堕天使の帰還
「田天!これは奴らがお前を天界で確実にとらえるための作戦だ!
お前は知らないだろうが、あそこにはルシフェル様と同等の実力を持つ天使が三人もいる。。三人でいっきに来られたら・・俺たちのパーティなんであっという間に全滅だ。」
マルクから放たれた一言でさらに考え込んでしまう一同。
田天はくさってもこのチームのリーダー。ここで的確な判断をし最良の答えを導く役目があるのだ。
だからこそ考え込む。サラを救い出すためのルートを。
しかしそんな中でただ一人、すでに答えが決まっていたものがいた。
フレイラはツカツカと前に出て、ブレイズを手で払うとサージマエルをにらみつた。
その目は田天らも久々に見た、悪魔的な威圧感を放ったおそろしいものであった。
凄まじい権幕にその場の誰もが息をのむ。
「連れていけ、そしてサラに合わせろ。」
「ふふふ、威勢がいいですねお嬢ちゃん。
では皆さんで天界巡りツアーにご参加ということでよろしいので?」
「行くのは私だけでいい。天界のゴミどもをつぶすのなんて、私一人で十分だ。」
その言葉が強がりかどうかは分からない。
だがそれを言っているフレイラの灼眼は、目の前のサージマエルを焼き殺してしまいそうなほど燃え上がり、彼女の長い金髪は炎を帯びているかのようにめらめらと逆立っている。
「いや、俺も行くよ。」
そう発言したのは田天だった。
彼の眼はフレイラとは対照的に深い蒼色をしており、フレイラと同じく何者も立ち入れないような空気を醸し出している。
止めようとしたマルクも何も言えないでいた。他のみんなも。。
「わかりました。では皆さん私を囲んで円になってください。
天界へのワープを開始します。」
サージマエルはその余裕の表情を崩すことなく、平然とふるまって見せた。
ちょうど到着したアロマ。事情を説明すると、フレイラと田天を見て静かにうなずいてくれた。
言われたように円を作る。その中心でサージマエルは手を広げ、全員がすっぽり入るほどの巨大な光の球体を作り出す。そして
バシュッという音とともに一同はその場から消えた。
そしてようやく、野次馬たちは騒ぎだす。
天界についた一同。
足場は雲。しっかりと踏み込めて、まるでクッションのようだ。
地上と同じく建築物がいくつも立ち並び、そして天使たちが普通に歩いている。
(ここが天界・・ルシフェルがいた場所・・・)
初めての天界を、しっかりと目に焼き付ける田天であった。