よく分からないまま、言われた通り距離をとる二人。
よく見るとうつむいたフレイラの顔には笑みが。
バシュ!
と地面を蹴り、彼女は急に前方に突き進み始めた。
蹴りあげられた雲はその場で派手に舞い、その光景に全員が気をとられてしまった。
「!
まさか無計画に特攻するとは」
サージマエルはやれやれといった表情で駆けゆくフレイラを眺めていた。