天への招待
大きな羽を広げ飛ぶ田天。
「魔力を頼りにターゲットを探す」行為に慣れていない彼は、街を上空から眺めて探す方法をとった。
人の数がなかなか多いためてこずったが、彼がサージマエルをとらえるのにそんなに時間はかからなかった。
サージマエルの周りにも人はいるもののみんな距離をとっており、野次馬のようになっていたのでわかりやすくなっている。
(天使・・?)
ビュンとスピードを上げて飛んでいく。
彼が地に足をつけた時には、その場にサラはもういなかった。
サージマエルがただ立ち尽くしているだけ。
不気味に笑い、田天を見るサージマエル。
サラと同じく、田天もまたこの男に「悪魔のような邪気」を感じ取る。両者は目の前にいる者がターゲットだとすぐに察した。
「やっぱりきてくれましたね、ルシフェル。」
「・・・何をした?」
少し遅れてカレア、ブレイズが到着。
さらに遅れてマルクとフレイラが来たところでサージマエルはまた口を開いた。
「私はサージマエル。見ての通り、天界から来た天使です。
皆さんもうわかっているとは思いますが、ルシフェルとサラの両名は天界を裏切りここまで旅をしてきたようですね。
しかし今、私と出会ってしまった。。残念ながらあなた方の旅はここで終わりです。
二人の天使はここでとらえて、天界で罰することになりますので。」
田天を含め五名の敵を前にしても動じないサージマエル。
まるでゴミを見ているかのような目で田天らを見る。あいかわらずその邪悪な気をまき散らしながら。
「ふざけんな!俺らはお前なんかに負けん!
天に帰れ!」
サージマエルの襟をつかんで怒鳴るブレイズ。それを見もせずにサージマエルは話を続ける。
「サラはすでに天界にいます。」
「なっ!?」
「先ほどまでここで私と彼女は戦っていましてね。私のミスで少々手こずりましたが、見事にぼこぼこにして天界に送ってやりました。」
彼の言葉に、固まる田天一行。
そんな中、フレイラはすぐそばにサラのカバンが落ちているのに気づく。
カバンからは彼女が頼んでいたゴブリンの肉が見えていて。。。
「ここで提案なのですがルシフェル、今から一緒に天界に来ませんか?
サラが処刑されるのも時間の問題。だとしたら今私とともに天界に来るほうが良いと思うのですが。
もちろん逃げてもいいですよ。ただ考える時間はあまりないと思ってください。」
田天はサラの件にショックを受けつつも、今後のことを冷静に考えた。
今自分が行っていいものか、目の前の天使の罠にはまりそうな気がしないでもない。