参謀サージマエル
「お待ちください、ガブリエル様。」
ガブリエルが振り向くと、眼鏡をかけた銀髪の天使が腕を後ろに組んで立っていた。
目の前であらぶる大天使にも動じないこの天使は、ガブリエルの部下である。
「サージ、いたのか。」
「ええ。
ガブリエル様。ルシフェル様とサラを天界へ連れてくる役目、このサージマエルに任せていただけませんか?」
銀髪の天使サージマエルは冷静に、落ち着いて上司のガブリエルへ申し出た。
ガブリエルは腕を組み少し考え、
「・・お前は俺の直属の部下の中でも最強の強さを誇る。
たしかに適任かもしれんな。
だが相手はラザエルにも勝った猛者だぞ?大丈夫か?」
「ラザエルはたしかに強いですが、ただそれだけ。
まだ子供ですし、しくじるのもまぁ想定内です。
私なら大丈夫。ラザエルと同様『特殊能力』を持っていますし、戦闘力もまあまああります。
それに加えて私には参謀としてやってきた『知恵』があります。
まず失敗はないかと。」
ガブリエルはサージマエルに背を向けると、ガラスの壁に触れる。
次の瞬間、ガラスはバリバリと音をたてヒビ割れていき、そして大破した。
「やつらは高い戦闘力を持ちながら我々を裏切った罪人だ。これ以上のばなしにしていれば天界のメンツも、この俺のメンツもぶっつぶれる。
しくじったら分かっているな?サージマエル。」
「ええ、もちろん。」
街を見つけた田天パーティ。
規模はそこそこ、賑やかというわけではない静かな街だがのどかで住みやすそうなところだ。
財布を管理しているサラはごそごそと鞄をあさり、財布の中身をチェックした。
戦いで得たアイテムを売って生計をたてているこの旅だが、現在はあまりお金はたまっていないようだ。
「いいですか?今はあまりムダ遣いしないでくださいね。
特にフレイラ、あなたは木刀とかワケわからないオモチャとかふざけて買う癖がありますが、マジでやめてくださいよ?」
「分かってるよ、天使様。
今回は天使の羽もぎ機だけで我慢だ。」
「おやおや、喧嘩売ってるんですか?」
「ん、買う?金いくら出す?」
「ふふ、ムダ遣いはやめときましょうかね。」
フレイラとサラの仲は確実に良くなっている。
それは仲間の目から見て明らかだ。
だがこうも喧嘩が絶えないのは何故なのか。それは仲間でも分からなかった。